1964年日活
82分、カラー
三島由紀夫原作のこの有名なロマンスはこれまでに5回映画化されている。
- 1954年(昭和29年) 監督:谷口千吉 主演:青山京子&久保明
- 1964年(昭和39年) 監督:森永健次郎 主演:吉永小百合&浜田光夫
- 1971年(昭和46年) 監督:森谷司郎 主演:小野里みどり&朝比奈逸人
- 1975年(昭和50年) 監督:西河克己 主演:山口百恵&三浦友和
- 1985年(昭和60年) 監督:小谷承靖 主演:堀ちえみ&鶴見辰吾
ソルティ世代(60年代前半生まれ)は、百友コンビの1975年版に思い入れが深い。
団塊の世代なら、当然、小百合サマ主演の本作であろう。
同時上映が、石原裕次郎&浅丘ルリ子の『夕陽の丘』(松尾昭典監督)だったというから、今思えば最高に贅沢なプログラムである。
他にも、個性的な風貌とたしかな演技力で気を吐いた石山健二郎、清川虹子、高橋とよ等ベテランが脇を固めており、伊勢湾にある神島の美しい風景や中林淳誠による抒情的なギターBGMと相俟って、質の良い映画に仕上がっている。
半世紀以上前の日本の小島の漁村文化の風景は、記録としても興味深い。
(神島に行ってみたいな)
原作者である三島は第1作の1954年版を気に入っていたらしいが、本作はどう評価したのだろうか?
気になるところである。
気になるところである。
とりわけ、主役の漁師久保新治を演じた浜田光夫をどう思っただろう?
ソルティの受けた感じでは、浜田は演技は悪くないが、都会的な匂いが多分にあり(潮の匂いというより地下鉄の匂い)、漁師としての肉体的逞しさにも欠けるように思う。
ふんどしも似合わないだろう。(有名な「その火を飛び越して来い」のシーンではふんどし姿にならない)
小百合サマはあいかわらず可愛らしく華がある。
美少女には間違いないけれど、角度によっては意外と芋っぽく見える瞬間があり、島の長者の娘初江として、それほど場違いな感じはしない。
なにより溌剌としたオーラーが若さを発散して惹きつける。
島の海女たちのリーダーおはる(高橋とよ)が、初江(小百合)が生娘かどうか確かめるため、仕事を終えた仲間と語らう浜辺で、初江の乳房を観察するシーンがある。
80年代までなら上映に際して別になんら問題の生じなかったシーンであるけれど、令和の現在はなんらかの脚色(=取り繕い)が必要になって来よう。
この小説が、85年を最後に映画化されていないのは、そのあたりの事情もあるのかな?
昭和文学ってのは、ジェンダー視点からはかなり悪者になってしまった。
おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損