2014年イタリア
105分

 イタリア発のドタバタ犯罪コメディ。
 大ヒットして続編が決定、3部作となった。

 不景気で大学を解雇された IQ 抜群の7人の学者先生たちが、起死回生をねらって、合法ドラッグの開発と販売に乗り出す。
 『フル・モンティ』(ストリップ)、『シンクロ・ダンディーズ』(シンクロナイズド・スイミング)など、落ちこぼれの冴えない中年男たちが徒党を組み、新たな分野に挑戦して一発大逆転!
――というストーリーは最近流行りのようだが、本作の肝は同じ落ちこぼれでも、普通ならトップクラスの社会的ステイタスと収入を誇るはずの有能な学者たちが主役になっているところ。

 日本でも少子化と不景気の影響で、多くの大学が経営難に苦しんでいる。
 私立大学の1/3が定員割れになっていると聞く。
 大学側は人件費のかかる正規の職員を雇うよりも、安上がりな外部からの非常勤講師を雇うので、「大学院は出たけれど・・・」みたいな若手研究者がたくさん生み出されている。
 ソルティもかつて介護士の資格を取るために通った研修センターで、有名私大の大学院卒(博士)の女性と会ったことがある。
「ピラミッド型・男尊女卑・年功序列の狭い世界で、将来性もなく安い給料で教授にこきつかわれるよりも、高齢者の世話をして安定収入を得る方がいいと思った」といったことを話していた。
 そう、ツブシの利かない学歴よりも手に職をつけた方がいい時代なのである。

 面白いのは、本作の学者たちが“落ちこぼれ”たるゆえんは、所属大学における派閥闘争や研究費獲得レースに敗北した負け組であるというのみならず、研究生活中心のアカデミックな世界しか知らないため、実社会における経験値が少なく、世渡りが下手という点にある。
 ガリ勉の優等生と遊び上手な不良は、学校内の評価と実社会に出てからの評価とが逆転する傾向にあるってことだ。
 大学を辞めた7人の学者たちは、実社会でなかなか使い物にならず、ガソリンスタンドやレストランの皿洗いなどで上司に怒鳴られながら働き、糊口をしのいでいる。
 本来の才能を発揮する機会とてなく・・・。
 そこから逆転する手段として選んだのが、ストリップでもシンクロでも合唱でもなく、合法ドラッグの開発と販売というのがユニークかつイタリアンなところである。

薬
 
 
おすすめ度 :★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損