2021年アメリカ
106分

 マーク・ウォールバーグ主演のSFアクション映画。
 見せパンの元祖でやんちゃ者のマーキー・マークもいまや51歳。
 いったいいつまでこんな激しいアクション映画の主役を張るんだろう?
 どこまで若作りして、マッスルな体を晒すつもりなのだろう?
 と、話の筋より余計なことばかり考えてしまう。
 いい加減、こういう役は若い俳優に譲って、演技派バイプレイヤーにシフトチェンジしてもよいのではなかろうか。
 余計なお世話か。 
 
 本作をレンタルしたのは、輪廻転生がテーマだからである。
 世界に500人しかいない、すべての前世の記憶を保持しているインフィニットたち。
 いくつもの前世で身につけた様々な知識や特技を備えている超人である。
 数世紀前から彼らは、二つのグループに分かれて戦っていた。
 一つは、「もうこの酷い人間界に生まれ変わるのは懲り懲りだから、すべての生命を解脱させ、この世界を終わりにしよう」と目論むグループ。ニヒリスト(虚無主義者)と呼ばれる。
 もう一つは、「生まれ変わっていくうちに人類は学び進歩することができる。輝かしい未来がある」というポジティブなグループ。ビリーバー(信じる者)と呼ばれる。
 ニヒリストの首領であるバサーストは、前世において、人類を絶滅させる“エッグ”という装置を開発した。
 が、使用する前にビリーバーのトレッドウェイに奪われてしまった。
 両者ともに生まれ変わった現世で、バサースト(演:キウェテル・イジョフォー)と元トレッドウェイであるエヴァン・マコーリー(演:マーク・ウォールバーグ)の“エッグ”の行方を巡る熾烈な戦いが始まる。
 
 物語そのものは荒唐無稽。
 派手なアクションシーンの連続で、CG多用の特撮技術には驚くほかない。
 予想通り、トレッドウェイらの活躍によって“エッグ”は破壊され、人類は破滅から救われ、輪廻転生は続く。
 戦いで命を失ったトレッドウェイが、インドネシアに生まれ変わったことを伝えるシーンで映画は終わる。(バサーストは特殊な銃弾を浴びて魂をチップに封じ込められ、生まれ変われなくなったという無理筋)
 伝統的アメリカ映画らしい勧善懲悪である。

生まれ変わり
 
 しかしながら、「もはや生まれ変わることはありません」という輪廻転生からの解脱こそが、ブッダが追い求め、修行と悟りの果てに実現し、弟子たちに推奨したところであるのは間違いない。
 本来の仏教の目標はそこにある。
 もちろん、それは個々人の意志において求められるところであって、ハザーストのように、生命すべてを個々の意志に反して道連れにすることは許されない。
 ハザーストがこの人間界を嫌悪し生まれ変わりたくないなら、仏道修行によっておのれ一人の悟りと解脱を目指すべきである。
 その意味で、ニヒリストグループの動機と行動は許容できるものではなく、「悪」と言っていいものではある。
 が一方、輪廻転生を進歩と希望の名によって肯定し「善」とするビリーバーの動機と行動は、究極の楽天思考という気がしないでもない。
 少なくともそれは仏教とは別の道であるので、本作でビリーバーグループの者たちが、仏像の前で坐禅や瞑想をしているシーンや、「生まれ変わるたびにアンコールワットで再会する恋人たち」といったロマンチックエピソードには、首をひねらざるを得ない。(良い転生を狙っての修行と解せばいいのか?)
 監督や脚本家は、仏教をまったく理解していないか、あるいは、仏教徒=ニヒリストというあらぬ誤解を観る者に与えるのを避けるべく、仏教をビリーバー側に引き寄せたのだろうか。
 悟り&解脱という目的を伴わない輪廻転生は苦である、というのがブッダの仏教の根本である。
 
 そもそもが荒唐無稽な娯楽作品なので、どうでもいいことではあるが・・・・。
 

 
おすすめ度 :★★

★★★★★
 もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★  面白い! お見事! 一食抜いても
★★★   読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★    いい退屈しのぎになった
     読み損、観て損、聴き損