2017年第1シーズン(全7話)
2019年第2シーズン(全7話)
アメリカ

 リアーン・モリアーティのミステリー小説『ささやかで大きな嘘』のTVドラマ化。
 風光明媚な海辺の街を舞台に、同じ幼稚園に通う子供を持つ母親5人の波乱含みな私生活、互いの対立や友情が描かれる。
 原作に基づいているのはミステリー仕立ての第1シーズンまでで、第2シーズンは原作の設定をそのまま借りたTV版オリジナルのストーリーとなっている。
 
 見どころは、中心となる5人の母親を演じる女優たちの演技合戦。
 アカデミー主演女優賞に輝くリース・ウィザースプーン(『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』2005)、ニコール・キッドマン(『めぐりあう時間たち』2002)を中心に、シャイリーン・ウッドリー、ローラ・ダーン、ゾーイ・クラヴィッツらが、それぞれ異なった育ちや背景を抱える女性たちを個性豊かに演じている。
 とくに、絵にかいたような勝ち組の戦闘的女性を演じるローラ・ダーンの第2シーズンにおける切れまくった演技は痛快である。

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左からローラ・ダーン、 メリル・ストリープ、 リース・ウィザースプーン、
ニコール・キッドマン、 ゾーイ・クラヴィッツ、 シャイリーン・ウッドリー

 
 最高の贈り物は、第2シーズンから参戦のメリル・ストリープ。
 すでに映画史にその名をゴシックで刻んだ大女優が、なんとニコール・キッドマンの姑役!で出演している。
 彼女の役は、第1シーズンで階段から突き落されて亡くなったペリー・ライト(=アレクサンダー・スカルスガルド)の母親メアリー・ルイーズ。
 ニコール演じる嫁のセレステ含む主要5人の女優陣とは役の上で対立する一筋縄ではいかない難敵であり、第2シーズン全体を引っぱる重要な狂言回しである。よほどの貫禄と演技力がなければ務まらない。
 むろん、メリルはいつものごとく完璧に演じて、5人の後輩女優が束になっても打ち倒せない分厚い壁となって最後まで立ちはだかり、強烈な印象を残す。

 父親ペリーを失った可愛い双子の男の子(メアリー・ルイーズから見れば孫)の監護権をめぐって、嫁であり子供たちの母親であるセレステと法廷で争う場面では、姑と嫁との骨肉の争い以上に、メリル・ストリープとニコール・キッドマンというハリウッド最高の現役名女優の火花散るスリリングな演技対決に注意は絞られる。
 傍聴席にセレステの味方として座っている他の共演者たち同様、視聴者もまた固唾をのんでこの滅多見られぬクライマックスシーンを見守るほかない。
 いいもん見た~。

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姑役のメリルと嫁役のニコールのほのぼの共演シーン



おすすめ度 :★★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損