2014年日本
116分

 異文化と遭遇した若者が、困難を乗り越え成長していく青春ドラマ。
 都会育ちの青年が携帯の電波の入らない山間の村に研修に行くという筋書きは、『ブータン 山の教室』(パオ・チョニン・ドルジ監督、2019)と同様。
 『ブータン』では青年は小学校教師として派遣された。
 本作のオリジナリティは「異文化」に林業を持ってきたところにある。
 ソルティは木の倒し方一つよく知らなかったので、興味深く鑑賞した。
 原作は『舟を編む』の三浦しをん。
 三浦の父方の故郷である三重県美杉村(現・津市)がモデルとなっている。

 矢口史靖監督は、妻夫木聡主演で大ヒットした『ウォーターボーイズ』でブレイクした。
 張り巡らした伏線をきれいに回収する脚本は巧みだし、テンポ良くコミカルな演出は一瞬も飽きさせないし、多様なカメラワークも見事。腕のいい監督である。
 あくまでエンターテインメントに徹するのが身上のようで、本作も誰が観ても楽しめるものに仕上がっている。
 グッジョブ!

 役者では、ウッジョブ(山仕事)1年生の平野勇気を演じる染谷将太もいいが、ウッジョブの達人でスパルタな先輩を演じる伊藤英明が光っている。
 海猿から山猿への転身だ。
 ふんどし姿の似合うこと!

IMG_20220621_141044
祭りの夜に雄叫びを上げる飯田与喜こと伊藤英明

 『ブータン 山の教室』では主人公の青年は、すっかり馴染んだ村を研修終了とともに去っていく。
 親しくなった村人たちやガールフレンドを残して。
 本作の平野勇気の場合は・・・?
 そこは言わぬが花だろう。




おすすめ度 :★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損