○ 完読したテキスト20冊
が、狭い世界。そのうちどこかで会えるだろう。
「変な施設だったらどうしよう?」
「意地の悪い担当者だったらどうしよう?」
「施設の職員や利用者とうまくコミュニケーションとれるだろうか?」
「一ヶ月、体力・気力続くかな?」
・・・といった心配があった。50歳過ぎても、こういう‘はじめてのこと不安’はついて回るものである。元来、悲観的なタチなんだな、自分。
障害者の生活介護の現場を見るのは初めてであった。まず、様々な障害を持つ利用者と出会い、障害の多様性に気づかされた。「障害者」とひとくくりにして支援できるものではなく、障害の種別に応じ、またそれぞれの方の性格や年齢や家族背景やADL(日常生活動作)や生活歴に応じ、個別の丁寧な支援が必要であることを、利用者やその家族を知る中で、またスタッフの支援方法を間近に見ることで、実感した。とても重い病気および障害を持ち常時の医療支援が必要な利用者がいた。通所中は2名の看護師がそばについて生活支援員と連携を取りながら適宜療養の世話を行い、本人が仲間と一緒に日常活動に参加できるようサポートしていた。障害者福祉の主要理念であるノーマライゼーションを実感した。また、自閉症の方々に接し、障害の特質を知り、これまで自分が持っていた偏見・誤解を是正することができた。普段の自分の職場である高齢者介護施設現場との違いをまざまざと知り、その理由を考察する機会になった。人手不足と業務過多のため「自立支援」という言葉がなかば形骸化している今の高齢者介護のあり方について改めて疑問を感じ、また‘スピード優先’で、利用者のできることでも奪ってしまいがちな自分の介護のあり方を反省すること度々であった。
一般に、障害者福祉の方が、職員配置含めケアが手厚く、本人や家族の権利意識が強く、施設運営への関わりも深いと感じた。(障害者自立運動の歴史、および面倒を見る相手が自分の親である場合と自分の子供である場合との違いに拠るのであろうか。)実習後半は、利用者の中から一人選び、その方の個別支援計画を作る作業をした。自分は20代のダウン症の女性を選んだ。朝から夕まで、彼女の近くで日常の様子を見守り交流しながら、できること・できないこと・興味あること・どのような支援が可能なのか・・・といった検討をし、個人ファイルからご家族の要望や入所以降の状況を把握し、自分なりの支援計画を作成した。
ここでもやはり、自施設の支援計画書に慣れた自分の作った計画書は、当事者の意思や要望を尊重するという点で思慮の足りないところがあった。相談援助における主役はあくまでも当事者であるという基本を改めて学ぶことができた。振り返ると、利用者の魅力とスタッフの方々の親切な指導に助けられて、乗り切った実習であった。深く感謝するものである。今後は、広い分野の社会福祉の現場に関心を持ち、動向を知り、新しい情報を取り入れるとともに、できるだけ現場で働く人や当事者の声を聞いて、生きた情報を取り入れていきたい。そして、当事者の自立や自己決定を尊重し、人としての尊厳を保つことのできるような相談支援や介助のあり方を学び、身につけていきたい。
社会福祉士を取って「どうする」というのは、現段階では実はあまり考えていない。