日時 2021年11月23日(火、祝)13時~
会場 武蔵野市民文化会館大ホール
曲目
  • ガーシュウィン : パリのアメリカ人
  • コープランド : バレエ音楽『アパラチアの春』組曲
  • ドヴォルザーク : 交響曲第9番ホ短調『新世界より』
指揮 岡本隆

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 武蔵野文化会館は中央線三鷹駅北口から歩いて15分くらい。
 祝日の列車内も駅も街路も、通りがけに覗いた道沿いのカフェの店内も、ほとんどコロナ前と変わらない賑やかさ。
 だれもみな、心なしか表情にゆとりと明るさが見られる。
 このままZEROコロナ達成するといいのだが・・・。

 OCTはOrchestra Canvas Tokyo(オーケストラ・キャンバス・東京)の頭文字。
 2020年8月に発足したという。
 コロナ禍でもオケ好きの情熱は抑えられないのだ。
 見たところ、平均年齢はかなり若い(30~40代が多そう)。
 配布プログラムの団員リストをみると、女性団員のうち「〇〇子」率は17%だった。
 演奏そのものも、音楽への衒いのない真っ直ぐな姿勢と持ち前のパワーを感じさせるものだった。

 さらに驚いたことに、指揮を務めた岡村陸(りく)は1998年生まれの23歳。
 東京音大を今年の春に出たばかりという。
 若いOCTのメンバーたちよりさらに若い。(おそらくステージで一番年下だったろう)
 物腰低く、外見もジャニーズ風のスリムなイケメン。
 並みいるお兄さん、お姉さん、おじさん、おばさん奏者たちを指揮棒ひとつで見事にまとめていく手腕と人ったらしの才に感服した。
 プロフィールによると、あの佐渡裕の愛弟子らしい。なるほど!

 しかも、オケをまとめてただ楽譜通りに行儀よく演奏するのではなく、たとえばドヴォルザークの『新世界より』では、主要な小節でつねに半拍ほど早めにして全体的に前傾姿勢のスリリングな演奏を基本としながら、ヤングらしい焦りで走ってしまうことなく、メロディアスな第二主題を「おっ!」と思うほどのゆっくりテンポで演歌風にこぶしを効かせて、全体にメリハリをつけて曲に表情をつけていくあたり、心憎いほどの余裕を感じた。
 和田一樹に似た才を感じた。
 ただ、今回の選曲ではよくわからなかったが、エロティックな艶やかさやロココ的な華やかさを表現できる人なのかどうか。
 マーラーやチャイコフスキーを聴いてみたい気がする。

 今回のプログラムのテーマはずばりアメリカ。
 そのせいもあって、ドヴォルザークの『新世界より』がもろアメリカの風景を浮かび上がらせた。
 グランドキャニオンのような壮麗な渓谷風景の広がる第一楽章、無名戦士や黒人奴隷の眠る十字架が地平線まで立ち並ぶ第二楽章、『シェーン』が登場するゴールドラッシュの西部開拓地のざわめきが聞こえてくる第三楽章、そして『ジョーズ』が登場する出だしからいきなり最後の審判ラッパが鳴り響く第四楽章。
 こうして聴くと、大自然の迫力と民衆の活力と宗教性――This is America ! という気がする。

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武蔵野市民文化会館