原著発表1916~1922年
2011年文春文庫(岩永正勝・小山太一邦訳)
最近、よく眠れなくなった(気がする)。
寝つきが悪くなり、眠りも浅い。
若い頃のような「ぐっすり寝た」感覚が得られにくくなった。
パターンとして、夕食1時間後に急な睡魔に襲われ、2時間ほど仮眠して、10時くらいに目が覚める。
そのあとは明け方近くまで眠れないでいることが多い。
といって、目がらんらんと冴えている、すっきりした頭で勉強するのに向いている、というような覚め具合ではなく、若干の不安と焦燥感を伴った(明日仕事がある夜はとくに)ぼーっとした意識状態にある。
そんなときは漫画やミステリーなど肩の凝らない読み物の出番となる。
英国の生んだ国民的ユーモア作家ウッドハウスの作品こそは、眠れぬ夜の最高の友人である。
とりわけ、気は優しいがいささかオツムの弱い青年貴族バーティと、才気煥発なる執事ジーヴズのコンビが放つ上流階級ドタバタコメディは、眠れない不安と焦燥感を忘れさせてくれる面白さ。
本作は、森ヒカリの表紙デザインが素敵な文春文庫のウッドハウス・シリーズの一冊。
収録されているのは、バーティとジーヴズの出会いを描いた『ジーヴズの春』、痛快などんでん返しミステリーの快作『ロヴィルの怪事件』、バーティの親友ビンゴがこともあろうに階級制度に反対する社会主義者の娘に恋してしまう『同志ビンゴ』、いつものバーティの一人称語りではなしにジーヴズが語り手となる『バーティ君の変心』など全7編、どれも抜群に面白かった。
最初の一編くらいでやめておくつもりが、結局、全編(解説まで)読破してしまい、気づいたら朝刊を届けるバイクの音が窓の外に響いた。
しまったー‼ 明日は仕事なのに完全寝不足だ~!
しまったー‼ 明日は仕事なのに完全寝不足だ~!
が、なんだか気分は良くなって、そのあとストンと眠りに落ちた。
そういえば、コロナ世になってから寄席に行っていない。
笑いが足りていなかったのかもしれん。
ご主人とは馬のようなものであって、調教が肝心なのです。紳士に仕える紳士のうちにも、調教のこつを心得ているものもおれば、いないものもおります。幸いなことに私は、この点でなんら不足するものはありません。(by ジーヴズ、『バーティ君の変心』より)
おすすめ度 :★★★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
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★★ いい退屈しのぎになった
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