2004年双葉社
『この世界の片隅に』が面白かったので、もう一つの代表作を借りてみた。
こちらはずばり、著者の故郷である広島の原爆投下とその後の被害がテーマである。
『この世界~』同様に、庶民の平凡な日常生活を描きながら、その中に見え隠れする戦争の災禍や傷痕をあぶり出していく。
本作を読んで蘇った記憶がある。
80年代後半のバブル華やかなりし頃、大学時代のゼミの友人(♀)の結婚式に出席した。
都内の人気ホテルでの豪華な挙式であった。
滞りなく式は進行し、新郎の会社(誰もがその名を知っている一流商社)の同僚である3人の若い女性が挨拶に立った。当時の流行りで3人とも黒いロングヘア、きれいに着飾っていた。
順番に、新郎の知られざる社内外での微笑ましいエピソードを語り、祝辞を述べていくのだが、最後の一人がこんなことを言った。
「●●さんは、夏はサーフィンとテニス、冬はスキーと一年中アウトドアのスポーツマンで、いつも真っ黒に日焼けしているので、私たちはまるで被爆者みたいと言っていました」
一瞬ドキッとし、会場がざわめくか静まるかと思いきや、新郎側のテーブル席からは笑い声が起こったのである。
帰り道、一緒に出席したゼミの友人と、「もしかしたら、この結婚うまく行かないかもな・・・」とささやき合った。所属していたゼミの教授は広島出身で、我々は折々被爆者の話を聞いていたのである。
数年して予感的中した。
数年して予感的中した。
おかしな時代であった。
おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損