1955年スウェーデン
108分
タイトルがいいねえ~。
原題は Sommarnattens leende 「夏の夜の笑み」
シェークスピアあるいはオスカー・ワイルド風の、機知とアイロニーに富んだロマンチックコメディ。
複数の男女の錯綜する恋愛模様が、北欧の美しい風景と上流階級の瀟洒な屋敷を舞台に描かれる。
重厚なイメージのあるベルイマンだが、こういう大人の恋愛喜劇も滅法うまい。
複数の男女の錯綜する恋愛模様が、北欧の美しい風景と上流階級の瀟洒な屋敷を舞台に描かれる。
重厚なイメージのあるベルイマンだが、こういう大人の恋愛喜劇も滅法うまい。
我々日本人にとって味わうべきは、北欧の夏の名物の風情である。
登場人物たちが、とある郊外の屋敷で一晩を過ごすのだが、戸外はいつまでたっても明るいままで、曇りの日の昼間のよう。
「なんだ、ベルイマン、撮影をミスったか?」と一瞬思い、「ああ、白夜か!」と気がついた。
そこではじめて、映画の最初のほうに出てくるシーンに得心がいった。
主人公の中年弁護士が、その日の仕事を終えてから、年若い妻と観劇に行くエピソードがある。
帰宅して妻や息子と夕食を終える。
「これからおめかしして外出か?」と思いながら観ていると、弁護士は妻に言う。
「出かける前に、昼寝しておこう」
えっ? これから寝るの?
開演に間に合うの?
それも昼寝?
ああ、出かける前の一戦(エッチ)という意味か・・・。
さすが若妻をもらうとお盛ん。
が、次のシーンでは、夫婦は本当にパジャマを着てナイトキャップをかぶって、寝台に仲良く横になっている。
「本当に寝るのか。ずいぶん遅い開演時刻なんだなあ~」
次のシーンは劇場。
観劇の途中で妻は気分を害し、二人は途中退席し、帰宅する。
妻が寝たのを見届けるやいなや、夫はまたもやマントを羽織って、一人外出する。
「えっ! こんな真夜中にまた出かけるの? 元気なオッサンだなあ」
ちょっと予想外の展開に戸惑ったのだが、答えは“白夜”であった。
夜がないので、催し物の開演時刻は遅い。
その前にゆっくり夕食と仮眠がとれるわけである。
長い長いたそがれは、戸外で恋を語り、愛し合うに最高のマジカルタイムである。
それゆえ、「三たび微笑む」のだ。
ソルティは北欧に行ったことがない。
体験したことがないと、なかなかそれと気づかないものである。
おすすめ度 : ★★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損