2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【徳島県】


JR徳島線府中駅
JR徳島線・府中(こう)駅からスタート


17番井戸寺
住宅街にある井戸寺


17番札所: 瑠璃山 井戸寺 (るりざん いどじ)

17番
 おもかげは 井戸に映りし 然れども
 三年を待たず 足折れにけり
 

御本尊: 七仏薬師如来
本歌 : おもかげを 映してみれば 井戸の水 むすべば胸の 垢やおちなむ
コメント: 弘法大師が掘った井戸を覗いて、自らの姿が映れば無病息災、映らなかったら3年以内の災厄に要注意という。しっかり映ったから、「これで向こう3年は大丈夫」と安心したのだが、結願1年後に・・・。ファインダー越しに覗いたのがまずかったか? ここから徳島市街地に突入する。
【次の札所まで16.8㌔】

17番井戸寺(井戸)
面影の井戸


阿波おどり会館
徳島駅近くにある阿波おどり会館
背後は眉山


18番への道(国道)
徳島市街地
眉山を振り返る


18番への道(道標)



18番への道(パチンコ店)
不動明王が立つパチンコ店


18番への道(道路標識)
室戸まで128km
・・・・・・・。



18番札所: 母養山 恩山寺 (ぼようざん おんざんじ)

18番
 笠忘れ 来た道もどる 戒めは
 親の恩山 忘れるなとや


御本尊: 薬師如来
本歌 : 子をうめる その父母の恩山寺 とぶらいがたき ことはあらじな
コメント: 納経を済ませたあと、買ったばかりの菅笠がないことに気づいた。30分前に休憩をとった国道沿いのセブンイレブン! 秩父巡礼でも同じことがあった。早く気づいて良かった、平坦な道で良かった、体力と気力のある最初のうちで良かった、いやこの1時間のロスには何か意味があるのかも・・・。いろいろ自分を慰めつつ、取りに戻った。
【次の札所まで3.1㌔】

18番恩山寺
恩山寺境内
弘法大師がこの寺で修行中に母親が訪ねてきた
17日間にわたる女人解禁の秘法を行ったのち
母を受け入れ孝行を尽くしたという



19番札所: 橋池山 立江寺 (きょうちざん たつえじ)

19番
 たびたびの 祝融を受け 立江寺の
 堂をまもるは 信徒のいのり


御本尊: 延命地蔵菩薩
本歌 : いつかさて 西のすまいのわが立江 弘誓(ぐぜい)の船に 乗りて至らん
コメント: 徳島の札所を巡っていると、二人の戦国武将の名前が良く出てくる。蜂須賀氏と長宗我部氏である。四国制覇をめざした土佐の長宗我部氏が焼き滅ぼした寺を、阿波藩主の蜂須賀氏が再興したという話が多かった。ここ立江寺もその一つで、16世紀末、長宗我部元親の手により全焼。昭和49年にも本堂が焼けている。祝融(しゅくゆう)とは火事のこと。
【次の札所まで20㌔】

19番立江寺
立江寺境内


20番への道(まっすぐな道)
立江寺から滑走路のような県道28号を行く
並行している本来のへんろ道に気づかなかった


20番への道(大木)
櫛渕の八幡神社の巨大クスの下にて休憩


20番への道(ローソン)
この日は雨が降っていた
ポンチョを着たら中は汗だく
かえってびしょ濡れに


20番への道(沈下橋)
星の岩屋に向かう沈下橋(勝浦川)


20番への道(星の岩屋2)
番外霊場・星の岩屋
弘法大師が秘法により悪星を落下させたという


20番への道(星の岩屋)
裏見の滝
その名の通り、滝の裏側に入ることができる



別格3番札所: 月頂山 慈眼寺(げっちょうさん じげんじ)

3番
  奥山の 滝の轟音 浴びたれば
 一瞬にして 別のじげん(次元)へ


御本尊: 十一面観世音菩薩
本歌 : 天とふや 鶴の奥山 おくたえて 願ふ功力に 法ぞ通わん
コメント: 丸一日を費やした別格。穴禅定と灌頂(かんじょう)の滝が名所。とくに台風後の滝は水量はんぱなく、140mの高さからもの凄い勢いで落ち、轟音と水けむりに圧倒された。四国遍路・感動の風景の一つである。宿泊したのは小学校を改装した宿。教室に泊まるのは面白かった。
【次の札所まで10㌔】

別格3番慈眼寺
慈眼寺境内
お寺の方にパンをいただいた


灌頂の滝2
灌頂の滝


灌頂の滝1
滝の近くまで登ることができる


感情の滝3
滝の中ほどで虹を見る


感情の滝4
滝の上からの光景


宿さかもと
小学校を改装した「ふれあいの里さかもと」


宿さかもとの廊下
廊下を走ってはいけません


20番への道(山道の倒木)
台風被害残る鶴林寺への山道
倒木をボランティアの方が切断してくれている


第20番鶴林寺参道
杉木立の爽やかな鶴林寺参道



20番札所: 霊鷲山 鶴林寺 (りょうじゅざん かくりんじ)

20番
 迎えつる 鶴のカップル 尻目にし 
 へんろは休む 林に独り

御本尊: 地蔵菩薩
本歌 : しげりつる 鶴の林をしるべにて 大師ぞいます 地蔵帝釈  
コメント: 20~21番は「へんろころがし」として有名。500m登って鶴林寺、40mまで下り那賀川を渡り、すぐまた520m登って太龍寺。そこからの下りも延々と長く、最後に急斜面が待っている。鶴林寺ではともかく休むのが第一で、境内をゆっくり見物という気分になれないのがもったいないところ。
【次の札所まで6.7㌔】

第20番鶴林寺
鶴林寺本堂
雌雄の鶴が守護する


21番への道(那賀川の水井橋2)
那賀川にかかる水井橋
前方の山頂に太龍寺


21番への道(那賀川の水井橋)
振り向けばさっき詣でた鶴林寺の山



21番札所: 舎心山 太龍寺 (しゃしんざん たいりゅうじ)

21番
 太龍の 泳ぐ美空を 望み見て
 大師は笑まふ 岩の舳先に

御本尊: 虚空蔵菩薩
本歌 : 太龍の 常に住むぞや げに岩屋 舎心聞持は 守護のためなり  
コメント: 西の高野と称されるだけあって、凛と霊気みなぎる古刹であった。境内から少し下った崖の先端に、東を向いて坐している弘法大師の大きなブロンズ像がある。19歳のみぎり、ここで真言を百万回唱える修行をしたという。ご尊顔をカメラにおさめたくて、岩をよじ登って前に回り込んだ。やさしい大らかな笑顔があった。
【次の札所まで10.9㌔】

21番太龍寺境内
太龍寺境内


21番太龍寺(龍の天井)
見どころの一つ、龍天井


21番太龍寺(南の捨身ヶ岳)
南の舎心ヶ嶽

21番太龍寺(南の捨身ヶ岳2)
なんとも良いお顔であられる
思わずハグしてしまった


21番太龍寺(南の捨身ヶ岳3)


21番太龍寺(南の捨身ヶ岳4)
こんな景色を見ておられた



四国の白地図第4回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  


次回予告!
ついに海辺に到達します‼