ソルティはかた、かく語りき

東京近郊に住まうオス猫である。 半世紀以上生き延びて、もはやバケ猫化しているとの噂あり。 本を読んで、映画を観て、音楽を聴いて、芝居や落語に興じ、 旅に出て、山に登って、仏教を学んで瞑想して、デモに行って、 無いアタマでものを考えて・・・・ そんな平凡な日常の記録である。

  オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108

● 新連載予告!  『オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108』

 このところ、一昨年に結願した四国遍路の旅の記憶が、ちょっとしたきっかけで不意によみがえってくることが多い。
 旅を終えたばかりの時に圧縮保存しておいたものが、時間が経つにつれ解凍して記憶の底から浮上してきたみたいな感じ。

 あそこであんなことがあった。
 ここでこんな人と出会った。
 かしこでこんなものを見た。
 そこではこんなことを思った。
 ・・・・・等々。
 
 きっと、ここ数ヶ月のコロナ自粛のせいで旅に出られない欲求不満から、頭の中で自然と四国遍路の記憶を引っ張り出して反芻しているのだろう。
 あるいは、あまりに重すぎてすぐには消化できなかったものが、やっと消化(昇華)できるほどに余裕が生まれたのだろうか。

 ならばこの機会にブログ上でもう一度、四国遍路をめぐってみよう。
 1番札所から順に、徳島→高知→愛媛→香川の108の霊場(88札所+別格20札所)をたどり、撮影した画像とガイドブックと旅日記をたよりに、記憶を新たにしてみようではないか。


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 ただの日誌では芸がないので、ちょっとした趣向を凝らす。

 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを詠んだものが多い。
 たとえば、徳島にある22番札所・白水山平等寺(はくすいざんびょうどうじ)の御詠歌は、

  平等に へだてのなきと きく時は あらたのもしき 仏とぞみる
  

 これにならって、オリジナルの御詠歌を作ってみたいと思う。
 やはり寺の名前を歌に盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などを一首に込める。

 1回の記事で6つの札所をめぐれば、18回で完遂し、108の歌ができる。
 3日に1度くらいのペースで記事をアップできれば、約2ヶ月で四国一周できる。
 ちょうど自分が実際の旅で要した日数と重なる。

 コロナ自粛でもバーチャルツアーなら可能である。
 読んだ人が、一緒に四国を旅した気分になってもらえれば、つまりソルティと空海と同行三人になってくれたら、うれしい限りである。
四国巡礼坊や


● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第1回(第1~5番)

 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【徳島県】
池谷駅
出発はJR高徳線・池谷駅


十輪寺
十輪寺(談議所)
弘法大師はこの寺で僧侶たちに説法し、
四国霊場の開創を談義したという


第1番霊山寺参道
1番霊山寺参道

第1番霊山寺山門
山門に到着


1番札所:竺和山 霊山寺(じくわさん りょうぜんじ)

1番
 霊山の 庭に還れる 日を想い 
 大師の杖を 買いもとめけり 


御本尊: 釈迦如来
本歌 : 霊山の 釈迦の御前に めぐり来て よろずの罪も 消え失せにけり
コメント: 境内の池のほとりのベンチに、着古した白衣をまとったフランス人らしい若い女性がひとり腰かけて、あたりを感慨深げに見回していた。遠い異国での長い巡礼を終えて、お礼参りのために1番に戻ったのだろう。真っ白な衣と買ったばかりの杖をまとった自分は、彼女の目にどのように映っていたことやら。
【次の札所まで1.4㌔】

霊山寺境内
霊山寺境内


阿波一宮神社鳥居
阿波一宮・大麻比古神社
1番から山の手に入った徒歩20分のところにある


阿波一宮神社
四国4県の各一宮神社も参拝、御朱印をもらうことにした


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第2番極楽寺
2番極楽寺山門



2番札所: 日照山 極楽寺(にっしょうざん ごくらくじ)

2番
 極楽へ 通じる道の 二つあり
 団体用と 個人用


御本尊: 阿弥陀如来
本歌 : 極楽の 弥陀の浄土へ 行きたくば 南無阿弥陀仏 口ぐせにせよ
コメント: 札所でバスツアーの団体客とぶつかり、納経所で御朱印をもらう順番を先を越されると、やたら待つこととなり、時間をロスする。それが分かってからは、団体客を見かけるやいなや、参拝より先に納経所に走ることもあった。2番札所には、団体客専用窓口があった。(確か108札所中、ここだけだった)
【次の札所まで2.6㌔】

第2番極楽寺長命杉
境内には弘法大師が植えたと言われる
長命杉(高さ約31m、周囲約6m)がある
それがまことなら樹齢1200年になる・・・


3番への道(遍路札)
へんろ道を示す道標


3番への道(コスモス街道)
町を左手に見やりつつ野辺の道をいく



3番札所: 亀光山 金泉寺(きこうざん こんせんじ)

3番
 長生きを 望むものでもないけれど
 金の泉に 顔探したり


御本尊: 釈迦如来
本歌 : 極楽の 宝の池を 思えただ こがねの泉 澄み湛えたる
コメント: 底を覗いて顔が映ったら長生きできる、と言われている黄金井戸があった。17番井戸寺にも同じ趣向の井戸があり、「専売特許を侵しているなあ。しかも先手を取って・・・」とおかしく思った。(どっちが「元祖」かは不明)
【次の札所まで5.0㌔】


3番金泉寺
金泉寺境内


3番金泉寺井戸
黄金井戸


4番への道(休系所)
4番への道
こうした休憩所がところどころにあるのが有難い


4番への道(山道)
足元の悪い山道に入る


4番大日寺遠景



4番札所: 黒巌山 大日寺(こくがんざん だいにちじ)

4番
 山越えて やっと顔出す 大日や
 へんろの寺は かくもあるべし


御本尊: 大日如来
本歌 : 眺むれば 月白妙の 夜半なれや ただ黒谷に 墨ぞめの袖
コメント: 3番までの平坦なアスファルト舗道から離れて、畦道から切通しの泥道へと入っていった。小さな峠を越えてやっと見えた伽藍の威容に、「これぞ歩き遍路の醍醐味」とありがたく思った。が、これは序の口も序の口・・・・。
【次の札所まで2.0㌔】


4番大日寺境内
大日寺境内
遍路100回を超える関西の男性(86)から
金の納札(おさめふだ)をもらった
30年以上遍路を続けているとかで、ご朱印帳が真っ赤だった


5番への道(五百羅漢2)
番外霊場 五百羅漢
羅漢とは阿羅漢とも言い、最高の悟りに達した人のこと
個性的な表情や動作で表現されることが多い
ここのは真面目なものが多かった


5番への道(五百羅漢)
中にはこんな御方も・・・


5番への道(風景)
五百羅漢裏手から5番地蔵寺に下る階段

 

5番札所: 無尽山 地蔵寺 (むじんざん じぞうじ)

5番
 荘厳な 五百羅漢の 下にいる
 いくさ地蔵は のどかなるかな


御本尊: 勝軍地蔵菩薩
本歌 : 六道の 能化の地蔵 大菩薩 みちびきたまえ この世のちの世
コメント: 番外霊場の五百羅漢のすぐ下にある。静かな悟りの境地にいる阿羅漢たちの像を拝したあとで、夕暮れの地蔵寺はほっとするような懐かしい気配に満ちていた。樹齢600年の大イチョウもまた、厳めしさよりも優しさを感じさせた。第一日の無事終了のためもあろうか。
【次の札所まで6.5㌔】


5番地蔵寺(大師堂)
地蔵寺・大師堂
カラフルで美しい


5番大銀杏
樹齢600年の大イチョウ


別格1番への道(畑)
大山寺への道
すがすがしい朝の大気の中、最初の試練
あの山を登るのか・・・


別格1番大山寺山門
大山寺山門



別格1番札所: 佛王山 大山寺(ぶつおうざん たいさんじ)

1番
 本道を はなれて登る 大山に
 阿波の平野を 俯瞰する我


御本尊: 千手観音菩薩
本歌 : さしもぐさ たのむちかひは 大山の 松にも法の 花やさくらむ
コメント: 最初の別格寺は、88の本道から6キロ以上離れた標高450メートルの山の上にあった。途中の山道から見下ろした、山々を背にした吉野川流域の平和な光景と、我慢できずに野グソを垂れたことが記憶に残っている。
【次の札所まで6.8㌔】


別格1番大山寺
大山寺境内
静かで清浄で緑うるわしく
ああ、ずっとここにいたい!


大山寺からの風景
ついに遍路に来たなあ~




四国の白地図第1回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  







   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第2回(第6~11番)


 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【徳島県】


6番札所: 温泉山 安楽寺(おんせんざん あんらくじ)

6番

 安楽を 求めてひとり 道ゆけば
 「お接待よ」と かかる声あり

御本尊: 薬師如来
本歌: かりの世に 知行争う 無役なり 安楽国の 守護をのぞめよ
コメント: 安楽寺を出たところで遍路最初のお接待にあずかった。車から降りた妙齢のご婦人は豆パンを差し出すと、こちらにお礼も言わせないまま、さっと去っていった。そのスマートなやり方にいたく感心した。すぐ近くの路傍に遍路の父・真念上人の立てたしるべ石(道標)があったので、いったんお供えしてから食べた。
【次の札所まで1.2㌔】


6番安楽寺山門
6番安楽寺山門


7番への道(真念の碑)
真念しるべ石


7番への道(畑中)
このあたりは牧歌的な景色が広がる



7番札所: 光明山 十楽寺 (こうみょうざん じゅうらくじ)

7番
 御朱印を もらい損ねて 十楽寺
 ゴールはここと 早や決まりけり


御本尊: 阿弥陀如来
本歌: 人間の 八苦を早く 離れなば 至らん方は 九品十楽 
コメント: 翌朝訪れた8番札所で、7番の御朱印ページが白紙のままであることに気づいた。あちゃー! 参拝した後に境内の休憩所で荷を解いて一服したのが原因。納経まで済ませてから休むべきであった。が、「これもきっと何かの縁。最後に戻って来よう」と、気を取り直した。別バージョン⇒「荷を解いて 十分ほどの 楽あれば 御朱印のこと 忘れ去(い)にけり」
【次の札所まで4.2㌔】


7番十楽寺山門
7番十楽寺山門


7番十楽寺大師堂
大師堂
各札所の本堂と大師堂の2カ所で
経をあげるのが基本


7番十楽寺(不動明王)
威圧感ある不動明王
戦没者慰霊のため建てられたもの
(体の比率配分を間違えたか、足が短い)



8番札所: 普明山 熊谷寺 (ふみょうざん くまだにじ)

8番
 突然の 雨に降られて 「くまったに(困ったね)」
 弁天様の 加護を受けしか

御本尊: 千手観音菩薩
本歌: たきぎとり 水くま谷の 寺に来て 難行するも のちの世のため  
コメント: 朝から曇り空だった。熊谷寺の境内に一歩入ったらいきなりの大雨。合羽を出すのも面倒なので、しばらく雨宿りした。あとから思えば、ここには水の神様・弁財天を祀る池があり、本歌にも見るように水と関係の深い札所なのであった。
【次の札所まで2.4㌔】


8番熊谷寺境内
8番熊谷寺境内



9番札所: 正覚山 法輪寺 (しょうかくざん ほうりんじ)

9番
 畑中に 法輪まわす 翁あり
 大福配る 使いとぞ見ゆ


御本尊: 涅槃釈迦如来
本歌: 大乗の ひほうもとがも ひるがえし 転法輪の 縁とこそきけ  
コメント: 広々した畑の中に立つ気持ちよいお寺。88札所中、涅槃像(息を引きとったばかりのお釈迦さま)を本尊とするのはここだけ。境内の東屋で休んでいると、自転車に乗ったお爺さんがどこからともなく現れ、でかい大福もち6個入りのパックをくれた。ありがたい反面、とても食べきれず、増えた手荷物に戸惑った。いくつかは道中のお地蔵さんにお供えした。
【次の札所まで3.8㌔】


9番法輪寺境内
9番法輪寺納経所


10番への道(地蔵)



10番札所: 得度山 切幡寺 (とくどざん きりはたじ)

10番
 切幡の 空へと続く 石段の
 先にまします はたきり乙女


御本尊: 千手観音菩薩
本歌: 欲心を ただひとすじに 切幡寺 のちの世までの 障りとぞなる  

コメント: 仁王門をくぐったところにある333段の石段に圧倒される。「えいっ!」と気合を入れて登りきると、本堂の横に立つ布とハサミを手にしたはたきり観音がなんともたおやかで麗しい。修行中の弘法大師が、僧衣のほころびを繕うために布切れを所望したところ、乙女は織りかけていた布を惜しげもなく切って差し出したという。
【次の札所まで9.3㌔】


10番幡切寺石段
10番切幡寺の石段


10番幡切寺石段2
鬱蒼とした木立が広がる


10番切幡寺(はたきり観音)
はたきり観音
11番への道(マンジュシャゲ)
台風襲来の前日であった


11番への道(八幡宮)
阿波市(旧市場町)の八幡宮
この近くの交番で道を尋ねたら、でかい車道を教えられ、
かえって遠回りになってしまった
地元民は必ずしもへんろ道に詳しくはないと学んだ


11番への道(八幡宮神殿)
神殿の中
天上には大きな櫂があった
由来を確かめなかった(ご存じの方、教えてください)


11番への道(八幡宮額絵)
飾られていた武士の絵
由来が気になる

11番への道(移動スーパー)
道を教えてくれた移動スーパーのおじさん


11番への道(吉野川)
阿波中央大橋で吉野川を渡る


11番への道(吉野川2)
四国三郎の異名をもつ
利根川(坂東太郎)・筑後川(筑紫次郎)と並び
日本三大暴れ川に数えられている


11番への道(吉野川3)
このとき(2018年9月30日)の台風でも氾濫
流域の家々が浸水した


11番への道(JR徳島線)
JR徳島線を渡る


11番への道(鴨島駅)
鴨島駅
歩きへんろが最初に踏み入れるわりと大きな町


11番への道(台風前夜)
ホテルの窓から見た景色
目の前の山々がすっかり煙っている
翌日はこのホテルに缶詰めとなって台風をやり過ごした


ホテルロードサイド
台風一過


11番への道(焼山をのぞむ)
11番への道
我をまねくは焼山


11番藤井寺
11番への参道



11番札所: 金剛山 藤井寺 (こんごうざん ふじいでら)

11番
 この先は へんろころがし ぶじいのり(無事祈り)
 シューズのひもを 結び直さん

御本尊: 薬師如来
本歌: 色も香も 無比中道の 藤井寺 真如の波の たたぬ日もなし  
コメント: 参道の清らかな流れに心洗われる。その名の通り、藤の花が有名なお寺。遍路たちにとっては、これから始まる道中最大の難所を前に、装備をチェックし、身心を整え、地図を確かめ、気合を入れ、無事を祈る、マラソンのスタート地点のような札所である。
【次の札所まで12.9㌔】


焼山寺への道
さあ、いよいよ遍路ころがしのスタートだ!



四国の白地図第2回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  







   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第3回(第12~16番)


 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【徳島県】

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へんろころがし(11番藤井寺~12番焼山寺)断面図
その日の宿まで4つのピークを越える
最後の450mが玉ヶ峠
(へんろみち保存協力会編『四国遍路ひとり歩き同行二人』より)


12番への道(台風あと)
台風の爪あと生々しい山道


12番への道(柳水庵手前)
振り向けばこれまで歩いてきた平野が広がる


12番への道(長戸庵)
登り始めて約1時間、そろそろ休憩したい
ちょうどいいところにある長戸庵


12番への道(柳水庵)
また1時間歩くと柳水庵
湧き水で喉を潤せる


13番への道(へんろ小屋)
地域のボランティアグループが管理する遍路小屋


12番への道(柳水庵へんろ小屋)



12番への道(浄蓮庵)
一番のピーク浄蓮庵(745m)
お大師さまが迎えてくれる


12番への道(浄蓮庵3)
ここで掃除していた地元のボランティアの方と喋る
「東京から出店した企業が地元の店をつぶしておいて、
儲からないからとすぐ去っていくのは詐欺同然」
と怒っておられた
もっともな話


12番への道(谷の川)
400mまで下って左右内谷川を渡り
また登る


焼山寺(山門)
焼山寺山門(700m)
11番スタートから約5時間で到着!



12番札所: 摩盧山 焼山寺(まろざん しょうざんじ)

12番
 焼山で 燃え尽きること なかりしに
 玉ヶ峠に 転がされたり


御本尊: 虚空蔵菩薩
本歌 : のちの世を 思へばくぎょう 焼山寺 死出や三途の 難所ありとも
コメント: アップダウンのはげしい焼山だが、山歩きに慣れていたおかげか、思ったほどきつく感じなかった。参拝を終え下山してほっと一息。「あとは宿に行くだけ」とルンルン気分で向かった玉ヶ峠(455m)がよもやの難関だった。歩きづらい岩登りと、延々と続く舗装の下り道に、足が棒になった。
【次の札所まで5.9㌔】

焼山寺境内
焼山寺境内


焼山寺(景色)
境内からの風景


玉が峠
玉ヶ峠頂上


玉が峠2



13番への道(鮎喰川遠景)
鮎喰川(あくいがわ)が見えたらゴールは近い


13番への道(鮎喰川遠景2)



植松旅館の食事
植村旅館の夕餉
ふだんなら多すぎる量だが、ペロリと平らげた


13番への道(鮎喰川近景)
翌朝、翡翠色にかがやく鮎喰川の岸辺を歩く


童学寺トンネル
新童学寺トンネルを抜けて


童学寺トンネルの向こう
町に戻ってきた



別格2番札所: 東明山 童学寺 (とうめいざん どうがくじ)

2番
 童学の 長いトンネル 抜けたれば
 受難の寺は 砂山のなか


御本尊: 薬師如来
本歌 : まいるなら 三世の悪行 消へはてる 南無や薬師の 瑠璃の光に  
コメント: 遍路初のトンネルは全長641mの新童学寺トンネル。歩行者専用通路があり、危険は感じなかったものの、かたわらをトラックが通過する際の笠を飛ばすほどの風圧に驚いた。たどりついた別格2番は工事中で、山門の脇で大きなクレーン車が動いていた。看板によれば火事にあったばかりで、再建のため3億円必要とか・・・。お寺もたいへんだ。
【次の札所まで6.2㌔】

別格2番童学寺山門
童学寺山門


別格2番童学寺湧き水
お筆の加持水
弘法大師が硯の水に使ったという
書道の修練に用いれば誰でも筆達者になれる



13番札所: 大栗山 大日寺 (おおぐりざん だいにちじ)

13番
 コリアより 舞姫来たり 大日に
 しあわせ祈る 菩薩にも似た


御本尊: 十一面観音菩薩
本歌 : 阿波の国 一の宮とは ゆうだすき かけて頼めや この世のちの世  
コメント: ここの住職は韓国籍の女性で人間国宝・金昴先(キム・ミョウソン)さん。舞踏団のツアーで来日したときに先代住職に見染められ結婚、住職に先立たれ、跡を継いだのである。運よく、納経所で拝顔することができた。境内の「しあわせ観音」に似た美人であった。
【次の札所まで2.3㌔】

13番大日寺本堂
大日寺境内


しあわせ観音
しあわせ観音


一宮神社(13番前)
道をはさんだ向かいにある一宮神社
石柱に「阿波國一宮」と刻まれているが・・・


一宮神社境内(13番前)
初日に詣でた大麻比古神社が阿波一宮ではないの?


一宮神社(縁起)
どうやら“本舗”争いしているらしい



14番札所: 盛寿山 常楽寺 (せいじゅざん じょうらくじ)

14番
 常楽の 眠りむさぼる 猫たちが
 水の岩にて 蹴伸びするなり

御本尊: 弥靭菩薩
本歌 : 常楽の 岸にはいつか 至らまし ちかいの船に 乗りおくれずば  
コメント: この寺はよく印象に残っている。お寺が水成岩の上に建っていて、秩父札所19番龍石寺を思い出した。「おかげで水はけがいいんですよ」と寺庭婦人。境内では数匹の猫が我が物顔に歩き回り、ところかまわず身を伸ばしていた。お寺と猫は相性がいい。ソルティも一緒になってくつろいだ。
【次の札所まで0.8㌔】

14番常楽寺
常楽寺境内


14番常楽寺(猫たち)



15番札所: 薬王山 国分寺 (やくおうざん こくぶんじ)

15番
 天平の 遠きを思う 国分寺
 槌の音さえ しじまの中に


御本尊: 薬師如来
本歌 : 薄く濃く わけわけ色を 染めぬれば 流転生死の 秋のもみじ葉
 
コメント: 国分寺は聖武天皇の命により全国に造られた由緒あるお寺。ここは、法相宗→真言宗→曹洞宗と宗派が変わっている。往時は栄えたことだろう。全面的に改装工事中で、令和2年3月完成予定とあった。もうお披露目しているのだろうか。有名な枯山水の庭も見たかったなあ。
【次の札所まで1.8㌔】


15番国分寺
国分寺山門



16番札所: 光耀山 観音寺 (こうようざん かんおんじ)

2番
 いにしえの 国府のまちの 観音寺
 暮れの光に 丸腰のまま


御本尊: 千手観音菩薩
本歌 : 忘れずも 導きたまえ 観音寺 西方世界 弥陀の浄土へ  
コメント: JR徳島線府中(こう)駅近くにある。一日の最後を締める札所でほっと一息。立派な門こそあるものの塀や囲いのない境内は、周囲の民家とそのままつながって国府の町に溶け込んでおり、村の鎮守とでもいった親しみやすい風情。境内でお爺さんとお孫さんらしき女児が遊んでいる姿がまたその感を強めた。
【次の札所まで2.8㌔】

16番観音寺
観音寺




四国の白地図第3回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  







   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第4回(第17~21番)

 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【徳島県】


JR徳島線府中駅
JR徳島線・府中(こう)駅からスタート


17番井戸寺
住宅街にある井戸寺


17番札所: 瑠璃山 井戸寺 (るりざん いどじ)

17番
 おもかげは 井戸に映りし 然れども
 三年を待たず 足折れにけり
 

御本尊: 七仏薬師如来
本歌 : おもかげを 映してみれば 井戸の水 むすべば胸の 垢やおちなむ
コメント: 弘法大師が掘った井戸を覗いて、自らの姿が映れば無病息災、映らなかったら3年以内の災厄に要注意という。しっかり映ったから、「これで向こう3年は大丈夫」と安心したのだが、結願1年後に・・・。ファインダー越しに覗いたのがまずかったか? ここから徳島市街地に突入する。
【次の札所まで16.8㌔】

17番井戸寺(井戸)
面影の井戸


阿波おどり会館
徳島駅近くにある阿波おどり会館
背後は眉山


18番への道(国道)
徳島市街地
眉山を振り返る


18番への道(道標)



18番への道(パチンコ店)
不動明王が立つパチンコ店


18番への道(道路標識)
室戸まで128km
・・・・・・・。



18番札所: 母養山 恩山寺 (ぼようざん おんざんじ)

18番
 笠忘れ 来た道もどる 戒めは
 親の恩山 忘れるなとや


御本尊: 薬師如来
本歌 : 子をうめる その父母の恩山寺 とぶらいがたき ことはあらじな
コメント: 納経を済ませたあと、買ったばかりの菅笠がないことに気づいた。30分前に休憩をとった国道沿いのセブンイレブン! 秩父巡礼でも同じことがあった。早く気づいて良かった、平坦な道で良かった、体力と気力のある最初のうちで良かった、いやこの1時間のロスには何か意味があるのかも・・・。いろいろ自分を慰めつつ、取りに戻った。
【次の札所まで3.1㌔】

18番恩山寺
恩山寺境内
弘法大師がこの寺で修行中に母親が訪ねてきた
17日間にわたる女人解禁の秘法を行ったのち
母を受け入れ孝行を尽くしたという



19番札所: 橋池山 立江寺 (きょうちざん たつえじ)

19番
 たびたびの 祝融を受け 立江寺の
 堂をまもるは 信徒のいのり


御本尊: 延命地蔵菩薩
本歌 : いつかさて 西のすまいのわが立江 弘誓(ぐぜい)の船に 乗りて至らん
コメント: 徳島の札所を巡っていると、二人の戦国武将の名前が良く出てくる。蜂須賀氏と長宗我部氏である。四国制覇をめざした土佐の長宗我部氏が焼き滅ぼした寺を、阿波藩主の蜂須賀氏が再興したという話が多かった。ここ立江寺もその一つで、16世紀末、長宗我部元親の手により全焼。昭和49年にも本堂が焼けている。祝融(しゅくゆう)とは火事のこと。
【次の札所まで20㌔】

19番立江寺
立江寺境内


20番への道(まっすぐな道)
立江寺から滑走路のような県道28号を行く
並行している本来のへんろ道に気づかなかった


20番への道(大木)
櫛渕の八幡神社の巨大クスの下にて休憩


20番への道(ローソン)
この日は雨が降っていた
ポンチョを着たら中は汗だく
かえってびしょ濡れに


20番への道(沈下橋)
星の岩屋に向かう沈下橋(勝浦川)


20番への道(星の岩屋2)
番外霊場・星の岩屋
弘法大師が秘法により悪星を落下させたという


20番への道(星の岩屋)
裏見の滝
その名の通り、滝の裏側に入ることができる



別格3番札所: 月頂山 慈眼寺(げっちょうさん じげんじ)

3番
  奥山の 滝の轟音 浴びたれば
 一瞬にして 別のじげん(次元)へ


御本尊: 十一面観世音菩薩
本歌 : 天とふや 鶴の奥山 おくたえて 願ふ功力に 法ぞ通わん
コメント: 丸一日を費やした別格。穴禅定と灌頂(かんじょう)の滝が名所。とくに台風後の滝は水量はんぱなく、140mの高さからもの凄い勢いで落ち、轟音と水けむりに圧倒された。四国遍路・感動の風景の一つである。宿泊したのは小学校を改装した宿。教室に泊まるのは面白かった。
【次の札所まで10㌔】

別格3番慈眼寺
慈眼寺境内
お寺の方にパンをいただいた


灌頂の滝2
灌頂の滝


灌頂の滝1
滝の近くまで登ることができる


感情の滝3
滝の中ほどで虹を見る


感情の滝4
滝の上からの光景


宿さかもと
小学校を改装した「ふれあいの里さかもと」


宿さかもとの廊下
廊下を走ってはいけません


20番への道(山道の倒木)
台風被害残る鶴林寺への山道
倒木をボランティアの方が切断してくれている


第20番鶴林寺参道
杉木立の爽やかな鶴林寺参道



20番札所: 霊鷲山 鶴林寺 (りょうじゅざん かくりんじ)

20番
 迎えつる 鶴のカップル 尻目にし 
 へんろは休む 林に独り

御本尊: 地蔵菩薩
本歌 : しげりつる 鶴の林をしるべにて 大師ぞいます 地蔵帝釈  
コメント: 20~21番は「へんろころがし」として有名。500m登って鶴林寺、40mまで下り那賀川を渡り、すぐまた520m登って太龍寺。そこからの下りも延々と長く、最後に急斜面が待っている。鶴林寺ではともかく休むのが第一で、境内をゆっくり見物という気分になれないのがもったいないところ。
【次の札所まで6.7㌔】

第20番鶴林寺
鶴林寺本堂
雌雄の鶴が守護する


21番への道(那賀川の水井橋2)
那賀川にかかる水井橋
前方の山頂に太龍寺


21番への道(那賀川の水井橋)
振り向けばさっき詣でた鶴林寺の山



21番札所: 舎心山 太龍寺 (しゃしんざん たいりゅうじ)

21番
 太龍の 泳ぐ美空を 望み見て
 大師は笑まふ 岩の舳先に

御本尊: 虚空蔵菩薩
本歌 : 太龍の 常に住むぞや げに岩屋 舎心聞持は 守護のためなり  
コメント: 西の高野と称されるだけあって、凛と霊気みなぎる古刹であった。境内から少し下った崖の先端に、東を向いて坐している弘法大師の大きなブロンズ像がある。19歳のみぎり、ここで真言を百万回唱える修行をしたという。ご尊顔をカメラにおさめたくて、岩をよじ登って前に回り込んだ。やさしい大らかな笑顔があった。
【次の札所まで10.9㌔】

21番太龍寺境内
太龍寺境内


21番太龍寺(龍の天井)
見どころの一つ、龍天井


21番太龍寺(南の捨身ヶ岳)
南の舎心ヶ嶽

21番太龍寺(南の捨身ヶ岳2)
なんとも良いお顔であられる
思わずハグしてしまった


21番太龍寺(南の捨身ヶ岳3)


21番太龍寺(南の捨身ヶ岳4)
こんな景色を見ておられた



四国の白地図第4回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  


次回予告!
ついに海辺に到達します‼







   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第5回(第22~26番)

 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【徳島県】


22番札所: 白水山 平等寺 (はくすいざん びょうどうじ)

22番
 五色なる 仏のひかり 平等に
 暮れゆく寺の 空を染めたり


御本尊: 薬師如来
本歌 : 平等にへだてのなきと きく時は あらたのもしき 仏とぞみる  
コメント: 高知からやって来た柔道体型の31歳の青年(野宿組)と語りながら、最後の峠を越え、納経所の閉まる直前にたどりついた。仏教を象徴する五色(赤・紫・白・黄・緑)の旗や帯が夕暮れの境内上空にひらめいて、鮮やかさに見惚れた。ここには足の不自由な人が巡礼に使った箱車が納められている。
【次の札所まで19.7㌔】



22番平等寺境内
平等寺境内


22番平等寺(箱車)
箱車


23番への道(初海)
ついに海岸線に到達!
(海部郡三波町の由岐漁港)


23番への道(南海地震の碑)
南海地震の津波の水位を示す碑
1946年(昭和21年)12月発生
死者・行方不明者は1443人に及んだという


23番への道(たいの浜)
たいの浜


23番への道(山座峠)
山座峠にてへんろ道を整備する人々
このあたりは、山と浜とが交互する(八坂八浜と言われるゆえん)



23番札所: 医王山 薬王寺 (いおうざん やくおうじ)

23番
 薬王の 闇に浮かびし 瑜祇(ゆぎ)塔は
 日和佐のまちの 灯台のごと

御本尊: 薬師如来
本歌 : みな人の 病みぬる年の 薬王寺 瑠璃の薬を あたえまします  
コメント: ウミガメで有名な日和佐の町と港を見下ろすかのように、小高い丘に立っている。中華風の朱色の塔が夜はライトアップされ、異国情緒を醸し出す。「日和佐まで来れた人は結願できるよ」と宿の女将に言われたのが心強かった。このあたりから脱俗気分が深まっていく。
【次の札所まで19.7㌔】

日和佐の夕暮れ
暮れゆく日和佐のまち
山の中腹に光るのが瑜祇塔


日和佐の宿
築100年の民家を改造した宿の部屋
明治時代の書生になった気がした


23番薬王寺
瑜祇塔
日和佐から室戸岬までは国道55号をひたすら歩く


24番への道(牟岐のデパート)
牟岐町のかつてのデパート
牟岐駅前で地元のおばさん(60代)と会話
「昔は賑やかだったのに、すっかり変わった」
「いるのは、おじいちゃん、おばあちゃんばかり」
「病院だけが残っている」



別格4番札所:鯖大師本坊(さばだいしほんぼう)

4番
 鯖を手に 語る大師の 本気度は
 ハトヤ坊主に 及ばざるかも 

御本尊: 弘法大師
本歌 : かげだにも 我名を知れよ 一つ松 古今来世を すくひ導く  
コメント: 徳島県最後のお寺。八坂山八坂寺(やさかじ)という寺号より、鯖大師の愛称で知られる。鯖を手にした弘法大師の像があると聞いていたので、昔のハトヤのCMの男の子(あれは少女ではありません)を想像していた。が、持ち方がそっけなかったので気が抜けた。このあたりはエビやアワビなど獲れたての魚介類を豪快に網焼きした海賊料理で有名。
【次の札所まで55.7㌔】


別格4番鯖大師本堂
鯖大師境内


別格4番鯖大師
山腹をくりぬいてつくられた全長88メートルの洞窟
四国88カ所のご本尊が並んでいる


別格4番鯖大師石像



24番への道(水床トンネル)
水床トンネルを抜けて高知県へ!


【高知県】

24番への道(東洋町の海)
東洋町はサーファー天国


24番への道(東洋町の宿)
泊まった宿の柱の落書き
当時17歳だった彼もいまや50歳近い
女将の話ではずっと通い続けているとか


24番への道(55号山と海)
岬巡りが延々と続く


24番への道(55号道路標識)



24番への道(夫婦岩)
ダイナミックな夫婦岩


24番への道(網を修理する漁師たち)
室戸市の三津漁港付近
漁を終え網を整備する漁師たち


24番への道(室戸水族館)
人気の高い室戸廃校水族館


24番への道(室戸水族館2)



24番札所: 室戸山 最御崎寺 (むろとざん ほつみさきじ)

24番
 ここがまあ 嵐のメッカ 最御崎
 白き大師は テレビの人よ

御本尊: 虚空蔵菩薩
本歌 : 明星の 出でぬる方の東寺 暗き迷いは などかあらまじ  
コメント: ついに室戸岬に到達。台風の際のテレビ中継でよく目にする白い弘法大師青年像を目にしたとき、有名タレントに会ったかのような感激が湧きおこった。岬の灯台に立つと、三面が海に囲まれる。西に目を向けると、幾重にも重なる岬のはるか彼方に足摺岬がかすんで見えた。あそこまで歩くのか・・・・。
【次の札所まで6.5㌔】

24番への道(白い大師像)
弘法大師19歳の青年像
高さ21メートル
昭和59年(1984年)に建立された


24番への道(みくろど)
御蔵洞(みくろど)
瞑想中の空海の口に金星が飛びこみ悟りに至った
現在、崩落の危険があり中には入れない


IMG_20181012_191915


室戸岬2
岬の先端は岩場だった

室戸岬
灯台からの景色
(画像拡大すると足摺岬が線になって見えます)


24番最御崎寺
最御崎寺境内
今夜の宿りは宿坊である


25番への道(室戸スカイラインからの景色)
翌朝、室戸岬を回って伊予湾を望む


25番への道(紀貫之の碑)
紀貫之朝臣泊舟之碑(津呂港)
土佐国司の任を終え都に帰る途中でシケに遭い、当地に泊まったことが
『土佐日記』に記されているとか
背後に見える白いビル(ホテルか?)の廃墟ぶりが目を引く



25番札所: 宝珠山 津照寺 (ほうじゅさん しんしょうじ)

25番
 津寺へと 往く道中で もよおして
 まさに駆け込み寺となりしか


御本尊: 揖取地蔵菩薩
本歌 : 法の船 入るか出づるかこの津寺 迷う我が身を のせてたまえや  
コメント: 室戸岬を制覇し、足も慣れて調子づいてきた頃。うかれ歩いていたら急に便意が! さっきのコンビニ(Yショップ)まで戻るか、それとも札所か。あぶら汗かきつつ、お寺に駆け込んだ。
【次の札所まで3.8㌔】



25番津照寺
津照寺山門


25番津照寺2
竜宮城のような鐘楼門



26番札所: 龍頭山 金剛頂寺 (りゅうずざん こんごうちょうじ)

26番
 金剛杖 ついて登りし頂に
 南国土佐の 風ぞ吹きぬる

御本尊: 薬師如来
本歌 : 往生に 望みをかくる 極楽は 月のかたむく 西寺の空  
コメント:団体客とかち合ったため、納経所が空くまで展望のよいところで涼みながら眺めを楽しんだ。自分が延々歩いてきた道や通り過ぎた町を高所から振り返るのは爽快である。室戸岬の西側の層なすヘアピンカーブ(室戸スカイライン)が面白い。
【次の札所まで27.5㌔】

26番金剛頂寺本堂
本堂


26番金剛頂寺(風景)
境内より室戸岬を望む




四国の白地図第5回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  


次回予告!
高知市内に入ります‼




   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第6回(第27~32番)


 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【高知県】

吉良川町
室戸市吉良川町
国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている
明治期に建てられた漆喰壁の商家や、水切り瓦の蔵が立ち並ぶ


吉良川町2
“石ぐろ”と呼ばれる外壁
風雨から家を守るために河原石や浜石でつくられている


吉良川町3
迷路のように入り組んだまちの散策が楽しい
関東や関西にあったら人気抜群の観光地になること間違いなし


羽根岬付近の景色
海沿いの道が続く(羽根岬あたり)


崩壊した大師堂(羽根岬)
台風の大波で打ち壊された大師堂(奈半利町)


ホテルなはり
宿泊した奈半利のホテル
この日の夕陽はきれいだった



27番札所: 竹林山 神峯寺 (ちくりんざん こうのみねじ)

27番
 真言の 密の教えをこうの峯
 生の渇きも 潤されたり 

御本尊: 十一面観音菩薩
本歌 : みほとけの 恵みの心 神峯 山も誓いも 高き水音
コメント: 太子堂の横壁に書かれていた密教の重要経典たる『理趣経』の文言が愉快であった。性愛を肯定するこの経典の貸借を巡って、空海と最澄は袂を分かつことになった。境内を流れる名水をペットボトルにつめ、売店で野菜たっぷりうどんを食べ、元気よく次の札所へ向かった。
【次の札所まで37.5㌔】


神峯寺3
神峯寺は430mの高みにある


神峯寺4
本堂


神峯寺1
大師堂横壁に書かれている『理趣経』の主旨
ちなみに、原文では「異性」とは限定していない


神峯寺2
霊水


神峯寺5
さらに登った展望塔(569m)からは足摺岬が見えた


28番への道(琴ヶ浜)
松林のサイクリングロード

28番への道(琴ヶ浜2)
琴が浜
このあたりのへんろ道は土佐くろしお鉄道・ごめんなはり線と
並行しているので、列車でスキップしてしまうへんろも多い。
海沿いのとても気持ちいい道なのでもったいない。


28番への道(遍路小屋)
飾りや置物や掲示物のにぎやかなへんろ小屋


28番への道(伊能忠敬碑)
伊能忠敬観測記念碑(香南市赤間町)
この地点は北緯33度33分


28番への道(バブルの城2)
?????


28番への道(バブルの城)
いったいこれは?


28番札所: 法界山 大日寺 (ほうかいざん だいにちじ)

28番
 大日の 山の上なる廃城は
 バブルの夢の 名残りとぞ聞く

御本尊: 大日如来
本歌 : つゆ霜と 罪を照らせる大日寺 などか歩みを 運ばざらまし
コメント: 大日寺に向かう途中で、前方の山の上に西洋風の城がそびえているのが目に入った。シャトー三宝という名の四万十川資料館だった建物で、2000年に閉鎖されたという。レストランや遊園地も備えたレジャーランドだったらしい。一千年を超える大日寺の伝統にくらべると、資本経済の無常をまざまざと感じる。
【次の札所まで7.5㌔】

28番大日寺山門
大日寺山門

28番大日寺境内
境内

ゲストハウス水仙
ゲストハウス水仙
ここで台湾青年の陳さん(30歳)と相部屋になり、いろいろと語り合った
「二ヶ月の無給休暇で来ている」 「日本好きで、これが5回めの来日」
「台湾はいま環境破壊が問題になっている」等々、真面目で礼儀正しく賢い人だった


29番への道(畑)
29番へはのどかな畑の道をゆく
このあたりで22周目というベテラン遍路Kさんと出会う
以後のサポートセンターになってもらった
壁が破れて人との交流が楽しくなってきた頃



29番札所: 摩尼山 国分寺 (まにざん こくぶんじ)

29番
 国分けて 寺に積まれし 富よりも
 勝れる宝 子にしかめやも

御本尊: 千手観世音菩薩
本歌 : 国を分け 宝を積みて建つ寺の 末の世までの 利益のこせり
コメント:木々に囲まれた静かな境内で、近くの小学校の児童たちが写生をしていた。偏見かもしれないが、地方の子供たちはやっぱり可愛い。ご本尊の菩薩さまもやさしく見守っておられるような気がした。下の句は万葉集(山上憶良)から頂いた。
【次の札所まで6.9㌔】

29番国分寺
国分寺境内


30番への道(高知市遠望)
久しぶりに見る都市は蜃気楼のよう


土佐神社
土佐一宮(いっく)神社
5世紀創建(雄略天皇4年)と伝えられている


土佐神社2
本殿の裏手の森が霊気満ちてすばらしかった


IMG_20200904_105819



30番札所: 百百山 善楽寺 (どどやま ぜんらくじ)

30番
 一の宮の 清き木立に禊して
 善楽の待つ 島に渡らん

御本尊: 阿弥陀如来
本歌 :人多く 立ち集まれたる一の宮 昔も今も 栄えぬるかな
コメント: 土佐一宮神社の隣にある。神仏習合の時代は神社の別当寺だった。現在の住職は、2016年にご尊父から引き継いだ島田希保さん。高知の札所では唯一の女性住職である。まだ30代、頑張ってほしい。
【次の札所まで6.6㌔】


30番善楽寺
善楽寺境内


31番への道(高速道路)
海と山と寂れた町ばかりの歩きのあと、文明社会に戻ってきた感

32番への道(路面電車)
とさでん
高知城
高知城
中国人観光客に占領されていた



31番札所: 五台山 竹林寺 (ごだいさん ちくりんじ)

31番
 知らぬ間に 植物園へと分け入れば
 竹林精舎の 鐘は鳴るなり

御本尊: 文殊菩薩
本歌 : なむ文殊 三世の仏の母ときく 我も子なれば 乳こそほしけれ
コメント: 高知市街に入った。路面電車(とさでん交通)の軌道を越え、結構きつい石段を登ると、知らぬ間に県立牧野植物園の中に無料入園している。かつてはここに宿坊があったそうだ。南国の植物を見物した先に、見事な五重塔の立つ竹林寺はある。近くの五台山から見た市街の眺めが素晴らしかったな。
【次の札所まで5.7㌔】


31番竹林寺1
竹林寺境内

31番竹林寺2
五重塔
様式は鎌倉時代だが、建てられたのは昭和55年

5台山からの景色
五台山から高知市街を見下ろす
都会やな~



32番札所: 八葉山 禅師峰寺 (はちようざん ぜんじぶじ)

32番
 この先の 無事を祈らん ぜんじぶじ(前路無事)
 対なす岬の 支点にあれば

御本尊: 十一面観音菩薩
本歌 : 静かなる 我がみなもとの 禅師峰寺 浮かぶ心は 法の早船
コメント:地図で見ると、この札所は土佐湾の一番奥まったところに位置し、室戸岬と足摺岬を頂点とするL字の交点をなす。つまり、室戸の終わり=足摺のはじまり。高知でオフをとったこともあり、自然と気合が入った。札所前で出会い、しばらく一緒に歩いた香川のTさん(60代)は話好きの楽しい人で、この先も宿や遍路小屋でしばしば再会を繰り返すことになる。
【次の札所まで8.9㌔】

32番禅師峰寺


32番禅師峰寺2
都会とはサヨナラ
また海沿いの道が続く



四国の白地図第6回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  


次回予告!
龍馬ファンの聖地・桂浜に行きます‼




   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第7回(第33~37番)


 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【高知県】


浦戸大橋
浦戸大橋
浦戸湾と土佐湾の境に立つ全長1480 m、高さ50 mの巨橋
高所恐怖症の人はまず渡れない
歩道幅が75センチしかなく、前方から来た人とすれ違うのが大変だった


桂浜3
桂浜より土佐湾を望む


桂浜1
坂本龍馬が愛した月の名所、桂浜


桂浜2
桂浜はへんろ道からはやや逸れる
が、やはり土佐に来たらこの方に挨拶しなければ
いかんぜよ!



33番札所: 高福山 雪渓寺 (こうふくざん せっけいじ)

33番
 「せっけい(失敬)」と 物盗みたる悪人が
 かかる田舎に あるぞ悲しき

御本尊: 薬師如来
本歌 : 旅の道 うえしも今は高福寺 のちのたのしみ 有明の月
コメント: 寺の駐車場の張り紙に「車上荒らしに注意」とあった。また、寺からそう遠くない道ばたで、自転車泥棒に遭って(しかも2回目!)途方に暮れている70歳くらいの女性と出会った。周囲はのどかな里山風景。悪い奴はどこにでもいるもんだ。ご婦人を慰めつつ気を引き締めた。
【次の札所まで6.3㌔】


雪渓寺
雪渓寺


34番への道(畑)
雪渓寺から種間寺への道中風景


 
34番札所: 本尾山 種間寺 (もとおざん たねまじ)

34番
 深秋の 五穀実れる 種間寺に
 アイスクリンを 舐める楽しさ 

御本尊: 薬師如来
本歌 : 世の中に まける五穀のたねま寺 深き如来の 大悲なりけり
コメント: 田畑が広がる昔ながらの日本の平和な秋景色に心なごむ。遍路友だちは、「ここがもっとも印象に残っている」と言っていたが、それも納得。境内には氷菓の販売スタンドがあった。高知名物アイスクリンを初めて口にした。砂糖、卵、脱脂粉乳、バナナ香料等で作られる懐かしい味の氷菓子で、喉の渇きをいやすのにもってこい。高知の10月は暑い。
【次の札所まで9.8㌔】

34番種間寺
種間寺
駐車場の脇に売店が見える


35番への道(仁淀川)
仁淀川の土手を行く
前方に仁淀川大橋が見える
あれを渡って、高知市さらば、土佐市こんちは!


35番への道(いびら稲荷1)
弥勒大明神(いびらの神様)
仁淀川大橋を渡ったところにある


35番への道(いびら稲荷2)
いびらとはイボのこと
イボ(体内の腫瘍を含む)を取ってくれる神様として篤い信仰を集める


35番への道(畑中の城)
畑中に突如出現するお城
家屋? ラブホ? なにかの記念館? サリーちゃんの家?
(確認せず。知っている人いたら教えてください) 



35番札所: 医王山 清滝寺 (いおうざん きよたきじ)

35番
 清滝を 昇れる龍の 大志ごと
 真如皇子は 天竺目指す

御本尊: 薬師如来
本歌 : 澄む水を 汲めば心の清滝寺 波の花散る 岩の羽衣
コメント: 山の中腹にあるお寺。石段途中にある仁王門の天井には、見事な龍が描かれている。境内には、薬師如来像がデンと立つほか、平城天皇の第三皇子であった高丘親王(出家名:真如)の逆修塔がある。逆修塔とは生きているうちに建てる墓のこと。親王は、真の仏法を求め、齢六十にして決死の覚悟でインドに旅立った。
【次の札所まで13.9㌔】


35番清滝寺(石段)
清滝寺仁王門


35番清滝寺(天井の龍)
咬龍図


35番清滝寺境内
境内


35番清滝寺(高丘親王逆修塔)
高丘親王逆修塔
その高き求道心と勇気に敬意を表して


36番への道(ヘルメット地蔵)
塚地峠付近の道沿いにおわす布袋ポリス


36番への道(塚地峠からの景色)
塚地峠(190m)より宇佐湾と宇佐大橋を望む
橋を渡って36番へススム



36番札所: 独鈷山 青龍寺 (とっこざん しょうりゅうじ)

36番
 宇佐の地に にしきを飾る 朝青龍
 この石段で 稽古積みしか

御本尊: 波切不動明王
本歌 : わづかなる 泉にすめる青龍は 仏法守護の ちかいとぞ聞く
コメント: 雲ひとつない空の下、輝く宇佐湾を左手に見ながら目くるめく高さの宇佐大橋を渡る。まさに気宇壮大。浜辺でドッジボールしている高校生(明徳義塾か)の姿がまぶしかった。元横綱・朝青龍は、高校時代にこの寺の石段でトレーニングを積んだそうな。
【次の札所まで25.3㌔】


朝青龍
第68代横綱・朝青龍明徳


36番青龍寺石段
青龍寺の石段


36番青龍寺本堂
本堂


ドッジボールする若者ら(青龍寺近くの浜)



37番への道(浦の内湾2)
浦ノ内湾を市営巡航船でゆく(530円)


37番への道(浦の内湾1)



37番への道(須崎駅)
JR土讃線・須崎駅



別格5番札所: 高野山・八幡山 大善寺(こうやさん・やはたやま だいぜんじ)

5番
 大いなる 善を求めて 乗る船は
 涅槃へ渡る ワープかと見ゆ

御本尊: 弘法大師
本歌 : みな人の 善を須崎の 高野寺 波の音さえ 法の声かな
コメント: 浦ノ内湾で巡行船に乗り、湾をほぼ半周する7キロ近いへんろ道をワープする。32番札所で知り合ったTさんらと同乗した。Tさん曰く、「これは歩き遍路のルール範囲内」(笑) ソルティ「船の中で足踏みしていればいいんじゃないですか?」などと冗談を言ったのを思い出す。
【次の札所まで33.2㌔】


別格5番大善寺1
大善寺大師堂


別格5番大善寺2
境内からの眺め


37番への道(久礼大正町市場)
中土佐町久礼(くれ)の大正町市場
この町は青柳裕介の漫画『土佐の一本釣り』の舞台である


37番への道(久礼大正町市場2)
ちなみに、大正4年当時の大卒者の初任給は35円


37番への道(七子峠の展望)
七子峠より土佐湾を望む
山間を高知自動車道が走る


37番への道(土讃線)
峠を下りてから37番まではJR土讃線沿いをゆく



37番札所: 藤井山 岩本寺 (ふじいさん いわもとじ)

37番
 岩本に つどう遍路の 楽しみは
 勤行中の モンロー探し

御本尊: 不動明王 観世音菩薩 阿弥陀如来 薬師如来 地蔵菩薩
本歌 : 六のちり 五つの社あらわして 深き仁井田の 神のたのしみ
コメント: 足摺岬に至る区間最長距離(80.7キロ)を前に、遍路たちが体調を整え、情報を交換し、励まし合う札所である。本堂内陣の格(ごう)天井には全国から応募があった575枚の絵画が飾られ、曼荼羅のような色彩美は眼福もの。マリリン・モンローがどこかにいるらしい。ここでは宿坊に泊まり、早朝の勤行に参加した。眠い・・・。
【次の札所まで80.7㌔】


37番岩本寺(山門)
岩本寺参道


37番岩本寺(本堂)
本堂


37番岩本寺(格天井)
格天井


四国の白地図第7回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。 
 




次回予告!
いよいよ足摺岬に到達‼






   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第8回(第38~39番)


 2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【高知県】

 37番岩本寺~38番金剛頂寺~39番延光寺は、札所間距離がとても長く、足摺岬を回るため見どころも多い。
 よって、今回札所は2カ所のみ。
 岬の東側と西側の風景を楽しんでいただきたい。


38番への道(道路標識)
国道56号(黒潮町付近)
「松山まで〇km」という標識をはじめて目にした瞬間。
いまや「201km」という数字に何とも思わなくなっている自分。


38への道(黒潮町伊の岬あたり)



38番への道(民宿みやこ)
この宿で米国人女性サニーさん(50~60歳位か)と出会い、一緒に夕食をとった。
四国遍路は初めてで、できる限りお寺の通夜堂や善根宿を利用し、
旅費を抑えているとのこと。彼女とは今後、出会いと別れを繰り返すことになる。


38番への道()四万十大橋)
四万十大橋
この日は珍しく雨模様だった


38番への道()四万十川)
雨の四万十


39番への道(四万十川)
晴れの四万十(別の日に撮影)


38番への道(伊豆田トンネル)
 四国へんろ最長の伊豆田トンネル(1620m)


伊豆田トンネル2
雨が降っていたので、トンネルがうれしかった


38番への道(真念庵)
番外霊場・真念庵
38番から打ち戻って39番に向かうへんろのために真念上人が建てた。


38番への道(くもも)
親切で話好きの女将がいる
この宿で九州から来たYさんと出会った(後述)


くももの朝日
くももの部屋から朝日を見る
 「今日は晴れるぞ!」
一日前だったら雨の足摺岬になっていた


38番への道(はまぐりの里)
大岐簡易郵便局にて
Yさん(写真)としばらく同行


38番への道(たいきの浜)
大岐(たいき)の浜


38への道(以布利港)
以布利(いぶり)港


38番への道(足摺岬へ0.5キロ)
38番を打って戻ってきたTさん、Kさんと出会う
二人の歩くペースが速い(ソルティが遅い)のでもう会うことはなかろう



38番札所: 蹉陀山 金剛福寺 (さださん こんごうふくじ)


38番
 金剛の 杖の先なる 福の花
 足摺𥔎に 咲きほこる時


御本尊: 三面千手観音菩薩
本歌 : ふだらくや ここは岬の船の竿 とるもすつるも 法のさだ山

コメント: 何日も杖を突いていると、先端が割れ、ささくれが四方に広がって、あたかも花が咲いたかのように見える。これを杖の花と言う。足摺岬に到着する頃は、すでに2回くらい開花して散って、を繰り返していた。この札所に到着したときの達成感は、88番結願時よりも大きかった。境内で出会ったどの遍路の顔にも充実感が漲っていた。

【次の札所まで72.5㌔】

 

38番金剛福寺境内
金剛福寺境内


38番金剛福寺境内2



足摺岬(御崎の階段)
足摺岬は切り立った崖の上を道路が走っている
階段で海面まで下りる


足摺岬(白山洞門)
白山洞門
花崗岩の壁に穿たれた高さ16m、幅17mの穴


足摺岬(白山洞門2)



足摺岬(海と岸壁)



足摺岬(四国最南端)

足摺岬(灯台)



朝焼けの足摺の町
出立の朝。足摺の町をふりかえる(国道321号)


39番への道(へんろ札)
岬の西側に回り込む。
多くのへんろは38番を打った後、来た道を引き返し、
内陸(真念庵)を通って39番へと向かう。
ソルティは海岸沿いに、叶崎・月山神社・大月町を経由するロングコースをとった。
(下記地図参照)


39番への道(ジョン万次郎1)
ジョン万次郎(1827-1898)の生家
仲ノ浜村(現・土佐清水市中浜)の貧しい漁師の家に生まれた


39番への道(ジョン万次郎2)
コロナ禍の今こそ、ジョンマン・スピリットを!


39番への道(竜串海岸5)
グラスボート上より竜串海岸を望む


39番への道(竜串海岸1)
見残海岸の奇岩
四国じゅうを巡り歩いた弘法大師もここだけは見残したという


39番への道(竜串海岸2)



39番への道(竜串海岸3)



39番への道(足摺サニーロ-ド)
足摺サニーロード
と言っても車はほとんど通らない


39番への道(叶崎)
貝の川トンネル付近


39番への道(叶崎1)
大津大橋


叶崎の祭り2
叶崎にて
地域の観音さんの祭りの日にあたっていた
お堂に上がって拝ませてもらう
(おまんじゅうとリンゴジュースの接待あり)


叶崎
叶崎の休憩所より岬を振り返る
灯台が小さく見える


39番への道(叶崎2)
ダイナミックな景観が続く


39番への道(大月うろこ雲)
空もまたダイナミック


39番への道(大月大浦)
月山神社ふもとの大浦町


39番への道(月山神社励まし札)
月山神社への山道に吊るされた可愛いメッセージ


39番への道(大月月山神社)


39番への道(大月月山神社3)


39番への道(大月月山神社2)
ご神体


月山神社後朱印
この御朱印は貴重


39番への道(鬱蒼としたへんろみち)
このあたりは秘境といった風情


39番への道(姫ノ井)
やっと国道に戻った(大月町・姫の井)
西部劇に出てくる廃れた町のようだった


39番への道(姫ノ井の不動産広告)
6部屋で家賃3万円


39番への道(コスモス畑)
大月町自慢のコスモス畑
この近くで快適な宿を見つけた


39番への道(カフェ2)
おしゃれなカフェで一服


39番への道(カフェ)


39番への道(整然とした畑)


39番への道(宿毛1)
高知県最後の町、宿毛(すくも)が見えてきた


39番への道(宿毛2)
土佐くろしお鉄道・東宿毛駅から宿毛市を見る
39番延光寺はここから内戻りとなる



39番札所: 赤亀山 延光寺 (しゃっきざん えんこうじ)

39番


 いくたびの 出会い不思議な 延光寺
 我はあちらに 彼はこちらに


御本尊: 薬師如来
本歌 : 南無薬師 病悉除(しつじょ)の願こめて 詣るわが身を 助けましませ

コメント: 幾度となく出会う遍路がいた。九州から来た定年退社したばかりのYさん。足摺岬の手前の宿の夕食の席で出会い、翌日しばらく一緒に歩き、休憩所で別れた。その日の夕方、足摺岬の遊歩道で会った。翌日、岬を回ったところにある土佐清水の町中のスーパーで会った。そこからは別々のルートを行くことになった。さすがにもう会わないかなと思っていたら、延光寺への一本道で向こうからやって来るのが見えた。出会うたびに世俗の垢が抜けて、行者らしくなっていく。きっと、こちらもそう思われている。もっと突っ込んだ話がしたかったな。

【次の札所まで27.0㌔】


39番延光寺山門
延光寺山門


39番延光寺亀
赤亀が竜宮城からこの寺の鐘を背負ってきたという伝説がある


39番延光寺夕暮れ
宿毛へ戻る一本道
明日は一日オフだ!温泉だ!



四国の白地図第8回

CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  



次回予告!
愛媛県に入ります‼





   

● オリジナル御詠歌でめぐる四国遍路108 第9回(第40~43番)


  2018年9月下旬のある日、四国遍路88札所と別格20札所、あわせて108の霊場を歩いてめぐる旅に出た。これはその記録である。
 各札所には御詠歌と呼ばれる短歌がある。
 お寺の名前を歌の中に盛り込み、法の尊さや御仏のありがたさを説いたものが多い。
 ここでは、やはり寺の名前を盛り込みながら、道中の思い出や札所の印象などをオリジナル御詠歌にして詠んでみた。


【愛媛県】
40番への道(正木トンネル)
正木トンネルを抜けて愛媛県へ入った


40番への道(愛南町看板)
愛南町の観光案内板


40番への道(コスモス畑)
満倉休憩所の前に広がるコスモス畑


40番への道(僧都川)
僧都川沿いに40番を目指す



40番札所: 平城山 観自在寺 (へいじょうざん かんじざいじ)

40番

 観るも自在 聴くも自在の 旅なれば
 のんびり往かん 今ここにあれ

御本尊: 薬師如来
本歌 : 心願や 自在の春に花咲きて 浮世のがれて 住むやけだもの
コメント: 四国の西側は結構風が強いことに驚く。心なしか高知にくらべて穏やかな気を感じた。カツオとミカンの違い? 闘犬と闘牛の違い? 高知の終わりで右足首を痛め、棄権のピンチに陥った。歩くペースを落とし、できるだけ楽な道を選ぶ。いつのまにか先を急いでいた自分を反省した。
【次の札所まで40.3㌔】



40番観自在寺山門
観自在寺山門


40番観自在寺宿坊
宿坊に泊まった
中国人のグループが例によって賑やかだった


41番への道(柏坂付近漁港)


41番への道(ゆらり内海)
ゆらり内海にて昼食休憩


41番への道(ゆらり内海ランチ)



41番への道(宇和島漁村)
宇和島浦知の漁村
かつては真珠の養殖で賑わった


41番への道(削られる山肌)
宇和島に入ったらこのような採掘光景が目立った


41番への道(津島岩松川)
津島の岩松川


41番への道(津島採石場)
採石場の中をへんろ道が通っている(松尾峠付近)
この光景、世界遺産委員会の目にどう映るか?



別格6番札所: 臨海山 龍光院(りんかいさん りゅうこういん)

6番
 宇和島の 鬼門を護る この寺に
 龍の光を 仰ぎ見るかな

御本尊: 十一面観世音菩薩
本歌 : みめぐみの 杖をたよりに 有為の山 越えてくもらぬ 月を見るかな
コメント: 宇和島市街に入って車の量がどっと増えた。が、一歩国道を離れると閑散としてさびれた空気が漂っていた。龍光院は、初代藩主・伊達秀宗(政宗の長男)が入部したときに、宇和島城の鬼門鎮めに建てられたという。高台にある境内から天守閣がよく見えた。
【次の札所まで9.9㌔】



別格6番龍時光寺1
龍光院
別格6番龍時光寺2
境内
別格6番龍時光寺3
境内から宇和島のまちを見下ろす


宇和島城
宇和島城


41番への道(ダルマ石)
宇和島駅近くの路傍に見かけた存在感たっぷりの石


41番への道(三間盆地)
JR予土線・務田駅より41番に向かう一本道



41番札所: 稲荷山 龍光寺(いなりざん りゅうこうじ)

41番
 龍光の 満ちたる朝の 畑中に
 直しき人の 影を見るかな

御本尊: 十一面観世音菩薩
本歌 : この神は 三国流布の密教を 守りたまらん 誓いとぞ聞く
コメント: JR務田(むた)駅から札所へと広がる三間平野の朝の光景はただただ美しかった。龍光寺の参道にある店で、遍路姿の菅直人元総理大臣の写真が飾られているのを見た。2004年から歩き始め、足かけ10年で結願したという。ちゃっかり商売に利用されているのだが、固いことは言うまい。いい笑顔をしている。
【次の札所まで2.6㌔】



41番龍光寺1
境内より参道を見下ろす
神仏習合時代は稲荷神社に札所があった


41番龍光寺3
明治初期の神仏分離後に新たに建てられた本堂


41番龍光寺2



42番札所: 一果山 佛木寺 (いっかざん ぶつもくじ)

42番
 コスモスの 道をたどれと 案内する
 人も仏も 木石にあらず

御本尊: 大日如来 
本歌 : 草も木も 仏になれる 仏木寺 なおたのもしき 鬼畜人天
コメント: このあたりは道標が少なく道に迷いやすい。民家の庭先の老人に尋ねたら、「コスモスの咲いている道をずっと行けばいい」と教えてくれた。境内では地元の参拝者から森永チョコレートパイのご接待を受け、真心と久しぶりに口にする甘味とで脳内エンドルフィンが活性した。
【次の札所まで10.6㌔】


42番への道(コスモス街道)



42番仏木寺
仏木寺山門

43番への道(がけ崩れ)
歯長峠の惨状



43番札所: 源光山 明石寺 (げんこうざん めいせきじ)

43番
 水難の 痕めいせきに 残りつる
 西予(さいよ)のまちに 足重くして

御本尊: 千手観音菩薩
本歌: 聞くならく 千手ふしぎの ちかいには 大磐石も かるくあげいし
コメント: 西予(愛媛県西部)は2018年7月7日の豪雨被害がもっとも著しかったところ。歯長峠のへんろ道は土砂崩れで通行止め、迂回せざるを得なかった。ふもとでは「畑がすっかり水に浸かってダメになったよ」という農家の人の声も聞いた。
【次の札所まで34.6㌔】



43番明石寺
明石寺

ホンダ西予店
国道56号沿いの車販売店
ここでトイレを借りたらコーヒーをご接待いただいた
ありがとうございました


鳥坂番所跡2
大洲藩鳥坂番所跡
鳥坂峠の入口にある
通行する旅人は身分証明書と往来手形の提示を求められた
巡礼者は比較的楽に通行できたという
ところがどっこい・・・

大洲(町の風景2)
伊予大洲に到着
別格7番のある出石山(812m)を背にした大洲城が神々しい


大洲(松楽旅館)
伊予大洲の老舗旅館に泊まった


大洲(町の風景)
この風情ある城下町は
TVドラマ『おはなはん』や『東京ラブストーリー』の舞台となった


大洲(朝の肱川)



別格7番札所: 金山 出石寺(きんざん しゅっせきじ) 

7番
 勇気出し いし強く持ち 来てみれば
 見よ伊予灘に 夕日かがやく

ご本尊: 千手観世音菩薩
本歌 : くもりなき 二名の島の 金山に みのりの光 かがやくを見よ
コメント: 足首の痛みに怖じて、行こうかどうか数日迷い続けた札所。812mの明るい山頂からは、大洲の町を隠す一面の朝の雲海と、黄金に染まる夕焼けの伊予灘とが臨めた。札所に向かう山中の一本道で、降りてきたサニーさんと出くわしてビックリ。足摺岬以来である。前日に宿坊に泊まったとのこと。一日遅れで追っかけているらしい。
【次の札所まで13.8㌔】

別格7番出石寺1
山門


別格7番出石寺(境内)
境内


別格7番出石寺夕の伊予灘2
境内の西側から伊予灘と九州(大分の国東半島か)が見えた
108札所中、九州が見えるのはここだけだろう


別格7番出石寺夕の伊予灘
この出石寺でなにか吹っ切れるものがあった


別格7番出石寺朝の伊予灘
朝の伊予灘
伊方原発で有名な佐田岬


別格7番出石寺雲海
境内東側に広がる雲海


別格7番出石寺(大洲のまち)
下山中、雲海が晴れるにつれ大洲の町が現れる
幻想的な光景にしばし時を忘れた



四国の白地図第9回


CraftMAPの白地図を使用しています。より詳しい四国地図を見たい方は、こちら(地図蔵)を参照ください。  



次回予告
ノーベル賞作家・大江健三郎の故郷に行きます






   
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