1949年新東宝
97分、モノクロ

 小原庄助さんは民謡「会津磐梯(ばんだい)山」の囃子詞に登場する人物。
 「朝寝・朝酒・朝湯が大好きで、それで身上(しんしょう)つぶした」というが、モデルとなった人物については不明である。
 その小原庄助を地で行くような村の旧家のあるじを、時代劇の名優・大河内傳次郎が風格と諧謔を持って演じている。
 
 坊ちゃん育ちで遊び好き、金儲けが下手で、情に厚く、頼まれたら断らないお人よし。
 根っからの善人である男が、没落して無一文になっていく過程を描く。
 が、悲劇ではなく、あくまでもユーモラス。
 悲哀はあれど、不幸はない。

小原庄助

 
 清水宏作品が放つ牧歌的滑稽とでも言うべき作風を、だれが引き継いだのだろう?
 すぐに思い浮かぶのは、同時期に松竹入社して清水没後も作品を発表し続けた生涯の親友たる小津安二郎である。
 たしかに、清水と小津の作品にはかなり似たところがある。
 無人ショットや切り返しの多用、子供とくに男の子を取るのがうまいところ、セリフの棒読み感、とぼけたユーモア、役者の演技よりカットを重視したところ等々。
 笠智衆、飯田蝶子、三宅邦子、坂本武といった常連出演陣も共通している(同じ松竹だから当たり前といえば当たり前なのだが)
 
 しかるに、もっとも清水宏のユーモラスな作風を引き継いだのは、木下惠介ではなかろうか?
 井川邦子主演『わが恋せし乙女』、原節子主演『お嬢さん乾杯』、阪東妻三郎主演『破れ太鼓』、高峰秀子主演『カルメン、故郷に帰る』、同『カルメン、純情す』、岡田茉莉子主演『今年の恋』あたりに、清水作品同様の大らかなるユーモアの発露が見られる。
 牧歌的だけれど泥臭くはない。
 あくまでもソフィストケイトされたユーモアである。
 
 この種のユーモアはなかなか日本には育たない。
 木下惠介以降で誰かいるだろうか?
 寅さん(山田洋次)?
 ウ~ム・・・・・
 


おすすめ度 :★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損