2012年イギリス映画。
原題はTHE PACT
「約束」の意だが、誰とのどういう‘約束’なのかが良く分からない。
代わりにつけられた「ディスコード DISCRD」は、「不調和、不協和音」という意味。こちらのほうが内容的にはふさわしい。けれど、ディスコードの意味が理解できる日本人はそう多くないだろう。なんのためにタイトルを変えたのか意味不明である。
自分だったら内容に即して『ジュダス――悪魔の棲む家』とでも訳すだろう。
この映画を観て子供のころの祖母との会話を思い出した。
小学5年生当時、自分にとって一番怖いものは幽霊、とくに悪霊であった。
そういった超自然的なものに興味を持つ年頃ではあるが、かててくわえてこの時、日本はある一本のアメリカ映画の登場に話題沸騰していた。テレビをつけても、雑誌を開いても、この映画の怖さや不気味さが喧伝されていた。悪霊に取り憑かれた主役の少女のグロテスクな顔が自分の読んでいた少年漫画雑誌の表紙を飾っていて、一度見たら忘れられない、寝るときにはその雑誌を目の届かないところに遠ざけておいたほどの、衝撃と恐怖をもたらした。
言うまでもない。70年代オカルトホラーブームの端緒を開いた『エクソシスト』(ウィリアム・フリードキン監督、1973)である。
怖くて仕方ないけれども怖いもの見たさもある。くだんの漫画雑誌をおそるおそる開くと、こんなことが書いてある。
「悪霊はとりわけ美しい少年少女に取り憑くのを好む」
背筋がゾっとなったものである。
で、ある日祖母と家の近くの公園を散歩していて、幽霊に対する恐怖心を縷々と語ったのである。
自分はたずねた。
「おばあちゃんも幽霊怖い?」
すると、祖母はこう答えた。
「この歳になるとね、幽霊なんか全然怖くないよ。やっぱり、一番怖いのは人間だね」
と、周囲の木々を指さして、「こうした森の中を歩いていて、木の陰から突然包丁を持った男が飛び出してくるのがよっぽど怖いよ」
「ふ~ん」
祖母の歳まで生きたら(といっても60歳に届いていなかったはずだ)、自分も同じように思うのだろうか、などと考えたのであった。
もちろん、祖母は正しかった。
人間の悪意や嫉妬、狡猾さや狂気にくらべたら、どんな悪霊の脅しも天使のウンコみたいなものである。
『エクソシスト』をマジで怖がっていられた子供の頃の自分は、性善説を信じられるくらい幸せだったのだろう。
(しかしトラウマは健在だ。いまだにグリーン豆のスープを若干の不快さなしに飲むことができない。)
評価:C+
A+ ・・・・・ めったにない傑作。映画好きで良かった。
「東京物語」「2001年宇宙の旅」
A- ・・・・・ 傑作。劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」
「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」
「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」
「スティング」「フライング・ハイ」
「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」
B+ ・・・・・ 良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」
「ギャラクシークエスト」「白いカラス」
「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」
B- ・・・・・ 純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」
「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」
「ボーイズ・ドント・クライ」
C+ ・・・・・ 退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」
C- ・・・・・ もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」
D+ ・・・・・ 駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」
D- ・・・・・ 見たのは一生の不覚。金返せ~!!