会場: IMAホール(東京都練馬区)
曲目:
- シューベルト: 交響曲第7番 ロ短調 D759「未完成」
- シューベルト: 交響曲第8番 ハ長調 D944「ザ・グレイト」
指揮: カール・ヤイトラー
IMAホールは光ヶ丘公園の近くにある。
長らく待ち望んだ秋風が吹き抜ける休日午後の公園には、家族連れやカップル、ジョッガーや楽器練習する人たちが、憩いでいた。
イチョウ並木が黄色く染まるのも遠くない。
(しかし、一年が立つのが速すぎないか!?)
このオケは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の音を愛するアマチュア奏者たちが、2019年に旗揚げした。ホルン、オーボエ、クラリネット、ティンパニーには、ウィーン・フィルと同様のウィーン・スタイルの楽器が使用されているという。
しかも、今回指揮を務めたカール・ヤイトラーはウィーン・フィルのトロンボーン奏者だった人なので、まさにウィーンの音楽が、秋風に乗って光ヶ丘の森に響き渡った。
曲の選定も秋らしい。
残念ながらソルティの耳には、ウィーンの音とベルリンの音の違いが、どころかドイツの音とフランスの音の違いも聴き分けられないのであるが、あえて言うならば、「おっ?」と思うほどゆっくりしたテンポの中に、現代的な一糸乱れぬ白糸の滝のような流麗さとは違った、人間らしい温みと彩りに満ちた懐かしい響きを感じとった。
CDプレイヤーでなく蓄音機といった感じ。
新幹線でなく鈍行列車といった感じ。
シューベルトの物哀しくも美しい音楽が、酷暑の疲れを癒してくれた。