公開 2016年
製作国 イギリス、アメリカ
原作 セス・グレアム=スミス、ジェーン・オースティン(原案)
出演者
エリザベス: リリー・ジェームズ
ダーシー大佐: サム・ライリー
ウィカム: ジャック・ヒューストン
ジェーン: ベラ・ヒースコート
ビングリー: ダグラス・ブース
上映時間 108分

 あの奇天烈に面白い二次創作がどんなふうに映画化されているのだろう?
 期待と不安を抱いて観たら、期待のほうが凱歌を上げた。
 よくできている。

 19世紀初頭のイギリス上流階級の生活を女性視点で描いた古典文学と、20世紀怪奇映画の古典的シロモノであるゾンビの融合は、上品と下品、高踏と下劣、優美とグロ、洗練と野蛮、陽光と陰惨、牧歌的と墓場的、淑女的とアマゾネス的、の結合である。主役の美しき淑女たちの優美なドレスの裾をまくると、その太ももにはソンビ退治のための切っ先鋭い短剣が仕込まれているように、相反する二つの要素が同居するところにこのパスティーシュの面白さがある。
 ゆえに、オースティン原作で表現される上流階級の様相や雰囲気がしっかりと描かれれば描かれるほどに、二極の対比がくっきりと浮かび上がり、痛快なるおかしさにつながる。
 この映画製作者はそこがよく分かっている。ゾンビとの戦闘シーンこそCGが多用されているものの、上流階級の日常シーンではそれなりにちゃんとした時代考証のもと、それなりに見栄えするロケーションを行い、それなりに納得できる貴族の贅沢ぶりと優雅さとが表現されている。これがB級的に貧乏臭かったら設定が台無しになっただろう。

 ジェーン・オースティンが目にしたら腰を抜かしそうな換骨奪胎(ゾンビだけに!)な二次創作なのだが、不思議と主要なオースティン文学のエレメンツはちゃんと残っている。
 ユーモアと恋愛である。
 これあるから、いまや手垢やカビがついてマンネリと退屈の極致となっている‛死にぞこない’のゾンビ映画に終わっていない。
 主役の2カップル(ジェーン&ビングリー、エリザベス&ダーシー)+悪役ウィカムは、オースティン原作から抜け出てきたような適役ぶり。ポイント高い。


評価:B-

A+ ・・・・めったにない傑作。映画好きで良かった。 
「東京物語」「2001年宇宙の旅」「馬鹿宣言」「近松物語」

A- ・・・・傑作。できれば劇場で見たい。映画好きなら絶対見ておくべき。
「風と共に去りぬ」「未来世紀ブラジル」「シャイニング」「未知との遭遇」「父、帰る」「ベニスに死す」「フィールド・オブ・ドリームス」「ザ・セル」「スティング」「フライング・ハイ」「嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「フィアレス」   

B+ ・・・・良かった~。面白かった~。人に勧めたい。
「アザーズ」「ポルターガイスト」「コンタクト」「ギャラクシークエスト」「白いカラス」「アメリカン・ビューティー」「オープン・ユア・アイズ」

B- ・・・・純粋に楽しめる。悪くは無い。
「グラディエーター」「ハムナプトラ」「マトリックス」「アウトブレイク」「アイデンティティ」「CUBU」「ボーイズ・ドント・クライ」

C+ ・・・・退屈しのぎにちょうどよい。(間違って再度借りなきゃ良いが・・・)
「アルマゲドン」「ニューシネマパラダイス」「アナコンダ」 

C- ・・・・もうちょっとなんとかすれば良いのになあ。不満が残る。
「お葬式」「プラトーン」

D+ ・・・・駄作。ゴミ。見なきゃ良かった。
「レオン」「パッション」「マディソン郡の橋」「サイン」

D- ・・・・見たのは一生の不覚。金返せ~!!