1998年
講談社漫画文庫
『魔界転生』と言えば、先ごろ新型コロナウイルスに感染し亡くなった千葉真一(合掌)が柳生十兵衛に扮した、1981年の角川映画版にとどめを刺す。
エリマキトカゲのような衣装を身に着けたジュリーこと沢田研二は、その美しく妖しいカリスマ性が異教のメシアたる天草四郎時貞にピッタリだった。
劇中ジュリーが忍者役のうら若き真田宏之に口づけするシーンは、JUNE系(その後のヤオイ系→BL系)女子たちの間に熱狂を巻き起こした。
ジュリー(四郎)の瞳が黄金色にらんらんと光り、胴体を離れた首が飛び回るラストシーンなど、撮影技術に驚いたものである。
ジュリー(四郎)の瞳が黄金色にらんらんと光り、胴体を離れた首が飛び回るラストシーンなど、撮影技術に驚いたものである。
佳那晃子の細川ガラシャ夫人もおどろおどろしくて良かった。
2003年には天草四郎=窪塚洋介、柳生十兵衛=佐藤浩市で東映で再映画化されている。
こちらは未見である。
佐藤浩一の十兵衛はともかく、窪塚の天草四郎にはどうも食指が動かない。
何度か舞台化もされている。
ソルティが観たのは、2018年の日本テレビ開局65周年記念公演で、天草四郎=溝端淳平、柳生十兵衛=上川隆也であった。
最先端CGを駆使したスペクタルな舞台は驚異的であったが、芝居としては妙に集中力を欠いた残念感があった。
役者の実力不足を舞台効果に頼っているように見えた。
ともあれ、最初の映画化の大成功以来、非常に人気の高い作品なのだ。
ソルティは原作を読んだことがないので、あくまでヴィジュアルイメージ観点からなのだが、令和の現在、天草四郎役にピッタリなのは誰か?
ずばり、フィギュアスケートの羽生結弦ではなかろうか。
ずばり、フィギュアスケートの羽生結弦ではなかろうか。
美しさ、妖しさ、カリスマ性、強靭な精神、高貴な雰囲気、どれを取っても不足はない。
さて、本コミックを図書館で見つけたとき、てっきり永井豪による漫画化と思った。
表紙にちゃんと「石川賢」と書いてあるのに、絵柄からすっかり永井豪と思い込んで、読んでいる最中も永井豪作品と思って、それほど違和感なく読んでいた。
確かに『デビルマン』や『凄ノ王』にくらべると、描線の繊細さや化け物のグロテスクさ加減は偏執的なほど微に入り細に入って、明らかに永井豪のそれとは違うのだが、女性キャラの風貌はじめ全般的なタッチがよく似ているのである。
『あとがき』を読んではじめて、「あ、永井豪じゃなかったんだ」と気づき、表紙の著者名を確かめた次第である。
先入観ってのは厄介だ。
弁解するならば、石川賢は永井豪のアシスタントとして出発した人で、永井豪が設立したダイナミックプロダクションでずっと永井豪の手足とも共作者ともなって仕事してきた人。
『ゲッターロボ』は二人の共作である。
似ていて当然なのであった。
エログロ度の高い、壮大なスケールの『魔界転生』であるが、難を言えば、最初から最後まで絵のテンションが同じような高さで続くので、読んでいて疲れてしまうのが玉にキズ。
こういったストーリーには手を抜いた(ように見える)部分も必要なのだ。
こういったストーリーには手を抜いた(ように見える)部分も必要なのだ。
石川賢は2006年に58歳という若さで亡くなっている。
怪奇時代小説の傑作として名高い国枝史郎の『神州纐纈城』を漫画化しているらしい。
読んでみたい。
おすすめ度 :★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
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