2018年スイス
101分
女性監督による作品。
ジェーン・カンピオン監督『ピアノ・レッスン』とウィノナ・ライダー主演『17歳のカルテ』を思わせる女子映画で、そこに往年の高部知子主演のTVドラマ『積木くずし』(最高視聴率45.3%!)とそこはかとないレズビアニズムの香り、さらにはカフカ『変身』とアンデルセンの某童話を合体させた感じ。
つまり、まったく既存の物語におさまりきらない奇妙な映画である。
レンタルショップのホラーコーナーに置いてあったのだが、これは『ボーダー 二つの世界』や『バクラウ 地図から消された村』とともに、ソルティが作った「ウミウシもの」という新ジャンルに放り込みたい。
主役の少女が金魚を食べるシーンで、大女優・小川眞由美を思い出した。
岩下志麻との対談で語られていたことだが、何かの映画の撮影中、生きた金魚を口に入れて噛み切った小川の芝居を見て、共演していた志麻サマは「卒倒しそうになった」という。
小川が、「金魚って意外と骨があるのね」と笑いながら返していたのがさすが!
小川眞由美という女優の役者魂を示すエピソードである。
そうそう、『積木くずし』で不良少女を演じた高部知子の母親役が小川であった。
そうそう、『積木くずし』で不良少女を演じた高部知子の母親役が小川であった。
高部知子はニャンニャン事件と呼ばれたスキャンダルを起こして芸能界失脚、その後、精神保健福祉士の資格を取って、現在は依存症患者のカウンセラーとして活躍している。
不良少女と呼ばれた過去を乗り越え、見事に新しい人生を切り開いた。
映画とまったく関係ないことを書いているが、つまり、なんとも評価しようのない、ネタバレなしには説明しようのない、けったいなホラーなのである。
ジェンダー差別するわけではないが、思春期の女性の生理や感性を通してのみ理解し得る作品なのではなかろうか。
男の鑑賞者にはたぶん、金魚ほどにも咀嚼できない。おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損