2022年宝島社文庫
加賀刑務所を舞台とする連作ミステリー小説。
キーパーソンとなる受刑者や刑務官を違える5つの話が、時系列で語られていく。
犯罪と無縁の市井の人にはうかがい得ない刑務官の仕事や心情が興味をかき立てる上に、一つ一つの話がミステリーとしても人情ドラマとしてもよくできているので、読ませる。
第四話『ガラ受け』など、涙なしで読めない。
さらに、全体を通して一つのトリックが仕掛けられていて、最後の最後にあっと驚くどんでん返しと伏線回収が待っている。
このトリックは映画にもなった他の和製ミステリーで履修済みだったソルティであるが、ある種のバイアスのせいで引っかかってしまった。
TVドラマ化しても面白いと思うのだが、有能で謎多き切れ者である火石司刑務官役を誰がどう演じるかが難しいところだ。
草彅剛あたり・・・・?
草彅剛あたり・・・・?
本書を読むときに、ソルティはいつぞや新宿駅構内で買った、函館刑務所作製の布製ブックカバーを使用した。
これほどふさわしい組み合わせはまたとなかろう。
ブックカバーも本も喜んでいるような気がした。
このブックカーバをかけて列車内で読書していると、隣の席が空く。
おすすめ度 :★★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損