初出1900~30年代
2013年国書刊行会(森村たまき訳)

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 天才執事ジーブズシリーズで日本でも人気沸騰のP・G・ウッドハウス(1881-1975)の初期から中期の短編集。
 18の短編の中には、ウッドハウスが生まれてはじめて原稿料をもらった『ゲームキャプテンであることの諸問題』ほか、ジーブズのご主人であるちょっと間抜けなバーティー・ウースターの原型となった男「レジー・ペッパー」シリーズ、映画脚本家としてMGMで仕事していた時の体験から生まれた「マリナー氏のハリウッド」シリーズなどが収録されている。ジーブズ物はない。
 
 気分を明るくしてくれるユーモアとアイロニーたっぷりの作品揃いで、寝る前に読むのにおあつらえ向き。
 ソルティがもっとも楽しく読んだのは、冒頭に置かれた『ハニーサックル・コテージ』、初期作品の一つである『レジナルドの秘密の愉しみ』、ハリウッドが舞台の『モンキー・ビジネス』。
 とくに『ハニーサックル・コテージ』(スイカズラ荘の意)は、マッチョの世界を好んで描く独身主義のハードボイルド作家が、ひょんなことから少女漫画風のポエムな世界に引きずり込まれ、あやうく少女にプロポーズしそうになるところを愛犬に救われるという抱腹絶倒の筋書きで、ウッドハウスを含む(当時の?)英国男子の女性観・結婚観の一端をかいま見させる。

 ウッドハウス作品の典型的プロットは、中世の騎士道精神の守り手であることを自負している現代の英国紳士たちが、何かと言えば気絶するような中世の姫君たちより何倍も強く逞しくなった現代女性たちを相手に、騎士の仮面がもろくも剥がれ落ちて、一転あたふたするというものである。
 男たちのマチョイズムが、女たちのパワーの前に空回りするところに滑稽が生まれるのだ。
 ジェンダーギャップ・コメディとでも言えようか。



おすすめ度 :★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損