連日気温35度超えが常態となりつつある日本の夏をどう乗りきるかについて、完全テレワークの人以外の誰もが、しっかり考えなければならない命題であろう。
ただでさえ熱中症や夏バテになる危険があるのに、この夏は常時マスクをつけていなければならないのだから。
また、戸外からクーラーの効いた屋内に入っても、吹き出す汗と暑苦しさのため、しばらく仕事に身が入らないというのも考えものである。
ソルティはとくに、背中や胸や脇の下に下着やシャツが張り付く感触が嫌いで、なんとかならないものかと常々思っていた。
ゴールデンウィークが明けて気温がグッと上がった頃に、この夏の対策を決めた。
空調服――。
両脇腹に小型のファンがついているポリエステル製のジャケットだ。
炎天下の建築現場や工事現場で働く人、エアコンのない工場で働く人、さらには交通誘導員や警備員の作業服というイメージがあるけれど、最近はキャンプや川釣りなど夏のアウトドアで使用する人が増えている。
ワークマンに行けば、女性向けや子供向けを含め、色・デザインとりどりのファッショナブルなものが並んでいる。
梅雨入り前に最寄りのワークマンに行って、ジャケットとファンとバッテリーの3点セットを購入した。
梅雨明けした7月中旬から30度超えの酷暑が始まった。
仕事の行き帰りや休日の朝夕の散歩時に、空調服の着用を始めた。
使って気づいたことだが、外を歩いている時は気にならないが、屋内では結構ファンの音がうるさい。
また、炎天下を歩いているときに途中でバッテリーが切れないよう、あらかじめしっかり充電しておく必要がある。
一番の注意事項は、ファンが作りだした風がジャケットの中をスムーズに流れるように、一回り大きめのサイズを買うことである。
ソルティはあらかじめネットでつかんでいたこのアドバイスを軽く見て、体裁を優先し、ぴったりサイズを選んでしまった。
いまいち効果が感じられないなあと思ったら、案の定ポッコリお腹がジャケットに張り付いて、空気の流れを遮断していたのである。
一回り大きいサイズのジャケットに買い代えたら、上半身の前と後ろに気流が行きわたってジャケットが風船のように膨らんだ。
さて、はたして効果のほどやいかに?
外出する時にはスイッチを入れっぱなしにしているので、いま一つよくわからない。
たしかにジャケットの中に手を入れてみるとひんやり涼しいし、わきの下や首回りの開口部からは静かな風が吹き出してスースーして気持ちいい。
だが、顔に当たる強烈な陽射しをさえぎってくれるわけではないので、いつもの夏にくらべて違いがあるのかないのか、どうもピンとこない。
これはもう、スイッチを入れてファンを回した場合とスイッチを入れてない場合とで比較実験してみるよりない。
【実験方法】
① 空調服を着て30度を超える炎天下を歩く。(足元はいぐさ草履)
② 最初はスイッチを入れないで25分間、次はスイッチを入れて25分間。
③ 汗のかき具合、息苦しさ、体温、疲れ度合などについて、両者を比べてみる。
実施日 8月1日(日)晴れ、やや風あり 外気温34.8度
開始時刻 15:30
① スイッチを入れないで、なるべく日向を選んで歩く。
開始時 体温35.8度(クーラーの効いた部屋に数時間いたため平熱より低め)
開始時 体温35.8度(クーラーの効いた部屋に数時間いたため平熱より低め)
- 10分後 背中に汗が出る
- 12分後 胸に汗が出る
- 15分後 シャツが背中と胸に張り付く、脇の下とマスク内にも汗が出る
- 20分後 額に汗が出る、マスク外したい!
- 25分後(終了) 息苦しい。クーラーの効いた室内に入るも、10分間は汗がだらだらと流れ続け息苦しさが続く。シャツとパンツがぐっしょり。立っていられないほど疲れた~。
終了時 体温36.4度
歩く前より0.6度上がっている
30分間、クーラーの効いた場所にて休憩。水分を補給する。
② スイッチを入れて、なるべく日向を選んで歩く。
開始前 体温36.4度(体温下がらないまま)
開始前 体温36.4度(体温下がらないまま)
- 10分後~ 明らかに違う。胸にも背中にも脇の下にも汗をかかない。ジャケット内に手を入れると、肌がひんやり湿っている。汗で濡れていたシャツの脇の下と胸の部分にファンの風が当たって、生地がどんどん乾いていく。マスクの中はあいかわらず苦しい。
- 25分後(終了) 歩き終えた後がさっきと全然違う。汗が噴き出すようなことはなく、息苦しさもない。しんどさも少なく立ったままでいられる。のどもさほど乾いていない。
一瞬目を疑った。歩く前より体温が下がっている!!
ちなみに、スイッチを入れファンを回した状態で体温を測ってみたら・・・・
【結果】
空調服は体温を下げ、汗をかくことによる脱水を防ぎ、体力消耗を防ぐ効果がある。
【備考】
空調服の仕組みは、気化熱の利用にある。
服に取りつけられているファンが汗を蒸発させる際の気化熱によって、体温を下げる仕組み。
なので、汗をかかない状態だと効果は薄い。(クーラーのように冷たい風が送られて涼しくなるのではない)
ポッコリお腹同様、背中のデイバッグやリュックサックもまた、せっかくの気流を遮ってしまう。
空調服は山登りには向かないのであった(もちろん、手ぶらならOK)。
ポッコリお腹同様、背中のデイバッグやリュックサックもまた、せっかくの気流を遮ってしまう。
空調服は山登りには向かないのであった(もちろん、手ぶらならOK)。
【結論】
10分間くらいの歩行では著しい効果は感じられない。
ただ、歩き終わった後もしばらくファンを回しておくことで、体温の上昇を抑え、汗のかきすぎを抑えることが期待できる。
長く歩くほどに、空調服を着ていない時との違いは大きくなる。
10分間くらいの歩行では著しい効果は感じられない。
ただ、歩き終わった後もしばらくファンを回しておくことで、体温の上昇を抑え、汗のかきすぎを抑えることが期待できる。
長く歩くほどに、空調服を着ていない時との違いは大きくなる。
今回の実験で、空調服の効果のほどを実感した。
熱中症や夏バテ対策にはとても良いアイテムだと思う。
実際ネットでも、「一度着始めたらもう手放せなくなる」という声を多く見かけた。
一方、汗をかくことには、新陳代謝を上げる、肌を健やかに保つ、ストレスを解消する、よく眠れるなどの効果がある。
オフの時には運動をして、たっぷり汗をかくことも忘れないようにしよう。