2020年NHK
115分

 テレビドラマとして制作・放映されたのち、劇場版が公開された。
 ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(最優秀監督賞)受賞、キネ旬1位と評価の高い作品であるが、その理由は、ドラマとしてあるいは映画としての出来云々よりも、黒沢清監督のネームバリューおよびこの作品が扱っているテーマによるところが大きいのではないかと思う。
 つまり、第二次世界大戦時の日本軍731部隊の人体実験という史実を描くとともに、その悪行をなんとかして世界に知らしめようと苦闘する同時代の日本人を主役に置いたところに、しかもそれを日本の公共放送たるNHKが制作・放映したところに、世界は喝采したのではなかろうか。
 自らの犯した罪を罪として認めること、それを隠蔽することなく後世に伝えること、その際にヒューマニズムと正義の視点を忘れないこと。こういったあたりが、内外の映画人やマスメディアに評価されたのではないかと推測する。
 もちろん、主演の高橋一生と蒼井優の堂に入った演技は賛嘆に値する。
 東出昌大はここでは下手丸出し。時期的に、KEとの不倫報道で役作りに身が入らなかったか・・・?

 エンターテインメントとしてはまずまず面白いけれど、プロットがいささか不自然。
 蒼井優演じる福原聡子が平気で夫の甥っ子(坂東龍汰)を憲兵に売ったり、そのことを夫・福原優作(高橋一生)が簡単に許したり、憲兵が優作に嫌疑をかけながら留置も拷問もせずに釈放したり、ツッコミどころがいろいろある。
 
 NHKが安倍政権下に、ウヨッキーが憤りそうな反“愛国”的ドラマを企画・制作し、BSではあれ放映し得たことが、ちょっと驚き。
 コロナ禍のドサクサゆえだろうか・・・・? 

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おすすめ度 :★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損