1978年松竹
94分

 70年代の博多を舞台に中学生男子の日常を描いた青春ドラマ。
 原作は長谷川法世の同名コミック。

 ソルティはまさに70年代に中学時代を送ったので、「周囲の男子はまさにこんな感じだったな」という感慨を深くした。
 もちろん、埼玉のベッドタウンと博多とでは文化が違う。
 博多と言えば、博多どんたくであり、夏の祇園山笠であり、路面電車であり、博多人形であり、明太子であり、海援隊であり、男尊女卑の風土という印象が強い。
 本作は上記のような博多の名物・文化が物語の骨格をなしており、風土愛を感じさせるものとなっている。

 令和の現在の視点からすれば、ずいぶんと受け入れがたいシーンやセリフも多い。
 男尊女卑的、ジェンダー差別的、父権的なセリフであるとか、公衆浴場で女児の裸を映すシーンであるとか・・・・。
 70年代を生きていた当時は「普通」に思っていたことの多くが、半世紀近くでずいぶん NG になったのだとつくづく思う。
 「普通」の少年になれなかったソルティにしてみれば、マッチョイズムを讃えるような事象が NG になって良かったと思う反面、失われた文化に対する郷愁や愛惜のようなものもあるから複雑だ。 
 いずれにせよ、昭和は遠くなりにけりだ。
 令和の博多っ子はどんなジェンダー観を持っているのだろう?

 主役の郷六平を演じているのは光石研。
 オーディションで選ばれたそうだが、適役である。
 この映画の成功の要因の一つは光石少年を発見したことによる。
 男らしさと優しさ、ガサツさとナイーブさ、少年と大人とが入り混じった微妙なバランスを体現している。
 ガールフレンドの小柳類子役は松本ちえこ。
 松本ちえこと言えば、資生堂バスボンのCMでブレイクし一躍アイドルの仲間入り、レコードもヒットした(代表曲『恋人試験』)。
 その後、妊娠疑惑騒動が持ち上がって人気は急下降、ヌード写真集を出したり、日活ロマンポルノに出演したりと踏ん張っていたが、いつの間にか名前を見なくなった。
 今回初めて知ったが、2019年11月17日に大動脈瘤破裂のため60歳で亡くなっていた。

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光石研と松本ちえこ
 
 思春期の美しさ、博多という町の美しさ、いやいや、やっぱり映画であることの美しさを讃えるべき名編である。




おすすめ度 :★★★

★★★★★ 
もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損