1980年松竹
129分
原作:松本清張
脚本:井手雅人
音楽:芥川也寸志、山室紘一
撮影:川又昴

 何度かテレビドラマ化されている犯罪サスペンス。
 たしかに、ベッドシーン含め男女のドロドロを執拗に描くインドア的“火サス”プロットは、映画よりテレビドラマのほうがふさわしい。
 いくら当時一番人気の清張だからと言って、なんでもかんでも映画化すればいいってもんじゃなかろうに・・・と正直思う。
 スクリーンにふさわしくない題材まで映像化してしまったことが、清張映画の質のアンバランスを生んだ一つの原因であろう。
 『砂の器』コンビである芥川也寸志の音楽、川又昴の撮影、佐分利信・緒形拳・梶芽衣子をはじめとする錚々たる名優陣をもってしても、本作を凡作から救うには至らなかったようだ。

 見どころを上げれば、5人の旬の女優たち――松坂慶子、梶芽衣子、神崎愛、藤真利子、宮下順子――の美女競演というところだろうか?
 愛の水中花・松坂の最盛期の美貌、女囚サソリにして修羅雪姫・梶の画面から滲み出る風格、日活ポルノでならした宮下の凄みある艶技、それぞれ印象に残る。
 だが、これらの女性たちと愛し憎み合い、犯罪がらみのドロドロを演じることになる当の相手が片岡孝夫であることに、いまいち納得がゆかない。
 片岡孝夫も当時人気沸騰だったけれど、なぜあんなに騒がれたのか、この映画からは見当つかない。
 刑事役で出ている緒形拳のほうが、よっぽど母性本能くすぐりでジゴロめいている。
 まあ、個人的好みの問題か。

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左より、梶芽衣子、神崎愛、松坂慶子、藤真利子、宮下順子

 この作品に限らず、松本清張にはどうも女性のみにくい面をあげつらったストーリーが多い気がする。
 欲深く、エゴイストで、見栄っ張り、したたかで、男性をすぐ支配したがり、“おんな”を使うことに長けていて、感情的で、しつこくて、美しい仮面の下に魔性を秘めている。
 清張には女性不信なところがあったのか?
 



おすすめ度 :★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損