2018年フランス
93分

 フランス発のDV(ドメスチック・バイオレンス)サスペンス。
 ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞、セザール作品賞を獲得している。

 暴力的で嫉妬深い夫アントワーヌと別れ、18歳の娘と11歳の息子ジュリアンと新居での再出発を始めたミリアム。
 しかし調停により、ジュリアンは隔週末ごとに父親アントワーヌのもとで過ごさなければならない。
 ジュリアンを介してミリアムとよりを戻そうとするアントワーヌは、思い通りにいかぬ苛立ちから次第に偏執的になり、ある晩ついに母子の住むアパートメントに押し掛ける。
 手に猟銃をもって・・・。

 衝撃のラストに向かって、始めのうちはジワリジワリ、途中からゾワゾワ、しまいにはハラハラドキドキと、加速度を上げて高まっていく緊張感がたまらない。
 ストーリーは単純だが、観る者は11歳の少年の目を通して、大の男(=父親)の暴力と愛する母や姉、そして自身に襲い来る恐怖とを味わうことになるので、臨場感もはんぱない。

 DVを受けている被害者が、なぜ声を上げて訴え出ないのか、なぜ相手から逃げないのか、なぜ逃げ切れないのか、この作品を観ると非常によく理解できる。
 たとえ実際に身体的な暴行を受けるのでなくとも、始終追い回されて暴力の予兆が十分にあるというだけでも、つまり暴力の気配だけでも、人は竦んでしまい力を削がれてしまうものなのだ。

 原題 jusqu'à la garde は「完全に、徹底的に」という意味の慣用句だが、直訳すると「当直まで」「警備員まで」といった意味になる。
 一種の掛け詞になっていることが最後まで観ると分かる。
 加害者である父親役、被害者である母親役、息子ジュリアン、3俳優の演技が素晴らしい。

暴力的会話



おすすめ度 :★★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損