2013年イギリス、ルーマニア
106分
ディストピアSFの金字塔『未来世紀ブラジル』(1985)のテリー・ギリアムによる、やはり未来の管理社会を舞台としたSF&哲学ドラマ。
哲学ドラマと言うのは、テーマが“生きる意味、存在の意味”といった壮大なところにあり、タイトルにある“ゼロ(0)”とは、宇宙のブラックホールであり、ビッグクランチ(=ビッグバンの逆)であり、仏教的な“空”や“無”を意味しているかのように見えるからだ。
己れの存在する意味、生きる理由について懐疑にとらわれた主人公コーエン(=クリストフ・ヴァルツ)が、世界を管理支配するコンピュータを相手に孤軍奮闘するさまを、ギリアムならではのポップでサイケデリックな映像、コミカルかつ難解なプロットで描いている。
映像はさすがに凄い。
『不思議な国のアリス』のような独特な世界が構築され、一見の価値がある。
一方、テーマそのものは宙に浮いてしまって、存在を肯定しているのか否定しているのか、よくわからないままに終わっている。
まあ、答えの出ない問題ではあるが・・・。
「存在の意味を問うなど無意味。答えは愛」と安易に落とし込めないあたりが、ギリアム監督のプライドなのだろう。
(ソルティ思うに、「答えは愛」が正解なのだろう。まあ、「愛」というより「生殖」だが・・・。すべての生命の使命がとりあえずそこにあるのは間違いあるまい)
観ている間は全然気がつかなかったが、『サスペリア』や『少年は残酷な弓を射る』のティルダ・スウィントン、『クラウド・アトラス』や『英国スキャンダル~セックスと陰謀のソープ事件』のベン・ウィショー、それにマット・デイモンが出演していたらしい。
これら主役級スターをチョイ役で使えてしまうあたり、さすが大監督である。
おすすめ度 : ★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
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