1997年講談社漫画文庫

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 1977年発表の同名の自伝エッセイの漫画化。
 「のんのんばあ」と呼ばれた信心深く妖怪に詳しいお手伝いのお婆さんと、少年時代の水木しげるとの触れ合いが描かれる。
 大らかな父親と母親の庇護のもと、海辺の田舎町(鳥取県境港)でガキ大将として元気に遊び回りながら、一方、妖怪や不思議な話に魅せられ、好きな絵ばかり描いて過ごした水木しげるの原点がここにある。
 昭和初期の日本の庶民の生活風景が興味深い。

 はしかや結核で幼馴染が亡くなったり、仲良くなった少女が人買いの手によって芸者として売られていったり、思いも寄らぬこと、思いどおりに行かないことがこの世にはたくさんあることを、少年しげるは学んでいく。
 彼の目にだけ見える妖怪・小豆はかりのセリフがいい。

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 この小豆はかりの教えを身につけて、後年水木しげるは太平洋戦争従軍中の絶体絶命のピンチを潜り抜けたのであった。



おすすめ度 :★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損