1970年ソ連
157分
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)の半生を描いた伝記映画。
1970年制作ということはブレジネフ書記長時代のソ連。
東西冷戦たけなわの頃である。
東西冷戦たけなわの頃である。
ソ連が崩壊するなんて世界中の誰も思いもしなかった、まだまだ勢いある時代に、国家事業の一つとして作られた作品ということになる。
一方、チャイコフスキーが生きたのは19世紀末期の帝国ロシア。
皇帝がいて、貴族がいて、階級社会があって、文化サロン華やいで、街路を馬車が走っていた。
この映画は、史上初の社会主義国家である今は無きソ連が、自ら倒した帝国ロシア時代を描いたものとして興味深い。
なんたって、ロシアはめまぐるしい。
チャイコフスキーの後半生が忠実に描かれているように思われるが、そこは1970年しかもソ連。
同性愛の「ど」の字もおくびに出さない。
女性との関係に失敗し続ける芸術一筋の不器用な男という設定である。
チャイコの最初の恋人とされるオペラ歌手デジレ・アルトーがたいへん美しい。
この女優はいったい誰?
――と思ったら、20世紀最高のバレリーナと言われるマイア・プリセツカヤその人であった。
生涯の親友でピアニストであった豪放磊落なニコライ・ルビンシテイン。
チャイコの音楽の最大の理解者でパトロンとなったフォン・メック夫人。
フォン・メック夫人とチャイコを引き合わせたものの、天才チャイコへの嫉妬から裏切り者に転じていくウラジスラフ・パフリスキー(まるでモーツァルトとサリエリの関係)。
入水自殺を企てるほど、その関係に悩み苦しんだ唯一の結婚相手アントニーナ・ミリュコーワ(結局離婚した)。
そして、最後までチャイコに忠実に仕えた召使のアリョーシャ・ソフロノフ。
いろいろな人物との関りが丁寧に描かれ、ロシアの自然や貴族の豪邸など映像も美しい。
古き良き時代のロシア
おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損


