先日、上記の資格試験を受けた。

 もともと昨年12月初旬の試験を受ける心積もりで秋口から勉強を開始したが、結局12月の試験は受けなかった。
 というのも、コロナ禍で密を避けるべく、受験者の多い2級と3級の試験はこれまでの会場一斉試験ではなくなって、自宅や会社など各自のパソコンを利用したインターネット方式の試験= IBT(Internet Based Test)になってしまったからである。
 受験者数が少なく筆記が課せられる高難度の1級のみ、これまで通りの会場方式で実施される。
 ――ということに気づいたのは、受験申込みしようと主催者である東京商工会議所のホームページを確認した11月中旬であった。 

 ソルティ宅のインターネット環境はいま一つ信用が置けない。ここを試験会場にするのは不安大である。
 しかも、主催者からはいくつかの条件が課せられている。
  • 推奨するブラウザはGoogle Chrome最新版 (⇒ソルティはInternet Explorerを使用)
  • 上り下りともに2Mps以上の速度 (⇒意味がわからん。上り下り? 隅田川?)
  • 待機開始から試験終了までの間、カメラに他の人が映り込まない、かつ、マイクに他の人の声が入らないように間隔や空間を確保すること (⇒隣の部屋で80代の父親が観ている時代劇の音声が絶対入る)
  • カメラで試験中の映像(受験者の上半身、身分証明書、背景映像など)を録画し、マイクで音声を録音することから、他者のプライバシーを侵害する可能性がある物などが録画、録音されないようにすること (⇒受験生自身のプライバシーはどうなの?) e.t.c.
 なんだかメンドクサイのである。
 カンニング防止のための処置であることは重々承知しているけれど、試験中の自分の姿や周囲の物音が録音・録画されるというのは気分よろしくない。
 また、昭和アナログ人間であるソルティにしてみれば、パソコンを使ったインターネット方式の試験というのもなんだか怖い。
 (キー操作を誤って、試験途中で“全回答削除”とかやってしまいそう)
 (モニターに映し出される細かい問題文を読むのに骨が折れそう)
 (途中でデータが重すぎてフリーズしたり、シャットダウンしたりするかも)
 (試験途中に家人がヘアドライヤーを使って“ヒューズが飛んだら”どうしよう←昭和)

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 「受けるのよそうかなあ」と思っていたら、救いの手があった。
 「IBT への移行に伴う経過措置として、使用機器や受験環境等のご用意が困難な方を対象に、2021年度~2023 年度に限りCBT を実施」とあった。
 CBT(Computer Based Testing)とは、IBTと同じようにパソコンを使う試験ではあるものの、テストセンターと呼ばれる試験会場に受験者が赴いて、そこに用意されたパソコンを使って試験を受ける方式である。(インターネットにはつながってはいないと思うが、よくわからん)
 必要な機器はテストセンターに揃っているので身ひとつ(と身分証明証)で会場入りすれば良いのでラクである。
 全国47都道府県の300以上あるテストセンターから好きな会場を選ぶことができる。(テストセンターに指定されているのは、おおむね各地にある民間のパソコン教室のようだ)
 受験日時もまた、指定された期間(約3週間)から自分の都合の良い日と時間帯を選べる。
 これなら受けられそうだ。

 福祉住環境コーディネーター2級のCBTは、令和4年の1/24~2/14であった。
 というわけで、当初昨年12月に受けるつもりだったものが、この2月初めに延びたのである。
 資格取得よりも勉強すること自体が目的だったので、なんの影響もなかったけれど、さすがに気持ち的にはダレた。

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昔なつかしペーパー試験

 仕事が休みの平日の午前11時スタートの時間帯を選んで、自宅から一番近いテストセンターを予約した。
 10分ほど電車に揺られた駅の近くにあるパソコン教室である。
 当日、開始20分前に会場に着いて中に入ると、さして広くないスペースにパーティ―ションで区切られた個人用ブースが20個くらいあって、ブース内にはパソコンの乗った机と椅子と荷物置きだけがあった。
 すでに10時スタート組や10時半スタート組が各々のブースの中でモニターに向かい問題に取り組んでいて、緊張した空気が漂っている。
 ソルティも試験官(たぶんパソコン教室の先生?)に空いているブースを案内され、運転免許証で本人確認を行い、渡された注意書きを読んだ。
 トイレをお借りした。 
 本番前に、実際にパソコンを使ったシミュレーションがあった。
 「次の問いへの進み方」とか「前の問いへの戻り方」とか「残り時間の確認方法」とか「回答欄の表示方法」とか、表示されているボタンをクリックするだけの容易な操作で、銀行のATM操作ができれば問題ないくらいの簡単さ。
 モニターに表示される文字も大きくて、読みやすい。
 これならなんとかなる!

 スタートボタンをクリック、本番に突入した。(クリックした瞬間からコンピューターが自動的に時間を計測するので、一斉スタートの必要がない。早く着いて用意が整った人から順次開始できる)
 過去のペーパー試験では約70問に対し制限時間120分だったが、今回は計70問に対し90分。
 試験時間が30分短くなった。
 が、問題自体はかなり易しくなっていたので時間的には十分余裕があった。
 たとえば、ペーパー試験では選択肢に上げられた4つのかなり長い文章から「適切なものを一つ選べ」あるいは「不適切なものを一つ選べ」という形式が多く、文章を読むのも大変なら正解を選ぶのも難しかった。
 が、今回は提示された一つの文章について「〇×」を問う形式が多かった。いわゆる一問一答式。
 問題自体も、介護保険制度や福祉用具に関する基本を問うもの、過去問に出てきたものが多かった。 
 制限時間の半分(45分)で第70問まで回答し終え、15分間見直して、終了ボタンをクリックした。

 吃驚したのはここからである。
 クリックしたとたん、画面が変わり、すぐに結果が表示された。
 91点という点数と、その上に赤い文字で合格とあった。(合格ラインは70点以上)
 IBTだかCBTだかBCGだか知らないが、これぞパソコン試験ならではの凄さ!
 テスト終了後わずか0.5秒で結果が判明し、合否がわかる。
 画面の下に表示されている「印刷」というボタンをクリックしたら、試験官のいる席のあたりからプリントアウトされる音がした。
 試験官がブースまで結果用紙を運んでくる。
 「お疲れまでした。これで終了です」

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 合否をドキドキしながら数日待つことに慣れている昭和アナログ人間としては、なんかあまりにあっけなく勿体ぶらない幕切れに、せっかくの合格の喜びも3割くらい減少した。
 一方、このやり方で不合格を目にした場合、ものすごいガクッと来そう。
 思わずモニターにパンチしてしまいそう? 

 ちなみに、2級の合格率は2020年度までのペーパー試験においては平均40%くらいであった。回によっては13%という難関の時もあった。
 IBT/CBT方式になった2021年度は、85%を超えている。
 倍以上の合格率だ。(ちなみにソルティは2020年度までの過去問は平均78点だった)
 これもコロナのおかげ。
 受けるなら今だ!

 合否はともかく、3~4ヶ月勉強したおかげで福祉用具や住宅改修に関する知識がそこそこ身についたので、要介護高齢者に説明する際の自信の足しにはなった。
 たとえば、建築基準法では一階の床面は直下の地面から最低45㎝上げなければならないとか、半世紀以上この国に生きていて知らなかった。(湿気を防ぐためです)

縁側