2017年アメリカ
103分

 コロンバスはアメリカのオハイオ州にある小都市。
 モダニズム建築の街として知られている。

モダニズム建築または近代建築は、機能的、合理的な造形理念に基づく建築である。産業革命以降の工業化社会を背景として19世紀末から新しい建築を求めるさまざまな試行錯誤が各国で行われ、1920年代に機能主義、合理主義の建築として成立した。19世紀以前の様式建築(歴史的な意匠)を否定し、工業生産による材料(鉄・コンクリート、ガラス)を用いて、それらの材料に特有の構造、表現をもつ。(ウィキペディア「モダニズム建築」より抜粋) 

 有名なところでは、アール・デコ、フランク・ロイド・ライト、シドニーのオペラハウス、国立代々木競技場なんかが入るらしい。

シドニーオペラハウス
シドニーのオペラハウス

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コロンバスのモダニズム建築


 この映画の主役はまさにモダニズム建築である。
 観光ビデオさながらに、コロンバスにある有名な建築物が次から次へと映し出される。
 よって、映像の美しさの半分は被写体の美しさに拠っているわけだが、ズームも引きも移動もほぼない固定ショット限定というスタイルが、残りの半分の因を占めている。
 このスタイルこそ、本作が小津安二郎に対するオマージュと言われるゆえんであろう。
 確かに人がメインのシーンでも、『東京物語』や『晩春』を想起させるショットがいくつかあった。

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主人公の少女が母親との別れに泣く場面

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『東京物語』で義母との別れに泣く紀子(原節子) 
 
 本作がコゴナダ監督の長編デビューとのこと。
 素晴らしい映画的感性の持主であることはこれで証明された。
 これからどんなオリジナルなテーマを打ち出していくのか、自作を待ちたい。
 

おすすめ度 :★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損