日時 2024年5月12日(日)10:30~16:30
会場 日暮里サニーホール(荒川区)
主催 日本テーラワーダ仏教協会
久しぶりにウェーサーカ祭に参加した。
実に2017年以来、7年ぶり。
その間、足を骨折したり、コロナ禍があったり、修行意欲が薄れて、瞑想をさぼったり戒を破ってしまったり、いろいろあった。
仏道にも山あり谷あり迷い道あり。
ウェーサーカの語源は、サンスクリット語のヴァイシャーカ(第2の月)。
インド歴の第2の月は、西暦だと4月中旬~5月中旬にあたる。
テーラワーダ仏教では、お釈迦さまの誕生、成道(開悟)、入滅の3大重要事がすべてウェーサーカ月の満月の夜に起きたと伝えられており、この日に盛大なお祝いをする伝統がある。
年によって日にちは変わるが、5月の最初の満月に開催する習わしとなっている。(今年は5月23日)
大乗仏教の日本では、4月8日の花祭り(灌仏会)がそれに該当し、「天上天下唯我独尊」のポーズをした誕生仏に甘茶をかける風習が伝わっている。
会場には250~300人くらい集まった。
舞台真ん中に色とりどりの花に囲まれた金色のお釈迦さまが燦然と輝き、癒し系の音楽が流れていた。
会場外のブースにはスマナサーラ長老の著書はじめ、たくさんの仏教関連本が置かれ、人だかりになっていた。
長老の講演会や瞑想会の時とはまた違う、祝福の気に満ちた和やかな空気が会場を領している。
「ああ、ここに帰ってきた」
またたく間に7年の空白を埋めることができた。
「ああ、ここに帰ってきた」
またたく間に7年の空白を埋めることができた。
午前中は、読経とブッダ・プージャ(お釈迦様へのお供え儀式)とスマナ長老の法話。
昼休みをはさんで、午後はお坊様たちのお話がメインだった。
テーラワーダ仏教からはスリランカ出身のヘーマラタナ長老が話された。
スマナ長老の講演の折りなどにお姿を見かけることはあったが、話を聞くのははじめてだった。
日本人が外国語であるパーリ語のお経を学ぶ際の注意点などを話された。
続いて、大乗仏教系の5人のお坊様から短いスピーチがあった。
真言宗、浄土宗、日蓮宗・・・それぞれが迷える人生の中でスマナサーラ長老とご縁を得て、テーラワーダ仏教を学び、ヴィッパサナー瞑想を実践しながら、住職としての仕事に従事しておられる。
ユーモアある語り口は、さすが普段から一癖も二癖もある檀家信者を相手に法要を重ねているだけあるなあと感心した。
最後に参加者みんなが壇上に上がって、お坊様がたから祝福の言葉とともに手首に聖糸を結んでもらった。
実は、花粉症の薬のせいか、このところ眠くて仕方ない。
本日の祭典も、半分以上は座席でうつらうつらしていた。
でも、参加しただけでも十分価値があった。
日曜の夜を清らかな思いのうちに帰路に着けたのだから。
有志の方のお布施により配布されたお弁当
ありがとうございます
ありがとうございます
ときに、なんどかこの催しに参加しながら、今回はじめて、「あっそうか・・」と感じ入ったことがあった。
日本の花祭りはお釈迦さまの生誕を祝う。
一方、テーラワーダ仏教のウェーサーカは、生誕と成道と入滅(死)を祝う。
特に、入滅(死)を祝うというのが大きな違いである。
日本では昔から、死は穢れであり、忌避すべきものであり、悲しむべきものであり、人生最大の不幸である。
大事なお釈迦さまの死を祝うなんて、とんでもないことと映る。
しかるに、本来の仏教では「生」こそ苦しみであり、死は苦しみの終わりであるから決して不幸ではない。
とりわけ、生前に悟りを開いた修行者や善行を積んだ在家信者にとっては、死はより良い境遇への生まれ変わりを意味する。あるいは、お釈迦さまや阿羅漢すなわち最終的な悟りに達した修行者においては、二度と生まれ変わらない=輪廻転生からの解脱、すなわち涅槃を意味する。
それこそは仏道の最終的な目標であり、生命にとって最高の幸福である。
つまり、お釈迦さまの入滅(死)は、最高に寿ぐべき事象なのだ。
キリスト教と比較してみると、このことがよく分かる。
クリスマスはイエス・キリストの生誕を祝い、復活祭は死からの蘇りを祝う。
キリストの死を祝う記念日などあり得ない。
なぜなら、キリスト教では復活して「主」の審判を受けたあと天上で永遠の生命を得ることが、最大の幸福とされているからである。
西洋暦の起点がイエス・キリストの誕生の年であるのにひきかえ、仏教暦の起点がお釈迦さまの入滅した年に設定されているという事実は、この2つの世界的宗教の根本的な違いをまざまざと表している。
一方は永遠の生命、一方は生存からの離脱。
ちょっと前に公開されたアメリカ映画で、『Happy Death Day』というホラー映画があった。
ウェーサーカはまさにお釈迦さまの Happy Death Day を祝う日なのである。
ちなみに、今年はB.E. (Buddha Era) 2568
お釈迦さまが涅槃入りされて、2568年後である。
帰りに『星乃珈琲店』に寄ってケーキセットで休日を締めた
(肥満を恐れない境地にあったのはなぜでしょう?)
サードゥ、サードゥ、サードゥ
(肥満を恐れない境地にあったのはなぜでしょう?)
サードゥ、サードゥ、サードゥ