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日時: 2023年1月29日(日)13:30~
会場: 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
曲目:
  • ドヴォルザーク: チェロ協奏曲ロ短調 作品104
  • ドヴォルザーク: 交響曲8番ト長調 作品
チェロ: 河野 明敏
指揮: 原田 博之

 コロナ後遺症のブレインフォグによるものなのか、頭がぼんやりして集中力を欠く最近のソルティ。
 この日も朝から倦怠感とともに、時差ボケにでもなったかのような心身の違和感があった。
 「ととのって」ない感じ・・・。
 日曜の渋谷の人混みを思うと出かけるのは気が進まなかった。
 が、ほかならぬドヴォコン、ことドヴォルザークのチェロコンチェルト(協奏曲)。
 自分が最も好きなクラシックの名曲である。
 頑張って行くことにした。

 渋谷駅周辺の変わりようは凄まじい。
 都営地下鉄の渋谷駅で降りたはいいが、自分が一体どこにいるのか、どっちに行けばいいのか、よくわからない。
 とりあえず、表示に従ってJR渋谷駅の西口を目指したが、西口もまたえらい変わりよう。
 長年目印としてきたビルディングや公衆便所が見当たらず、別の街に来てしまったかのよう。
 駅ビルに沿った右手奥の一角に、寂しく立っているモヤイ像を目にし、やっと位置関係が把握できた。
 渋谷区文化総合センター大和田は、西口から徒歩5分。

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渋谷駅西口

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渋谷区文化総合センター大和田
プラネタリウムがある

 Blue-Tコンチェルト管弦楽団の名ははじめて聞く。
 なんでも元々は、渋谷区笹塚にあったクラシック専門のライブハウス「笹塚Blue-T」所属のオーケストラとか。
 小編成(50名弱)なのはそのためか。
 腕前は素晴らしく、少人数を感じさせない迫力と安定感とチームワークの良さ。
 ライブハウス当時からのファンがついているのだろうか。客層が通常のクラシックコンサートとは微妙に違っていた。
 中年の男連中、それも仲間連れで来ているのが目立った。
 心なしかゲイ率が高いように思えた。
 気のせい?

 チェロ奏者の河野明敏は、1994年生まれというから、まだ20代である。
 繊細な感性の持ち主で、曲想の理解に優れ、テクニックも鮮やか。
 ドヴォルザークの一見優美でロマンチックなメロディラインに潜む、祈りにも似た深い悲哀と、天上的とさえ言える荘厳なる畏敬の念を、的確にとらえ表現していた。
 テクニックの凄さは、チェロという楽器のあらゆる可能性を誇示するかのようなアンコール曲、マーク・サマー「Julie-O」で遺憾なく発揮された。
 今後の活躍が楽しみな青年。
 
 交響曲8番では、第1楽章始まってすぐ意識が遠のいた。
 気がついた時には第3楽章の終わりだった。
 2楽章、まるまるワープ! 
 と言って、眠ったようにも思えない。
 音符の渦に取り巻かれて、いっさい抵抗することなく浮遊していた。
 音楽を耳で聴くというより、体全体で感じていたようだ。
 その証拠に、演奏が終わったあとは、頭も体もすっきりしていた。

 ととのった!
 
 アントニン・T・ドヴォルザークだからこそ為しうる芸当。
 人はこれをアントニン療法と呼ぶ。
 
moyai
ドヴォルザーク、でなくてモヤイです