1975年
93分

 「とつかん」と読む。
 小学館『大辞林』によれば、「ときの声を上げて、敵陣へ突き進むこと」。

 戊辰戦争を舞台とする青春痛快時代劇である。
 薩摩・長州・土佐藩らを中核とし錦の御旗を掲げる新政府軍と、旧幕府軍および奥羽越列藩同盟との熾烈な戦いが繰り広げられる中、貧農出の千太(=伊藤敏孝)と万次郎(=岡田裕介)とが持て余す若いエネルギーを爆発させ、戦いに喧嘩に女にと縦横無尽に暴れ回る。
 混乱の世ゆえの自由闊達な生と性とが描かれる。

 無名の二人の主演俳優がいい。
 伊藤敏孝は子役出身で、刑事ドラマや時代劇などによく出ていたようである。
 1949年生まれなので本作公開時26歳。やんちゃで無鉄砲で単細胞な男を溌剌と演じて小気味よい。
 一方の岡田祐介は、東映社長だった岡田茂を父に持つ、いわば御曹司。
 自身も俳優を引退した後、プロデューサー業に転じ、父親の跡を継いで東映会長に就任している。
 こちらも公開当時26歳。伊藤とは正反対の洗練された物腰で、機を見て敏に動く飄々とした青年を演じている。
 二人の相性もいい。

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伊藤敏孝と岡田祐介


 脇を固めるは、高橋悦史、伊佐山ひろ子、天本英世、小野寺昭、岸田森、田中邦衛、仲代達矢、そして語りの老婆役に坂本九といった個性派の面々。
 演出も手堅く、見ごたえある一篇に仕上がっている。

 NHKの描く渋沢栄一とは程遠い、名字も持たない男たちの泥臭い青春である。

 

おすすめ度 : ★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損