日時: 2025年11月3日(月)13:30~
会場: すみだトリフォニーホール大ホール
曲目:
- 平林遼: 神秘の存在証明 世界初演
- マーラー: 交響曲第2番「復活」
ソプラノ: 隠岐 彩夏
メゾソプラノ: 藤田 彩歌
指揮: 平林 遼
合唱: コール・ラム・スール
本年2度目の復活。
平林遼という指揮者もラム・スールもはじめて。
なかなか個性的かつ独創性ある指揮者のようで、気に入った。
まず、舞台に登場してすぐ「オッ!」と注目を集めたのが、その衣装。
タキシードではない!
黒地に紫を基調としたカラフルな模様が編みこまれた、『銀河鉄道999』に出てくるプロメシューム(メーテルの母親)を思わせるような、お洒落なドレスシャツを着ている。
そうよ、指揮者はタキシードを着るものと法律で決まっているわけではない。
どんどん自分の好きなものを着て、気持ちをアゲアゲにして、いい音楽を作ってくれればそれに越したことはない。
素晴らしい。
次に、前プロに自ら作曲した世界初演のオリジナル曲(8分)を持ってきた。
これが東洋風かつマーラーチック、しかも合唱付きで、場内の空気を一気に『復活』臨戦モードに変えていく。
「ちょうど、いい曲を前プロに持ってきたもんだなあ」と感心したが、あとからプログラムを読んだら、なんとこの日のために即興的に書いたという。
『復活』の前に置くのにふさわしい短めの曲がなかったから、という動機らしい。
「大がかりな儀式のような『復活』を演奏するにあたり、場を浄化する露払い的な曲」と本人が記している。
やるねえ~。
しかも、前プロのあとに休憩は入れず、曲の切れ目がそれと分からないままに、『復活』第1楽章に突入。
「前プロ、たしか8分のはずなのに妙に長いなあ~」と思って、途中でそれと気づき、トイレに行く機会を失った観客も少なくなかったと思う(笑)。
いや、さすがに7度目の復活という最強ゾンビのソルティは、ちゃんとわかりましたとも。
率直に言って、これまで7回聴いた『復活』の中では、2019年に杉並公会堂で聴いた金山隆夫&カラー・フィルハーモニック・オーケストラと並ぶベストであった。
全般に迫力と熱意があふれていた。
第4楽章のオール・フォルティシモの爆風たるや、巨大なトリフォニーホールが木っ端みじんになるんじゃないかと思うほどだった。
一つ一つの音が明確で、メリハリが効いていた。
第1楽章がとくに緩急・強弱・硬軟自在で、扉が開けば別の世界、別の景色が目の前に広がる、遊園地のようなマーラーの音楽世界を見事に現出していた。
合唱もあたたかみがあって良かった。
人類は、他人からあたたかい声をかけられることで、ホモ・エレクトスからホモ・サピエンスに進化したのでは?――なんて妄想するほど、どんな腕の立つ演奏家がどんなに頑張っても、楽器では得られない人の声のもつ特質を思った。
平林はこの曲について、マーラーが「魂の永遠の不滅性=輪廻転生」を表現したものと解釈したようだが(それゆえに東洋タッチで開始したのだろう)、そこのところはソルティはよく分からない。
マーラーは、生まれ変わってこの世に戻りたかったのかな?
また、最愛のアルマと出会いたかったのかな?
素晴らしい演奏に出会った時にソルティに起こる現象として、例によって、身体中のチャクラがビクンと反応し、客席で何度もケイレンした。
そのたびに“気”が湯気のように湧き上がった。
しかるに――最近薄々感じていたのだが――これはソルティに憑依していた浮遊霊が浄化されている、すなわち音楽による除霊ってことなのかもしれない。
鑑賞後に肩こりが楽になったのはそのためかも。







































