IMG_20220514_174239

日時 2022年5月14日(土)18:00~
会場 小金井宮地楽器大ホール(東京都小金井市)
指揮 重原孝臣
曲目
  • モーツァルト:交響曲35番 ニ長調 K.385「ハフナー」
  • ベートーヴェン:交響曲8番 ヘ長調 op.93

 コンサート前に国分寺駅南口にある殿ヶ谷庭園(随宜園)に寄った。
 三菱の岩崎彦彌太の別邸だったのを1974年に都が買い取ったものである。 
 藤が終わってサツキにちょっと早い今の時期、花は多くないがそのぶん緑が目立ち、草いきれが強かった。

IMG_20220514_173012
入園料150円はお得

IMG_20220514_165443
かつてはここでゴルフやパーティーをしたとか

IMG_20220514_172933
竹林が美しい

IMG_20220514_172900
ハケ(崖線)が敷地内にあり湧き水が池を作っている

IMG_20220514_172821


IMG_20220514_172750
紫ランとカルミア


IMG_20220514_165525


 小金井宮地楽器ホールはJR中央線・武蔵小金井駅南口のロータリーに面している。
 しばらくぶりに訪れたが、ショッピングモールや高層マンションが周囲に立ち並び、ちょっとしたセレブ空間になっていてビックリ。
 570名余入る大ホールに5割くらいの入り。ソーシャルディスタンス的にはちょうど良かった。

IMG_20220514_173107
小金井・宮地楽器ホール

 このオケを聴くのは2回目。前回は2016年12月であった。
  コロナ禍で2019年10月以来のコンサートという。見たところ、演奏者のみならず聴衆もまた高齢者率の高い会なので、スタッフはかなり神経を使ったのではなかろうか。
 再開を慶びたい。

 前回も感じたが、上手で安定感がある。
 長い年月(結成1980年)で育まれた技術とチームワークの賜物であろう。
 そこに待ちに待った舞台ゆえの喜びと緊張感が加わって、フレッシュな響きがあふれた。
 気圧の変化に弱い“気象病”のソルティは、ここ最近の天候不順のせいで軽い眩暈と耳鳴りに悩まされていたのだが、一曲目の「ハフナー」を聴いているうちに体が楽になった。
 そうか! 気象病にはモーツァルトが効くのか!

 ベートーヴェン第8番を聴くのは初めて。
 5番や7番や第9のような渾身にして畢生の大作といった感じではなく、無駄なことを考えず楽しみながら作った良品といった趣き。これを作った時のベートーヴェンの精神状態は良好だったに違いない。
 ロッシーニ風の軽さと諧謔味あるつくりに「遊び心あるなあ~」と心の内で呟いたが、時間的に言うとロッシーニ(1792年生)がベートーヴェン(1770年生)に学んだのだろう。
 3番『英雄』や6番『田園』のような主題を表すタイトルが冠されておらず、また第9のようなドラマ性(文学性)が打ち出されているわけでもない。
 その意味で純粋なる器楽曲と言っていい。
 ソルティがこの曲からイメージした絵は次のようなものである。

 子どもの頃、毎年ひな祭りになると実家では雛人形を飾った。妹がいたからである。
 雛人形の白く神妙なよそよそしい顔つきは、美しさや気品と同時に、どこか不気味さを感じさせるものであった。
「雛人形は人間が寝静まった夜になると勝手に動き出して、五人囃子の笛や太鼓に合わせて、呑んだり歌ったり踊ったりする」といった話を誰からともなく聞いた。あるいは、『おもちゃのマーチ』からの連想だったのだろうか?
 朝起きると、雛飾りを調べて夜中の宴会の証拠が残っていないか調べたものである。

 8番を聴いていたら、あたかも人間が寝静まった真夜中に、楽器店に置かれた楽器たちが、指揮者も演奏者も聴き手もいないのに、勝手に動き出して合奏を始める――みたいなイメージが湧いた。
 それぞれの楽器が得意の節を披露して自己主張しながらも、互いの主張を受け入れ、一つの楽器が作りだしたメロディーやリズムを真似したりアレンジを加えたりしながら次から次へとバトンし、次第に大きな流れを作り上げていく。そこには作曲家であるベートーヴェンの姿すらない。
 「楽器たちの、楽器たちによる、楽器たちのための祭り」である。

 あるいはそれは、宮地楽器ホールという会場ゆえに起きた錯覚であろうか?

楽器や