1993年原著刊行
1996年創元推理文庫(訳:押田由起)
1996年創元推理文庫(訳:押田由起)
今のところ、伝記『ホームズとワトスン 友情の研究』をのぞけば、全7作のミステリー短編集が発表されているようで、うち邦訳が出ているのは4作である。
ほぼ間違いなく、既刊しているものは全部読むことになるだろう。
シャーロキアンを喜ばせ、まずまず満足させてくれるレベルの贋作であり、謎解きとしても一定の水準をキープしている。
原作にくらべて全般に、ホームズの推理の冴えや勘が鈍いのと、助手であり親友であり事件の記録者であるワトスンが有能である印象は受ける。
つまり、2人の差が縮まっている感がある。
だが、個性的な天才ホームズと忠実で信頼の置けるワトスンの篤い友情は原作そのままで、2人のやりとりから、ベーガー街221Bの薄暗いが居心地の良い部屋が眼前に浮かんでくる。
20年以上前にイギリスに行ったとき、もちろんソルティは、221Bに建てられたシャーロック・ホームズ博物館に足を運び、至福の時を過ごしたものである。
Justin VogtによるPixabayからの画像画像
本作には、7つの短編と付録『ふたり目のワトスン夫人の身元に関する仮説』が収録されている。
もっとも興味深くかつ鮮やかな推理が展開されているのは、本編より付録であるのはご愛嬌。
が、知られる限り2度の結婚歴のあるワトスン博士の、語られることなき2番目の奥さん――最初の奥さんメアリー・モーンスタンはいくつかの小説に登場する――に関する探索は、関心を持たざるを得ない。
ワトスン博士、実はモテるのである。
かく言うソルティも、若い頃はシャーロック・ホームズ“神推し”であったけれど、年をとるにつれてワトスン博士に惹かれるようになった。
ワトスンという、地に足の着いた信頼すべきパートナーがそばにいるからこそ、奇態なところ多いホームズはまっとうな社会生活が送られたんじゃないかという気がする。
恋人にするならシャーロック、結婚するならワトスン・・・・といったところか。
おすすめ度 :★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
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