2021年アメリカ
109分

 フロッグとは「カエル」のこと。原題は I See You
 驚嘆のスリラーで、本当にひっくりカエル!
 あまたのどんでん返しミステリー&サスペンス映画を観てきたソルティでさえ、見抜けなかった。

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 海のほとりの豪華な邸宅に住む、ベテラン刑事と美しい妻と一人息子。
 夫は地元で発生した連続男児誘拐殺人事件の捜査を任され、カウンセラーの妻は他の男と不倫し、それを知った息子は拗ねてビデオゲームに熱中している。
 会話のない冷えた家庭。
 そこで起こるポルターガイストまがいの不思議な現象。
 
 半分くらい来たところで、ストーリーが完全にひっくり返る。
 邦題でつけられた「フロッグ」の意味が判明する。 
 が、そこまでならまあ、「なるほどそういうことか・・・」くらいの驚きで済む。
 ところが、捻りは一回で済まない。
 内村航平レベルのアクロバティックな捻り技が待っている。
 底には底があった。
 最後まで観たら、必ずやもう一度最初から観たくなること必死である。

カエル
 
 驚嘆はしかし、伏線を張り巡らした巧緻なプロット(脚本)のみにあるのではない。
 カメラワークが素晴らしい。
 冒頭からヒッチコックばりの凝ったショットが続く。
 自転車に乗った少年が、公園を抜け、橋を渡り、森に入り、仕掛けられた罠にハマるまでの一連の流れを、固定、移動、俯瞰・・・と次々と撮り方を変えながら、スピード感あふれる映像を作り出している。
 もうその時点で、映像作家としてのアダム・ランドール監督の才能は、観る者に否応なく了解されよう。
 緊迫感を生みだす構図や演出も見事である。
 
 ソルティがもっとも驚嘆させられたのは、空ショットの使い方。
 豪華な邸宅の中を映した空ショット(人物の映っていないショット)の連鎖が、不気味な効果音とあいまって、あたかも屋敷に憑りついた悪霊との闘いを描いた往年のオカルト映画のような緊張と恐怖を醸し出す。
 ひょっとして、「小津安二郎へのオマージュなのかな」なんて考えていたのだが、この空ショットでさえ伏線の一つであったことが判明する。
 脚本だけでなくカメラワークにも伏線を忍ばせるなんて、なんつう才知か!
 二度見する時はぜひカメラワークにも注目されたい。
 一つ一つのショットに託された意味の深さに驚嘆する。


 
 
おすすめ度 :★★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
★     読み損、観て損、聴き損