2016年原著刊行
2017年ハーパーコリンズ・ジャパン発行
原題は Behind Closed Doors
イギリス生まれフランス在住の女性作家。
デビュー作である本書は、英国で100万部を超えるベストセラーになったそうだ。
彼に熱く口説かれ、求婚され、夢見た通りの豪邸に住むことになった主人公グレース。
だれもが羨む幸せいっぱいの新婚生活が始まると思いきや、蓋を開けてみたら、夫の正体は血も凍るようなサイコパスであった。
外面を「完璧に」取り繕うことができるジャックに骨の髄まで支配され、障害を持つ妹ミリーの安全という人質をとられたグレースは、ジャックの命じるとおりに幸せいっぱいの「完璧な」人妻を演じなければならない。
地獄の日々はいつか終わるのか?
過去と現在を交互に語る構成が効を奏して、読み始めたら止まらなくなる強烈なサスペンスが全編みなぎっている。
女性作家ならではの日常生活の細やかな描写もリアリティを生んでいる。
ジャック・エンジェルがドメスティック・バイオレンスを専門とする弁護士で、虐待された女性のヒーロー(文字通り「天使」)であるという皮肉な設定も、グレースの絶望を一層高める。
自粛生活続きで退屈しきった人におすすめである。
おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
