1958年東宝
123分
『幕末太陽傳』(1957)、『女は二度生まれる』(1961)、『しとやかな獣』(1962)の川島雄三監督による浪花人情ドラマ。
大阪船場の老舗の昆布屋から暖簾分けされた店を守る八田吾平(=森繁久彌)の生涯を描く。
原作は山崎豊子の同名小説。山崎の処女作で、生家の昆布屋がモデルという。
川島監督のテンポ良い演出はむろん素晴らしいが、やはり役者陣の達者な演技こそ見物である。
若い頃(と言っても45歳当時)の森繁の演技を見るのはこれがはじめて。
やっぱり上手い。父親役と息子役の一人二役を見事にこなして、小気味よい。
妻役の山田五十鈴については言わずもがな。とくに結婚初夜の森繁との息の合った小突き合いが最高におかしい。
ほかに、音羽信子、三代目中村鴈治郎、浪花千栄子が、それぞれの個性を際だたせつつ脇をしっかり固めている。
チョイ役だが見逃せないのが、お松(=音羽信子)の娘役で出てくる扇千景。
ソルティの記憶に刻まれているのは、彼女が建設大臣をつとめていた時の「新デザイン防災服お披露目会見」のスリットからの太腿出しである。悩殺された(ウソ)。
女優時代はついぞ知らなかったが、ここでは25歳の扇千景が拝見できる。
女優時代はついぞ知らなかったが、ここでは25歳の扇千景が拝見できる。
実に清楚で美しい。
栗原小巻のよう。
栗原小巻のよう。
全編、大阪商人の商魂たくましさが横溢している。
このような気概がコロナ禍を乗り越え、ピンチをチャンスに変え、次の時代を切り拓いていくのだろうな~。
おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損