2015年フランス、ベルギー
104分

 同じタイトル(邦題)でジョディ・フォスター主演の名作SFがあるが、こちらの『コンタクト』はSFというより戦場オカルトサスペンスといった色合い。
 ただし、形而上学的テーマといい、本格的な野外ロケやリアルな戦場の演出といい、シリアスで落ち着いた映像といい、凡百のオカルトサスペンスとは一線を画す。
 ある意味、スピリチュアル(宗教)映画と言えないこともない。
 原題の Ni le ciel ni la terre は「天でもなく地でもなく」の意。

 舞台は2014年のアフガニスタン。
 大尉のアンタレスと部下たちは、パキスタンとの国境にある人里離れた谷での監視を任される。
 谷を挟んだ向こう側にはタリバン兵たちが武器を手に潜んでおり、谷の途中には古くからの村があって信仰深い人々が昔ながらの生活を送っている。
 アンタレスたちは谷のてっぺんに小屋を造り順番で監視を始めるが、ある夜、監視に当たっていた兵士が姿を消してしまう。徹底的な捜索も空しく、なんの手掛かりも見つからないうちに、また一人監視員が蒸発する。
 敵方のタリバンにも同様のことが起きていることが判明し、事態は紛糾する。
 ついにアンタレスは現地の村の少年より、谷にまつわる不思議な言い伝えを聞かされる。

タジキスタン
 
 まさに、日本の神隠し譚である。
 この場合の神は、もちろん、イスラム教の唯一神アッラー。 
 アッラーの領する聖地を侵した者がいづくへかに連れ去られたのである。
 
 深甚にして解答のないテーマはともかくとして、この映画は非常に男臭い。
 戦争映画だからそれが当たり前と言えば当たり前なのだが、女性の姿はヒジャブをまとった現地の村人(それもおばさん)ばかりで、女性のセリフはアンタレスと国際電話で話す部下の妻のそれだけである。
 女臭さを徹底的に排除した作品で、なんだか谷間の兵士たちが修道僧に見えてくる。
 もっともイスラム的にはジ・ハード(聖戦)するのはまぎれもなく「神の兵士」なのだから、それ以外の何ものでもないわけだが・・・。


 
おすすめ度 :★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損