日時 2021年10月10日(日)14時~
会場 東京芸術劇場コンサートホール(豊島区池袋)
演目
  • シベリウス:交響詩〈フィンランディア〉
  • ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番
  • シベリウス:交響曲第2番
指揮:沖澤のどか
オケ:読売日本交響楽団
ピアノ:ペーター・レーゼル

 実に1年9ヶ月ぶりのクラシックコンサート。
 昨年1月20日に同じ東京芸術劇場で聴いたチャイコフスキー第6番『悲愴』を最後に、すっかり生オケ離れしていた。
 一昨年12月に踵の骨を折って松葉杖生活が続いていたせいもあるが、メインの理由はもちろんコロナである。
 昨年3月頃よりエンタメ業界はまさに「悲愴」に突入した。
 なんと長い冬であったろう!

 久しぶりに生オケを聴きたいなあと思って、クラシック専門情報サイトをググったら、間近で見つけたのが本公演であった。
 ベートーヴェンにシベリウス。
 冬からの復活を祝うには最適なプログラムではないか。
 早速予約を入れようとしたら、結構席が埋まっていた。
 みんな待ち望んでいたよね~。

IMG_20211010_163637
東京芸術劇場


 コンサートホールに入るときは、入口でスタッフにチケットの半券をもぎってもらい、本日のプログラムと一緒に他のコンサートの案内チラシを大量にもらうのがお決まりである。
 今回は、スタッフにチケットを見せたら自ら半券を切って、置いてある箱に入れる。その先のテーブルに積み重ねてあるプログラムと案内チラシの束を自分で取る。
 セルフサービスだ。
 いつもならほとんどがゴミ箱行きになるのでもらうのを迷うチラシの束であるが、今日はなんだか嬉しくて、いそいそと手に取った。
 これまで見たことないほど大量のチラシも、クラシック業界に生きる人々の復活の喜びと今後への意気込みと思えば、家に持って帰って一枚一枚有り難く拝見する気になる。

IMG_20211010_175153
なんと100枚あった


IMG_20211010_163256


 席は客席中央の一番後ろ。
 舞台と全体を見渡すにはベストな位置である。
 8割がた埋まっているようであった。

 ソルティは、クラシックコンサートで良い演奏に出会うとチャクラがうごめく
 音波があちこちのチャクラを刺激し、その部位の気の流れを良くする。
 すると、会場のルクスが上がったかのように、周囲に光を感じる。
 体も心も生まれ変わったようにリフレッシュする。
 良い演奏は針治療や整体に匹敵する効果があるのだ。
 1年9ヶ月ぶりの生オケで体はどんな反応を示すだろうか。
 期待大であった。

 しかるに、今日はなぜかチャクラが大人しかった。
 ペーター・レーゼルによる木漏れ日をそのまま音符に変換したかのような至芸のピアノ演奏も、2019年プザンソン国際コンクール覇者の期待の新人・沖澤のどか&ベテランぞろいの読響によるシベリウスの豊穣世界も、「素晴らしい、さすがだ」とは思いはしたけれども、音波は胸のチャクラを突きはするものの、それ以上入り込む力がなくて、感動には至らなかった。(拍手喝采は凄かった)

 たぶん、演奏の質の問題ではなくて、一年9ヶ月のブランクでソルティのチャクラが固く閉じてしまったのだろう。
 どこにいるか分からないコロナウイルスに対する恐怖、自分が感染する・他人に感染させるんじゃないかという不安や緊張、医療先進国にあって入院できずに自宅で病死した人のニュースを耳にしたときの怒りと絶望、自粛生活に慣れてしまったがゆえの心身の柔軟性の低下・・・・こういったものが知らず知らず心身に影響を与え、頑なにしてしまったのではなかろうか。
 来場者全員マスクして発話は禁じられているものの、間隔を開けずに隣の人と接している状態に、どこか落ち着かないものを感じながら聴いていたのだから。
 細胞が、神経が、心の琴線が、音楽をやわらかく受け止める用意が整っていないような気がした。

 もとのようにチャクラが活性化するまで、もうちょっと時間がかかりそうだ。


IMG_20211010_163155
帰宅する人々
シベリウス好きはおしゃべりしないように思う