2016年イギリス
111分
原題 : The Girl with All the Gifts 「万能少女」
原題 : The Girl with All the Gifts 「万能少女」
何を期待してレンタルしたのか思い出せないが、よもやこういう話だとは思わなかった。
牢獄のようなところで、武装した兵士たちに厳しく監禁されている子供たちのシーンから始まるので、ちょっと前に見た『レベル16 服従の少女たち』同様、子供虐待ストーリーかと思っていた。
ところが、施錠されたまま暗い牢獄から連れ出された主役の少女メラニーの前に、明るい戸外の光景が広がったとたん、「えっ、これはそういう話だったの!」という驚きが走った。
そこからは、完全にお馴染みのモンスターパニックの世界である。
このモンスターの正体こそは、ある未知の細菌に感染し、脳を侵され、食人病にかかった人間たち、すなわちゾンビである。
この映画は、ゾンビものの新機軸だったのである!
ゾンビに覆いつくされたロンドンで、人類の生存をかけた死闘が繰り広げられる。
ゾンビは人の匂いや物音に反応するので、匂い消しのジェルを身体に塗って静かに歩けば、ゾンビの大群の中も通り抜けられるという設定が面白い。(ゾンビは目が利かないらしい)
ゾンビの母親から生まれた第2世代は、第1世代より進化して、知能を獲得できるという設定も画期的。(どうやって胎児が生まれたかはグロテスク過ぎて書けない・・・)
上記の監禁された子供たちこそ、第2世代だったのである。
これがアメリカ映画ならば、激闘の果てに人類の生き残りの道(=希望)が示されるのだろうが、イギリス映画はやはりブラック&シニカルである。
人類と心を通わせる能力をもつ第2世代の天才少女メラニーは、人類からゾンビへの覇権交替の道をあえて選ぶ。
つまり、集団免疫獲得の選択をする。
なるほど、ゾンビは細菌感染した病者であってみれば、かれらもまた“人類”には違いない。
“人類”は生き残った・・・。
本作のユニークかつ目新しいところは、“ゾンビ V.S. 人類”という往年の対立構造が問われている点かもしれない。
“人類”は生き残った・・・。
本作のユニークかつ目新しいところは、“ゾンビ V.S. 人類”という往年の対立構造が問われている点かもしれない。
それにしても、タイムリー。
おすすめ度 : ★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損