おすすめ度 :★★★★
★★★★★ もう最高! 読まなきゃ損、観なきゃ損、聴かなきゃ損
★★★★ 面白い! お見事! 一食抜いても
★★★ 読んでよかった、観てよかった、聴いてよかった
★★ いい退屈しのぎになった
★ 読み損、観て損、聴き損
東京近郊に住まうオス猫である。
本書のサブタイトルは〈追いつめられた家族の告白〉である。では、なにが家族を追いつめたのだろう?行政の冷たさか? 社会の無関心か? 医療の進歩によって「生きてしまう」超高齢化社会のジレンマなのか?どれも少しずつ正しい。けれど、やはり、最も大きなものは、家族愛なのではないか。まわりに迷惑をかけてはいけないという責任感なのではないか。家族を愛していなければ、もっと割り切って、自分一人で介護を背負い込まなくてもすむ。もっと身勝手に、逃げ出してしまうこともできる。そうすれば、家族を殺めてしまうという最悪の選択だけはしないでもすんだのかもしれない。
多くの経験者が口を酸っぱくして言うことがある。介護が始まったら、とにかく一人で抱え込まず、時には手を抜くことが大切だ、ということだ。
「作り話だから」とか「非科学的だから」と排除してもいいものではないように思います。幽霊譚が語られる背景や、話の中に込められた被災地の方々の心に思いをはせるべきではないでしょうか。
「どうしてあんなことができたのですか」「仕方ないじゃない、相手は死んじゃってても、私の担当だったんだから。今まであれだけしてきたんだもの、仲良かったんだもの、何か言いたいことがあるから出てきているだけで、私たちに何か悪いことをしようとすることもないから」「でも、お婆さんはもう死んでいるんですよ」「生きているのよ。津波で死んだ人も、ここで死んだ人も、みんな、心の中だけじゃなくて、町のことが心配でここにいるんだよ。あんたみたいな若い役場の人が、早く街を元に戻してくれないと、お婆さんも他の人も心配であの世に行けないから、がんばんなさいよ」
マルクス・トゥッリウス・キケローローマの雄弁家、政治家、哲学者。ラテン散文の完成者。共和政末期の混乱の世に、最高の教養と雄弁をもって、不正の弾劾者、自由の擁護者として活躍。第1次三頭政治のもとで、前 58年追放され、翌年帰国後も自由な政治活動ができず、哲学的著作に従事。カエサル暗殺後再び元老院の重鎮として活躍。主要著書は『弁論家論』、『国家論』、『善と悪の限界について』、『トゥスクルム論叢』、『神々の本性について』など。(『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』より抜粋)
間違いなく言えるのは、スキピオー、それにラエリウス、老年に対処する最適の武器は諸々の徳の理の習得とその実践である、ということだ。この徳を人生のあらゆる段階で涵養すれば、長く、また大いに生きた暁には驚くほどの稔りをもたらしてくれよう。・・・・・言葉で繕い、弁解しなければならない老年は哀れな老年だ、と。威信というものは、白髪になり、皴ができたからといって、いきなりつかみとれるものではない。それまで立派に送った生涯が最後の果実として受け取るもの、それが威信というものなのだ。老年の報酬は、何度も述べたように、それ以前に獲得した善きものの豊かさと、その思い出だ。
人生100年と言われる時代、50代半ばで老後のことを考えるのは「早い!」
――という意見もあろうが、体力や気力や精力の衰えは否定しがたく、老いとその先にある死について考える夜もある。
自分がここ数年、老人介護の世界に関わって、さまざまな老いと死を見ているせいもある。
このたびのコロナ騒動で、仕事柄、自らの感染と死をある程度は覚悟しなければならなかったせいもある。
日本人の平均寿命が長くなったからこそ、老後問題が浮上したとも言える。
一昔前なら、いまのソルティの歳で定年を迎え、孫の面倒を見ながら数年の老後を過ごし、七十を迎える前にはあの世に逝っていった。
ソルティが小学生の頃、近所にひい祖母ちゃんはいても、ひい爺ちゃんはいなかった。
老後の不安を軽減するには、貯金や年金の確保、子供や孫と良い関係を作っておく、親戚や近所との普段からのつき合い、地域コミュニティに顔を出しておく、良いケアマネを見つけておく、足腰を鍛えて健康管理する、ボケないように頭や手先を使う作業をする・・・・など、いろいろな用心がある。
だが、より重要なのは心の問題だろう。
淋しさや孤独、人生についての後悔や不全感、退屈や虚しさ、生きがいや自己価値の喪失、ボケることの恐怖、下の世話や着替えを他人に手伝ってもらわなければならない屈辱、死の恐怖・・・こういったものと向き合わなければならない。
経典によると、天神ですらも、老いが心配だったらしい。
その時、一人の天神があり、夜もすでにふけたころ、その勝れた光をもって、くまなくジェータ林を照らしながら、世尊のましますところに到り、世尊を礼拝して、その傍らに坐した。
傍らに坐したその天神は、世尊の御前にあって、偈を説いていった。
われら老いる時なにものか善き
なにものかわれらの安らぎのところぞ
われらにとりて貴重なる宝はなんぞ
なにものか盗人に奪われざるものぞ
その時、世尊もまた、偈を説いて仰せられた。
戒はわれらの老ゆるとき善く
信はわれらの安らぎのところ
智慧はわれらが貴重なる宝
功徳は盗人によりて奪われることなし
(増谷文雄編著、ちくま学芸文庫『阿含経典2』、諸天相応「老い」より)
さて、前回のガータクイズの答え。
世尊は仰せられた。
( おのれ ) にもひとしき可愛きものなく
( 穀物 ) にもひとしき財宝はなく
( 智慧 ) にもひとしき光明はなく
( 雨 ) こそは最高の湖なり
ストーマ(stoma、ストマとも)とは、消化管や尿路の疾患などにより、腹部に便又は尿を排泄するために増設された排泄口のことである。ストーマを持つ人をオストメイトと呼ぶ。
(ウィキペディア『ストーマ』より抜粋)