このあいだの日曜日はTBSドラマ『日本沈没―希望のひと―』の最終回だった。
ちょうど小松左京の原作を読んだばかりだったので、「これも何かのお導き?」と思い、まことに珍しいことに、テレビドラマをリアルタイムで初回から最後回まで観倒した。
もっともリアルタイムとは言え、録画しておいたものを数日後にCMを飛ばしながら観たのではあるが。
ドラマと しての出来栄えや、原作あるいは過去2度の映画化作品との違いなんてことは、取り立ててここで論じる気はない。
個人的にはベテラン役者たちの演技が一番の見どころだったと思う。
主役の天海啓示を演じた小栗旬や新聞記者役の杏もなかなかの力演だったが、副総理役の石橋蓮司、田所博士役の香川照之、啓示の母親役の風吹ジュンが、味のある芝居でそれぞれに魅力あるキャラを創り上げていた。
大映ドラマ『スチュワーデス物語』で一世を風靡した往年の二枚目・風間杜夫のいや増した渋さにも目を見張った。
大映ドラマ『スチュワーデス物語』で一世を風靡した往年の二枚目・風間杜夫のいや増した渋さにも目を見張った。
ドラマの最後のほうでは、沈没する日本から脱出し生き延びるために、1億2千万の国民が海外に移民する。
ドラマでは移住にあたっての申請単位として、「個人枠、家族枠、5人までのグループ」の3通りがあり、それぞれ移住したい国を第1希望から第5希望まで上げることができる、という設定であった。(のちに「100人までの地域単位」で申請というのが加わった)
つまり、「一人で行くか、家族と行くか、仲の良い友人や知人と行くか、町ぐるみで行くか」という選択と、「どこの国に行きたいか」という選択が、国民一人一人に課せられたのである。
希望の多い国はコンピュータによる抽選となった。
今回ドラマを観ながらソルティが一番考えふけったのは、自分なら「誰と、どの国に」行くことを選ぶだろうか?――ということであった。
とくに「どの国を移住先として選ぶか」というのは難しい問題と感じた。
国と国との関係性や治安という点で比較的“安全牌”と言えるのは(希望殺到しそうなのは)、アメリカ・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド・スイス・イギリス・フランス・ドイツあたりだろうか。
高福祉や女性の権利を望む人ならば、北欧(フィンランド・ノルウェー・デンマーク・スウェーデン)あたりになろう。寒さを覚悟しなければならないが。
親日という観点では、トルコ・台湾・タイ・シンガポール・モンゴル・パラオは居心地いいかもしれない。(ただし台湾は中国とみなすべきだろう)
共産党員など社会主義者は、きっと自ら進んで、中国とかキューバとかベトナムとか北朝鮮などの社会主義国に行ってくれるのであろう。
他人のことはともかく、ソルティが考えた末の今のところの希望は以下のごとし。
- ブータン・・・・・GNPよりGNH(Gross National Happiness 国民総幸福量)で有名な国。一仏教徒としても死ぬまでに一度は行ってみたい。
- 北欧(フィンランド、ノルウェー、デンマーク、スウェーデン)・・・・・高福祉(税金や物価は高い)、自然環境が良い、LGBTが住みやすい、寒いのが難点
- 南太平洋の島国(ニュージーランド、フィジー、トンガ、パラオなど)・・・・・気候がいい、魚や果実が豊富で食べ物に困らなさそう、住民も陽気でのんびり
- テラワーダ仏教の国(タイ、スリランカ、カンボジア)・・・・・仏道修行には最適。が、どこも治安がネック。ミャンマーは現在問題外。ラオスについては良く分からない。
- どこにも行かない・・・・・沈みゆく日本と運命を共にする。つまり殉死。上記ドラマでも数十万の日本人は最後の最後まで移住を拒否していた。もちろん、ネトウヨ含む国粋主義の皆さまは含まれているのであろう。
これって結局、「どの国の国民が一番幸福なのか、幸福を感じているのか」あるいは「自分は人生において何を優先するのか」って話になってくるって気づく。
ちなみに、米調査会社ギャラップのデータを元に編まれた国連の「世界幸福度報告書2021年版」によれば、幸福度ランキングは次の通り――。
1位:フィンランド
2位:デンマーク
3位:スイス
4位:アイスランド
5位:オランダ
6位:ノルウェー
7位:スウェーデン
8位:ルクセンブルク
9位:ニュージーランド
10位:オーストリア
11位:イスラエル
12位:オーストラリア
13位:アイルランド
14位:アメリカ
15位:カナダ
16位:チェコ共和国
17位:ベルギー
18位:イギリス
19位:台湾
20位:フランス
日本は56位だった。
評価の判定基準となったのは、その国に住む人が「どのくらい自分自身の生活に満足しているか」だという。
日本人はもっと自分たちがいかに恵まれているかを自覚してもいいと思う・・・。