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日時 2022年10月23日(日)14:00~
会場 東京芸術劇場コンサートホール(池袋)
指揮 寺岡 清高
曲目
  • ヨハン・シュトラウス2世:喜歌劇『ジプシー男爵』序曲
  • フランツ・シューベルト:交響曲第3番 ニ長調
  • フランツ・シュミット:交響曲第1番 ホ長調

 久しぶりの新交響楽団。
 前回はコロナ日本上陸前の2020年1月19日。
 松葉杖をついての鑑賞だった。
 自宅と会場との往復がたいへんだったはずだが、なんだか記憶にない。
 コロナ前、ロシア×ウクライナ戦争前、安倍元首相暗殺前の世界との隔絶感がなんだかすごい!

 やっぱり巧い。
 アマオケのトップレベルにいるのは間違いない。
 ソロ(独奏)もトゥッテ(合奏)も申し分なく音がきれいで、ツヤと響きがある。
 それをスター性ある寺岡が振るのだから、華やぎが広がる。
 芸劇コンサートホールは国内でもっとも巨大で立派で格式高いホールの一つだと思うが、アマオケでホール負けしないのはさすが。

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東京芸術劇場

 1曲目は日曜日の聴衆の心をつかむのにピッタリの楽しい曲。
 軽快で優美で華やか。
 池袋がウィーンに早変わり。

 2曲目はみずみずしくも典雅。
 シューベルト御年18歳の作品だとか。
 31歳という短い生涯で、青春の喜びと哀しみと葛藤とを気品高く歌い上げたところは、現在放映中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出てくる源実朝を思わせる。
 実朝もまた『金槐和歌集』という青春の記念碑を残し、27歳で世を去った。
 コンサート前に天ぷらそばを食べたのが効いて、夢見心地になった。
  
 3曲目が本日のメイン・ディッシュ。
 フランツ・シュミット(1874-1939)の曲を聴くのはおそらく初めて。
 受付でもらったプログラムには「晦渋作曲家」とあったので、「最後までついていけるかなあ?」といささか不安だった。
 なんとまあ、面白い!!
 マーラー、ワーグナー、ベートーベン、ブラームス等々、どこかで聴いたことがあるタッチが代わる代わる現れる。
 いろいろな作曲家のスタイルのごった煮といった感じなのだが、具の一つ一つが主張しすぎず、バランスよくまとまって、味付けもまろやかで、からしがピリリと効いている。
 ――って、おでんか。しかも関西風の。
 打楽器をはじめとするオーケストレイションも楽しい。
 これはもう一度聴きたいと思った。
 ただ、良い指揮者とオケでないと、このおでんは煮込みが足りないか、あるいは煮込みすぎて、失敗する可能性大なのではあるまいか。
 寺岡の調理はまったく見事であった。

 
P.S. 本日の作曲家はみな「シュ」で始まる。それが選曲のポイント? 次点はシューマン?
 
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