2003年北冬書房
1998~2002年『幻燈』、『ガロ』等に初出

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 『嵐電』に続き2冊目。
 表題作含む9編の漫画のほか、エッセイ、猫がテーマのイラスト集、うらた自身の日記2002~2003から成る。
 日記では、はじめて胃がんが見つかって手術したあたりのことが書かれている。
 術後の経過は良かったようだが、その後、食道がん(2006)、乳がん(2010)と再発を繰り返し、うらたじゅんの漫画家人生は闘病とともにあったことが知られる。

 死と隣り合わせにあったことが、日々の平凡な暮らしの豊かさや美しさや有難さへの気づきにつながり、四季折々の風物に対する敏感な感性や観察や描写を生んだのではなかったろうか。
 彼女の漫画に氾濫する花や虫や動物たちは、ときに登場する女性の裸画以上に、エロチックでなまめかしく生命感にあふれている。
 植物が受粉し、魚やカエルが体外受精し、昆虫や動物が交尾し、生き物がひたすら種の存続を急いている真っ只中に、ヒトは生きて、様々なドラマを紡いで暮らしている。



おすすめ度 :★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損