JR高崎線、八高線の窓から見える赤城山は、黒々と大きな一匹のイグアナのように地平線に蟠っている。
 しかし、赤城山という名の峰は存在しない。
 赤城山は一つの火山体の総称であり、カルデラ湖である大沼と小沼を取り巻くように配列されている複数の山――黒檜山(くろびさん1828m)・駒ヶ岳(1685m)・地蔵岳(1674m)・長七郎山(1579m)・小地蔵岳(1574m)・鍋割山(1332m)・荒山(1572m)・鈴ヶ岳(1565 m)など――の集合である。

 なので、少なくとも上の8つの山を制覇しなければ、「赤城山を登った」とは言えないような気もするが、今回は最高峰である黒檜山と2番目に高い駒ケ岳を縦走し、大沼と小沼を愛でたので、「6割がた制覇」といったところか。

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JR八高線・児玉駅あたりから見た赤城山


● 歩行日 2022年10月26日(水)  
● 天気 晴れ
● 行程
07:32 JR前橋駅より関越交通バス乗車(赤城山線)
08:55 赤城山大洞(だいとう)下車
    歩行開始
09:20 大沼、赤城神社
09:35 黒檜山登山口
10:55 黒檜山頂上(1828m)
11:00 絶景ポイント
    昼食休憩
11:50 出発
13:00 駒ケ岳頂上(1685m)
13:20 出発
14:00 駒ケ岳登山口
14:05 覚満淵周遊
14:45 赤城公園ビジターセンター
    歩行終了
15:15 関越交通バス乗車
16:00 富士見温泉下車
● 最大標高 1828m
● 最大標高差 483m  
● 所要時間  5時間50分(歩行4時間20分+休憩1時間30分)

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前橋駅前からのバスは、群馬大付属小学校に通う
賢そうな児童たちでいっぱいだった。(今日は平日)

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赤城山大洞で下車
平日始発バスでの赤城入りは 7~8名だった

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大沼
火山活動によってできたカルデラ湖である
湖中に突き出た半島にパワースポットとしても有名な赤城神社がある

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赤城神社参道より啄木鳥橋を臨む
(修理中で渡れなかった)
標高約1340m、紅葉は湖畔にまばらに残るのみ

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赤城神社
創建不詳
ご神体はむろん赤城山
評判に違わず気持ちのいい空間だった

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賽銭箱には皇室ゆかりの菊および桐のご紋と並んで葵の紋も。
徳川家康も祀られているのだ

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黒檜山登山口
ここからいきなりの急登岩登りが続く
10分で息が切れた

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振り返れば絶景
対岸の見晴らし山と地蔵岳が大きい
きつい登りが報われる瞬間

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これが登山道だもん・・・

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やっと尾根に到達
クマザサの道が気持ちよい

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黒檜山頂上
絶景ポイントはこの先にある

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絶景ポイント
270度のパノラマビューに圧倒される!
ここで、おにぎり2個・ゆで卵・おしんこの昼食
日陰はさすがに肌寒かった

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鈴ヶ岳、榛名山の彼方、雪をうっすら纏った浅間山(西方面)

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子持山との間に広がる沼田市(西方面)

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中央に突き出て見えるのは尾瀬燧ケ岳と会津駒ケ岳か(北方面)

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名のよく知らぬ日光の山々(東方面)

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おぼろに霞む前橋・高崎(南方面)

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山頂にあった祠に手を合わせ、駒ケ岳に向かう

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尾根道にある御黒檜大神
ここも恰好のランチポイント

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駒ケ岳に向かう途中に小沼が見える

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天空にあって神秘的な輝きを放つ

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黒檜山と駒ケ岳の鞍部(大ダルミ)
70代くらいの地元の男性と雑談しながら歩く。
けもの道やイノシシの泥浴び場を教えてくれた。

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彼によると、昨今赤城山の木枯れが甚だしいとのこと
原因はカビ
たしかに白い斑点に覆われている木が多い
早めに処置しないと・・・

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こんなふうに木全体が腐ってしまう

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駒ケ岳頂上
ここで地元の方と別れる
道連れありがとうございました

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駒ケ岳山頂より大沼を望む
静謐なる20分の休憩

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赤城神社

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下山開始
黒檜山と駒ケ岳が見送ってくれた

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高度を下げると紅葉の絨毯が現れる

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下りは木や鉄の階段が多い
膝サポーターをつけて慎重に一歩一歩

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駒ケ岳登山口

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覚満淵
湧水と雨水によってできた湿原
木道を歩いて30~40分で一周できる
奥まったあたりは尾瀬の風景そのもの

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赤城公園ビジターセンターに到着
ケガも道迷いもなく無事下山できたことに感謝
帰りのバスを待ちながら足をマッサージ

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富士見温泉見晴らしの湯で途中下車
露天風呂から沈みゆく夕陽が見える素晴らしいロケーション
塩分の強いお湯が体を芯から温めてくれる
大人一日520円は大特価!


 富士見温泉から前橋駅に向かうバスで、50~60代の韓国人男性と知り合った。
 コロナ解禁で3年ぶりに日本に来れたと大喜び。
 聞けば、2日前に日本に着いて水上温泉泊、翌日谷川岳に登って前橋泊、今日赤城山に登り上野泊、明日成田から韓国に帰るそうな。
 なんつう強行軍。
 日本百名山を5年間ですべて制覇、赤城山は2度目とのこと。
 キリマンジャロ、マッターホルン、チベットの山々にも足を運んだ猛者。
 その気力と体力と財力は日本の中高年が失ったものか?
 恐るべし、韓国パワー。
 ちなみに日本の山では映画にもなった劔岳(つるぎだけ2999m)が一番きつかったと言っていた。
 (日本語を覚えるために木村大作監督『剣岳 点の記』を3回も観たそうだ)
 話好きで陽気な男だった。

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前橋市より望む赤城山
峰の重なりがよくわかる

「今宵限り」と言わず、新緑の頃にまた来たい