1950年原著刊行
2022年ハヤカワ・ミステリー文庫(訳・越前敏弥)
クイーン後期のライツヴィル物。
童謡『マザーグース』の次の歌詞になぞらえて人が死んでいく、いわゆる見立て殺人物である。
童謡『マザーグース』の次の歌詞になぞらえて人が死んでいく、いわゆる見立て殺人物である。
Richman, poor man,金持ち、貧乏、Beggarman, thief,乞食、泥棒、Doctor, lawyer,医者、弁護士、Merchant, chief.商人、首長。
趣向は面白い。
が、犯人がそもそも見立て殺人を行った動機があまりにナンセンス。
が、犯人がそもそも見立て殺人を行った動機があまりにナンセンス。
歌詞の途中に出てくるある職業の男を怖がらせて遺言書を書かせるためというのだから。
しかも、蓋を開けてみれば、殺された男が残した遺言書には犯人の名が挙げられていなかったのだから、とんだ無駄骨。
というか、こんな不確実な動機で世話になった恩人を殺す犯人像のリアリティの欠如が受け入れ難い。
結末の意外性もなく、奇抜なトリックや殺人方法があるわけでもなく、探偵(エラリー)の推理が目覚ましいこともない。
エラリー・クイーン作でなければ生き残ることのない駄作である。
せめてもの美点は、ヒロインであるリーマおよびレコード新聞社の女社長マルヴィナ・プレンティスの人物造型。
狼少女のごと現代社会から隔絶した環境で育てられたリーマの無垢と野生的魅力が、奇抜なファッションに身を包み蓮舫か田中真紀子のごとく傲岸に振る舞うマルヴィナの強烈な個性と競い合って、作品の魅力をなしている。
それにしても、なぜ独身のエラリーはリーマに魅かれているのに口説かないのだろう?
親子ほどの年齢の差があるとはいえ、リーマは成人しているのだから問題あるまいに。
親子ほどの年齢の差があるとはいえ、リーマは成人しているのだから問題あるまいに。
やっぱり、エラリーはクイーン(米俗語で「同性愛者」)だったのかな?
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損