2011年講談社KCDXから発行
2015年講談社文庫

 散歩の途中に寄った、漫画とエロDVD専門の古本屋にて100円で購入。
 作者の名前も作風も知らず、江口寿史風のすっきりした絵に惹かれて買ったのだが、これがびっくりの傑作であった!

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 中学生男子の涙ぐましいエロ本購入作戦という、いまや古臭すぎるベタなネタから始まって、コミカルで捻りのきいたミステリー短編が並ぶ。
 一話一話は読みきりだが、舞台や登場人物が微妙に重なっているので、連作物と分かってくる。

 最初のうちは、星新一風の肩の凝らないSF&ミステリーショート漫画という感覚で楽しく読んでいたら、最後の最後に不意打ちを喰らわされた。
 そして、一話ごとにその都度、設定とストーリーが生み出されネームが練られているかと思っていた各編が、実は最初から、数十年にわたる大きな人間ドラマの一コマとして描かれていて、あちこちに用意周到に伏線が張られて、最後の“非”人間ドラマのカタストロフィーにつながっていたことが判明する。
 見事な構成力と画力は、大友克洋の傑作『童夢』を思わせる。

 こんな漫画家がいたんだ!



おすすめ度 : ★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損