1970年
140分、白黒
第1部に登場した被差別部落・小森の子供たちも青年となり、社会に出て働くようになっている。
ここで彼らは様々な現実の壁にぶつかる。
恋愛、結婚、就職、職場での差別、抜け出せない貧困の構造・・・・。
青年たちそれぞれの人生に降りかかる差別のエピソードとともに、第2部では1918年の米騒動を契機に、部落の人々の間で社会闘争の気運が高まっていく様子が描かれる。
それが、1922年の京都での『水平社宣言』につながるところで、全編は終了する。
第1部以上に、飲んだくれの厄介者・永井藤作を演じる伊藤雄之助の熱演が目立つ。
いつのまにか荷車引きをやめて靴みがきになっている。
女郎屋に売った実の娘のところに酔っぱらって出向いては小遣いをせがむ。
本当にどうしようもないやくざ者である。
しかし、滑稽なところや無頼な一面も合わせ持っていて、本作における道化役、狂言回しとなっている。
俳優・伊藤雄之助の「生涯の一本」と言っていいのではないか。
藤作らによる米問屋の打ち壊しや官警相手の乱闘、その報復としての資本家の手先による小森部落襲撃といった迫力あるアクションシーン。
第1部では無残に破れた孝二の初恋のほの甘い続き。一方、愛し合いながらも無理やり周囲に別れさせられる誠太郎と主家の娘の悲恋。
加藤嘉、南美江、大滝秀治といった実力ある役者の投入、華のある大型新人・原田大二郎の起用、そして小森の腕白小僧の可愛らしさ。
第1部よりも明らかにエンターテインメント性が高まっている。
140分を長く感じることはなかった。
ただし、完成度から見れば第1部にかなわない。
肝心かなめの水平社創立にこぎつけるまでの“熱い”ドラマが見事にすっ飛ばされて、終盤は取ってつけたような、尻すぼみのラストになっている。
監督自身の言によれば、もともと3部構成だったところ、解放同盟の妨害が厳しくなって、2部と3部を合体させて製作せざるをえなかったという。
たしかに、第2部のクレジットには部落解放同盟の名前はない。
ソルティの実感では、第2部も第1部同様、差別を助長する映画とはまったく思えなかった。
上記のような欠陥はあるものの、それは構成的なものであり、内容的には差別の理不尽さ、惨さを訴えながらも、小森部落の人々を(永井藤作をも含め)愛情もって生き生きと描いており、観る者は自然、彼らに共感し、不正に立ち上がらんとする彼らを応援したくなるはずだ。
そのうちに住井すゑの原作を読んでみよう。
おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損